調査研究成果公表

本報告書では,生物科学のプレプリントサーバーとして近年注目を集めているbioRxivに掲載されているプレプリントについて分析した結果を報告しています.

 

定量的なデータに裏打ちされたエビデンスに基づく科学技術政策形成が求められる中,学術ジャーナルに掲載される原著論文の量(論文数)と被引用数に基づく質に関する調査研究を補完することを目的に,原著論文の草稿であるプレプリントに着目した試行分析をNISTEPでは行っています.今回,arXivの調査に引き続き,2010年代に入って生物学系で進展しているプレプリントサーバであるbioRxivに着目し,原著論文との関係,プレプリントの引用などの観点から,bioRxivの特徴および分野別特性を分析した結果,arXivに比較して分野間の差はほとんど見られないことや,原著論文となった割合は4割程度であり,オープンアクセス誌に掲載されているものが多いこと等が分かりました.

詳細については,以下のリンクより御覧ください.
https://doi.org/10.15108/dp197
報告書全文

本研究では、多国籍企業内における国境を越えた研究開発(R&D)活動の配分とR&D成果との関係を分析しました。分析の結果、知識フロー・ネットワークの中心性が高い国・産業により多くのR&D活動を配分している多国籍企業ほど、質を考慮した特許出願数が多くなることが分かりました。このような場所でより重点的にR&D活動を行うことが、質の高い成果につながることが示唆されました。

詳細については,以下のリンクより御覧ください。
日本の多国籍企業における海外研究開発と特許出願[DISCUSSION PAPER No.198]

本報告書では、日本の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの開発に関して、課題と対策の抽出を行いました。

まず、日本を始め世界主要国におけるCOVID-19感染等の状況、COVID-19に関する論文等の研究の状況、企業等によるCOVID-19ワクチン開発の状況などのCOVID-19に関連する研究開発情報を整理しました。また、我が国においてワクチンの研究開発を先導している産学の専門家から意見を聴取しました。意見聴取においては、日本は世界有数の創薬力がありワクチン開発のポテンシャルがあるもののパンデミックに対し国を挙げた有事の体制になっていなかったこと、パンデミックに対する研究体制を平時に整備していなかったこと、疾病構造の変化により医学研究における感染症の位置づけが低下し、感染症に関する研究事業や研究者が少なくなっていたことなどが、COVID-19ワクチンの迅速な開発につながらなかった原因であるという指摘がありました。

詳細につきましては、以下のリンクよりご覧ください。
要旨

報告書全文

以下の当研究所のライブラリは、システム更新のため7/6-9/16までの間は情報が更新されません。この間に公開したレポート等は当研究所のウェブサイトで公開します。
Library: https://nistep.repo.nii.ac.jp/

NISTEPでは、政府資金による研究開発成果である発明を広く活用するために、日本版バイ・ドール制度を適用し行われた特許出願を網羅的に調査し、それらを分析した結果を取りまとめました。
同制度の施行(1999年10月1日)以降、制度適用した特許出願件数は増加し、現在は年間2,500件前後で推移しています。
この出願件数の増加について、制度施行初期は企業からの出願が大きく影響していましたが、国立大学が法人化された2004年以降は企業に代わって高等教育機関の影響が大きくなっていることがわかりました。
また、出願を審査請求した割合は我が国の出願の平均的よりも10 ポイント程度高く、発明を権利化しようとする意欲は高く、特許査定された割合も同じく10 ポイント程度高く、特許要件を満たした優れた発明が多いことが判明しました。

本件の詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

要旨
概要
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本研究では、イノベーションの画期性が企業成長に及ぼす影響について、科学技術 ・ 学術政策研究所(NISTEP)が実施した全国イノベーション調査の個票データを用いて実証的に分析しました。分析の結果、革新的イノベーションによる企業成長の効果はみられず、むしろ漸進的イノベーションが企業成長に大きく貢献することが分かりました。また、漸進的イノベーションの効果は高成長企業ほど高いことも明らかになるとともに、低成長企業の成長率向上にも寄与するという発見も得ました。この発見は、マイナス成長に直面するような 低成長企業であっても イノベーション活動に取り組むことで成長率を 改善できる可能性を示唆しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。

要旨

報告書全文

以下の当研究所のライブラリは、システム更新のため7/6-9/16までの間は情報が更新されません。この間に公開したレポート等は当研究所のウェブサイトで公開します。
Library: https://nistep.repo.nii.ac.jp/

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2021夏号(Vol.7 No.2)を公開しました。
科学技術振興機構社会技術研究開発センター(RISTEX)小林 傳司センター長の特別インタビュー、ナイスステップな研究者インタビュー、OECDグローバル・サイエンス・フォーラム事務局 田村嘉章政策分析官インタビューのほか、「SDGs 実現に向けた地域の未来を検討する岩手ワークショップ」開催報告など、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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本調査資料では、欧州レベルの科学技術・⾼等教育政策の現状と成⽴過程を調査・分析しました。

調査の結果、欧州における科学技術・⾼等教育分野の活動の現状から、同活動の⽔準が⼗分⾼いこと、欧州域内における国際協⼒が活発であること等が確認されました。また、この原動⼒の⼀つと考えられる、欧州レベルの政策の現状を、EU、EU以外の国際機関、欧州各国による政策に⼤別しながら概観したところ、欧州レベルの政策は、規模、対象分野を増していることが確認されました。また、欧州レベルの科学技術・⾼等教育政策の40個のケースを取り上げ、その成⽴過程を国際関係論、地域主義論に基づき分析した結果、平和安定・信頼醸成、経済的利益などを追求するというリベラリズムによる説明や、科学者、研究機関などが主導する政策として機能主義による説明がよくあてはまるケースが多いことなどが分かりました。

以上のような調査結果は、我が国の政策立案者が、競争者として欧州の政策をベンチマークする際、或いは欧州との国際協力を行う際に、欧州の意思決定やその背後にある特有の考え方 (EU と各国政府との間の関係や、欧州と欧州外との関係の捉え方など)を理解する上での一助となることが期待されます。

詳細につきましては、以下のリンクよりご覧ください。
ライブラリ:欧州レベルの科学技術・高等教育政策~現状と成立過程~[調査資料-307]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、1971年から約5年毎に科学技術予測調査を実施しており、科学技術基本計画が策定されるようになって以降、その策定スケジュールに合わせて調査を実施してきました。
第11回科学技術予測調査 デルファイ調査」では、回答者の属性として「年代」「性別」「所属機関」「職種」をそれぞれ収集しています。本調査では、そのうちの「年代」「所属機関」について、第11回科学技術予測調査の質問項目である「科学技術的実現年」「社会的実現年」と組み合わせた分析を実施しました。
分析の結果、所属機関別では大学が企業より実現年を遅く見積もる傾向にある等の違いが見られ、年代別では、若年層では実現年を遅く予測する傾向にある等の違いが見られました。

詳細につきましては、以下のリンクよりご覧ください。
ライブラリ:第11回科学技術予測調査 所属・年代別の比較分析[DISCUSSION PAPER No.194]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、科学技術の中長期発展に関するコロナ禍の影響を知るため、2020年9月、「第11回科学技術予測調査 デルファイ調査」で設定した科学技術トピックを対象としてアンケートを実施し、重要度及び実現見通しの変化に関して専門家の意見を収集・分析しました。なお、本調査は2020年11月に速報版を公表済であり、この度は最終報告となります。
調査の結果、元々早い実現が予測されていた科学技術はより早く、元々遅い実現が予測されていた科学技術はより遅く実現する可能性が示されました。また、コロナ禍と関連する健康危機管理や仕事・働き方の自動化・オンライン化などの科学技術は、重要度が高く、実現時期が早まる可能性が示されました。

詳細につきましては、以下のリンクよりご覧ください。
ライブラリ:コロナ禍を経た科学技術の未来-第11回科学技術予測調査フォローアップ-[調査資料-309]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、2020年3月(1,500人)、2020年12月(3,000人)を対象としたインターネット調査を行いました。本調査は、科学技術に関する国民の理解や関心、信頼、期待や不安などの情報を客観的に把握するためのものです。今までの分析に加えて、新たに「新技術に対する受容性のパス解析」を取り入れ、生活により大きな影響をもたらすであろう11の新技術の社会受容性等についての決定要因に関する深堀調査を行いました。
その結果、回答者にとって⾝近だと思われる技術(⾃動運転、農薬、遺伝⼦組み換え⾷品・ゲノム編集⾷品、携帯電話(5G)など)と、あまり⾝近ではないと思われる技術(ゲノム医療、ナノテクノロジー、⽔素エネルギー、⼩型モジュール原⼦炉)の二つに、社会受容性の受け入れやすさの傾向が分かれることなどが分かりました。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:科学技術に関する国民意識調査-新技術の社会受容性の決定要因の分析-[調査資料-306]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2021春号(Vol.7 No.1)を公開しました。
日本医療研究開発機構(AMED)三島良直理事長の特別インタビュー、ナイスステップな研究者インタビュー、第11 回科学技術予測調査デルファイ調査における分野別分科会の座長インタビューの連載など、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、「新型コロナウイルス感染症等による日本の科学技術への影響と科学者・技術者の貢献―科学技術専門家ネットワークアンケートによる東日本大震災時との比較」を公表します。本調査は、2020年7月に速報版を公表しており、この度は最終報告となります。
 本報告書では、新型コロナウイルス感染症等に関するアンケート結果と、2011年7月にNISTEPが実施した東日本大震災後のアンケート結果とを比較分析しました。
 その結果、日本の科学技術への影響に関する専門家の認識が一部異なる傾向にあることが明らかになりました。新型コロナウイルス感染症等に関するアンケート調査では、専門家が科学技術への影響をより強く危惧する傾向が見られました。一方、2つのアンケート調査で共通した回答傾向として、科学技術の専門家としての基本姿勢や科学技術・イノベーション政策推進の必要性が示されました。

報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:新型コロナウイルス感染症等による日本の科学技術への影響と科学者・技術者の貢献―科学技術専門家ネットワークアンケートによる東日本大震災時との比較―[調査資料-303]

研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ(2020年1月 総合科学技術・イノベーション会議)等における、2025年の大学本務教員に占める40歳未満の教員を3割以上とする目標の達成に向けては、大学本務教員だけでなくポストドクター、博士課程修了者等の博士人材の動向を詳細に把握し、それを基にして、今後の我が国の施策の狙いと規模をより明確にする必要があります。本研究では、確率遷移の考え方に基づいて、博士人材の年齢別の人材流動のモデルを構築し、アカデミアの博士人材の各年齢分布を主に2016年度以前の各種調査の公開データを基に定量的に解析し、この結果に基づいて大学本務教員の年齢分布の試行的な将来予測を2025年度まで行いました。

詳細については以下のリンクをご覧ください。
ライブラリ:博士人材の年齢別人材流動モデルの構築と試行的な将来予測[DISCUSSION PAPER No.193]