このたび、当研究所(NISTEP)第2研究グループの北島謙生研究員は、米中間の研究協力における近接性の時間的変化について、過去50年にわたるデータを用いた定量的分析の成果を発表しました。
本研究では、両国が数十年にわたり科学分野で急速に協力関係を深めてきた一方で、2019年以降はその関係が明確に後退していることを、多様な分野を横断する包括的な定量データに基づいて示しています。
こうした両国間の距離の変化は、近年の地政学的状況を反映したものと考えられ、同時に、世界の研究協力が「縮小と分極化」の時代へと移行しつつあるという、国際科学協力の構造的変化を示す重要なエビデンスともなっています。
これらの知見は、今後の国際的な科学協力のあり方を検討する上で、極めて重要な示唆を提供するものです。
本成果は、政策研究大学院大学(GRIPS)SciREXセンター政策リエゾンの岡村圭祐氏との共著によるもので、Natureの姉妹誌『Humanities and Social Sciences Communications』Vol. 12, No. 302にて発表されました(2025年3月3日公開)。
論文はこちら:https://rdcu.be/eb37r
お知らせ
科学技術・学術政策研究所(NISTEP)ではこの度「博士人材追跡調査(JD-Pro)」2012年度修了者の1.5年後、2015年度修了者の0.5年後のコホート・データを用いて博士課程修了者が非専門分野へ就職する際に影響を及ぼす要因についての分析を行いました。
分析結果からは、(1)博士課程在学時の教育・研究指導の質、 (2)異分野との交流・協働、(3)キャリア開発支援や進路指導が、非専門分野における雇用可能性に有意に影響を及ぼすことが示唆されました。
本研究の知見は、博士課程教育における柔軟な指導体制や、多角的なキャリア支援の必要性を示唆するものであり、今後の博士人材政策や大学院カリキュラムの最適化に寄与することが期待されます。
詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:博士課程修了者の非専門分野における雇用可能性を高める要因の探索的研究:ランダムフォレスト法を用いたアプローチ[DISCUSSION PAPER No.238]
NISTEP講演会「OECDにおける戦略的フォーサイトの取り組み」(3月3日開催)の資料を公開いたしました。
急速に変化し、複雑化・不確実性の高まる現代社会において、中長期的な政策形成はますます困難になっています。こうした状況の中、各国政府や国際機関では、未来の幅広い可能性やリスクに対応するために、戦略的フォーサイトへのニーズが高まっています。
戦略的フォーサイトは、長期的な視点で未来を展望し、起こりうる様々な未来の可能性を検討し、現在の想定や政策が未来において有効か検証するなど、柔軟かつ強靭(レジリエント)な政策を目指したアプローチです。
3月3日に開催した講演会では、政府における戦略的フォーサイトの活用促進を目的とした国際的なネットワーク「ガバメント・フォーサイト・コミュニティ(GFC)」を形成し、この分野で世界をリードする経済協力開発機構(OECD)より、
川口尚子氏をお迎えし、
・OECDにおける戦略的フォーサイトの取組
・GFCの活動と各国におけるベストプラクティス
・「強靭な公共政策のための戦略的フォーサイトツールキット(Strategic Foresight Toolkit for Resilient Public Policy)」の概要
等について御紹介いただきました。
なお、今年1月に公開された「強靭な公共政策のための戦略的フォーサイトツールキット」は、環境・社会・技術・経済・グリーンテック・地政学の6つの領域における未来の25の重要テーマにおける変化の兆候や崩壊(Disruption)リスクを分析し、それに対応する政策の方向性を提示しています。
日時等
日時:2025年4月2日(水)16:30-18:30
形式:オンライン(zoom)
言語:英語 (Q&Aは通訳によるサポートあり)
概要
学術コミュニケーションの分野では、研究のインパクト(研究が学術界、産業界、政策、社会全体に与える影響や貢献)が知識の発展、イノベーション、社会の進歩において極めて重要であることが広く認識されています。インパクトのある研究を積み重ねることで、研究者はキャリアを発展させ、研究機関の評価を高めます。また、コラボレーションの促進、イノベーションの創出、研究資金の獲得、政策決定への貢献などにも関連し、社会に利益をもたらします。そして、出版社は論文等の研究成果の発信、あるいは査読を通じて研究インパクトに対して一定の重要な役割を果たしています。
本セミナーでは、国際STM出版社協会(STM)とともに企画するセミナーシリーズの3回目の企画として、研究のインパクトを異なる3つの視点から探ります。小泉客員は、研究コミュニティとその所属機関の観点から研究インパクトの現状と課題を論じます。エルゼビア社のアンドリュー・プルーム氏は、研究成果の出版に関連する出版社の視点を紹介します。そして、サラ・フィブス氏は、国連と出版社のパートナーシップであるResearch4Lifeが中低所得国に与える影響と、世界的な研究の様相の変化について考察します。
講演者
Andrew Plume, VP Research Evaluation, Elsevier, and Honorary Professor of Practice at UCL Department of STEaPP
Sarah Phibbs, Director of Equity and Inclusion, STM, and Director Research4Life Publisher Partnerships.
小泉周(北陸先端科学技術大学院大学)
講演者略歴(外部リンク)
Andrew Plume, VP Research Evaluation, Elsevier, and Honorary Professor of Practice at UCL Department of STEaPP
Sarah Phibbs, Director of Equity and Inclusion, STM, and Director Research4Life Publisher Partnerships.
小泉周(researchmapページ)
講演会の参加申し込み
URL:https://zoom.us/webinar/register/WN_PjcXyKXkR-qzUhW20jMxMQ
講演内容についてのお問い合わせ
科学技術・学術政策研究所 データ解析政策研究室 (担当:林)
Tel:03-5253-4111(内線 7400)
Eメール:d-unit[at]nistep.go.jp
参加の申し込み締め切り:4月2日(水)16:00
2025年3月7日(金)5時頃~17時半頃まで弊所のウェブサイトが閲覧不能でした。
メンテナンスを行い現在(2025/3/7/17:55)は閲覧可能です。御不便をかけた皆様に、お詫び申し上げます。
NISTEP公開オンラインシンポジウム「研究力再考:次の20年を見据えた『研究力を育む土壌』と共創の道」(2024年12月20日開催)の動画コンテンツを公開いたしました。研究者、大学運営の専門家、資金配分機関、政策立案者の多様な視点から紡ぎ出された示唆深い対話を通じて、日本の研究力の未来を共に考える機会をご提供いたします。
【動画コンテンツのご案内】
■ ハイライト動画(60秒)
「研究力を育む土壌とは?」
▶️ https://youtu.be/oRSJFUkdx1Y
■ セッション別動画
各セッションの詳細な議論をテーマごとにご視聴いただけます。
・セッションⅠ「日本の研究活動の現状」
▶️ https://youtu.be/pYL5a0Iyol4
・セッションⅡ「”今、ここから”できること」
▶️ https://youtu.be/ZXC07s9Qv8s
・セッションⅢ「未来対話:”砂場”の大切さ」
▶️ https://youtu.be/Plk3OYsowGQ
■ フルバージョン シンポジウム全体を通してご視聴いただけます。
▶️ https://youtu.be/LF0nugSVRRQ
シンポジウムの詳細情報は、公式ページ(https://www.nistep.go.jp/archives/59293)でもご確認いただけます。
本研究は、オープンアクセス(OA)が異分野引用に与える効果の有無を検証するものです。OA化の方法の中でもゴールドOA(ハイブリッドOAを除く)に焦点を当てて、自然科学の諸分野において論文をOA化することにより異分野引用は増えるかどうかを明らかにしました。
分析の結果、過半数の分野においてOAは分野内引用と異分野引用を共に増やすこと、幾つかの分野では異分野引用のみを増やすことが明らかとなりました。異分野引用のみにOA化の効果が見られる分野の中でも、特に臨床医学分野は分野全体が異分野引用されやすくなることが分かりました。
国際的にOAが推進されてきた背景の一つにはOAは異分野への知識移転を促すという期待があります。本研究の知見は、実際にOAはこうした期待に応えていることを示しており、OAを推進する意義及び根拠の一つとなるものです。
詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:ゴールドOAが異分野引用に与える効果:自然科学系論文に着目した分析[DISCUSSION PAPER No.237]
科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、地球環境の持続可能性への関心が高まっていることから、2022年度に続きカーボンニュートラルをテーマに掲げて2050年の未来社会像の検討を行いました。具体的には、石川県及び島根県において地域ワークショップを開催し、2020年度以降に開催した5地域と合わせて地域の未来社会像を整理しました。続いて、諸外国事例も踏まえて、地域の可能性と課題について考察しました。
その結果、地域が望ましい姿の実現を目指す中でカーボンニュートラルに貢献する可能性として、自然資源を収益源として持続的に活用すること、及び、地域の課題解決にカーボンニュートラルの視点を導入することが示唆されました。取り組むべき課題としては、行政区分などにとらわれない取組範囲の設定、価値観や行動の変化の促進、経済的仕組み構築などが挙げられました。
詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
急速に変化し、複雑化・不確実性の高まる現代社会において、中長期的な政策形成はますます困難になっています。こうした状況の中、各国政府や国際機関では、未来の幅広い可能性やリスクに対応するために、戦略的フォーサイトへのニーズが高まっています。
戦略的フォーサイトは、長期的な視点で未来を展望し、起こりうる様々な未来の可能性を検討し、現在の想定や政策が未来において有効か検証するなど、柔軟かつ強靭(レジリエント)な政策を目指したアプローチです。
本講演会では、政府における戦略的フォーサイトの活用促進を目的とした国際的なネットワーク「ガバメント・フォーサイト・コミュニティ(GFC)」を形成し、この分野で世界をリードする経済協力開発機構(OECD)より、
川口尚子氏をお迎えし、
・OECDにおける戦略的フォーサイトの取組
・GFCの活動と各国におけるベストプラクティス
・「強靭な公共政策のための戦略的フォーサイトツールキット(Strategic Foresight Toolkit for Resilient Public Policy)」の概要
等について御紹介いただきます。
なお、今年1月に公開された「強靭な公共政策のための戦略的フォーサイトツールキット」は、環境・社会・技術・経済・グリーンテック・地政学の6つの領域における未来の25の重要テーマにおける変化の兆候や崩壊(Disruption)リスクを分析し、それに対応する政策の方向性を提示しています。
戦略的フォーサイトに関心をお持ちの政策担当者、企業関係者、アカデミアの方々など、皆様の御参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 令和7年3月3日(月) 15:30~17:00 (予定)
場所: オンライン(Zoom)
言語: 日本語
講演者
川口尚子氏
経済協力開発機構(OECD)事務総長官房戦略的フォーサイトユニット
戦略的フォーサイト上級コーディネーター
参加申込み(必須)
Zoom URL https://zoom.us/meeting/register/teA8Cu0PRKiVDBby-jOzoQ
申込み締切り: 2025年3月3日12:00
講演者経歴
OECD事務総長官房 戦略的フォーサイト 上級コーディネーター
OECDでの横断的プロジェクトや組織運営の経験に基づき、現職ではOECD内の政策コミュニティや外部のパートナーと連携して戦略的フォーサイトを適用したプロジェクトを実施。2014年及び2021~2022年には、OECD東京センター所長代理として、OECDと日本及びアジア太平洋地域の関係強化をサポート。
以前は、OECD事務総長及び首席補佐官のアドバイザーとして、主にG20をはじめとするマルチでの国際協調やジェンダー平等に関する政策や組織内の取り組みを主導、経済的課題への新たなアプローチ(NAEC)の議論をサポート。エディンバラ大学歴史学学士号・修士号、ケンブリッジ大学国際関係学修士号。
Naoko Kawaguchi
Senior Coordinator for Strategic Foresight, Office of the Secretary-General, OECD
In her capacity with high-level overview of the OECD’s work on foresight, she manages and initiates collaborative policy work applying strategic foresight in partnership with policy communities in the Organisation and external partners. Her current responsibility is based on her long experience managing horizontal and corporate projects in the OECD. In her previous capacity, she supported OECD’s engagement with Japan and the Asia-Pacific region as acting Head of the OECD Tokyo Centre in 2014 and 2021-2022. She has held various positions in the OECD Headquarters in Paris, including Gender Advisor to the Secretary-General and Special Advisor to the Chief of Staff where she spearheaded the Organisation’s work on gender equality and diversity, advanced OECD’s recommendations in global fora particularly the G20, and supported reflection on economic policies through New Approaches to Economic Challenges (NAEC). Naoko holds an undergraduate and postgraduate degrees in history from the University of Edinburgh and MPhil in International Relations from the University of Cambridge.
お問合せ先
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-2-2
文部科学省科学技術・学術政策研究所
科学技術予測・政策基盤調査研究センター(担当:岡村)
Email: doukou[at]nistep.go.jp
開催概要
日 時:2025年2月20日(木)16:00~ 18:00 オンライン開催(Zoomウェビナー)
テーマ:「転換期の博士人材政策~日仏米における博士人材養成とキャリア~」
講 師
・岡鼻 宏直 文部科学省科学技術・学術政策研究所 国際客員研究官、Assistant Vice President for Research & Insights, American Council on Education(ACE)
・ジュリアン・カルマン(Julien Calmand) 文部科学省科学技術・学術政策研究所 国際客員研究官、国際コンサルタント
・吉岡(小林)徹 文部科学省科学技術・学術政策研究所 客員研究官、一橋大学イノベーション研究センター准教授
司 会:川村 真理 文部科学省科学技術・学術政策研究所 上席研究官
言 語:日本語/英語(逐次通訳あり)
講演趣旨
科学技術が進展し、高度科学技術人材の養成が社会の喫緊の課題となる中、先進諸国では、アカデミアを取り巻く社会環境や産業構造の変化に対応した新たな大学院教育や博士人材養成の在り方が模索されています。
今回のセミナーでは、フランス、アメリカ、日本でそれぞれ博士人材に関する調査分析を担当されてきたジュリアン・カルマン博士、岡鼻宏直博士、吉岡(小林)徹博士の3名のNISTEP客員研究官より、日仏米における近年の博士人材政策の動向や、最新の分析結果等についてお話しいただきます。御参加を希望される方は、下記の参加申込みフォームより御登録ください。
○題目
1「フランスの労働市場における博士号の評価:新たな視点と進展(Recognition of doctorates on the French labor market: new perspectives and evolution)」/ジュリアン・カルマン
2「博士人材のトランスファーラブルスキル:セクター間流動を促すために(Transferable skills of doctoral graduates for inter-sectorial mobility)」/吉岡(小林)徹
3「「博士人材」の育成は、博士課程のみの役割か?(Is the Development of “Doctoral human resources” Only the Role of the Doctoral Program?)」/岡鼻 宏直
セミナーの参加申込み
下記URLから御登録ください。参加申込み締切りは2月17日(月)です。
https://zoom.us/webinar/register/WN_h6tZdo4ZRPyV4UY96r8iwg
セミナーの内容についてのお問合せ
科学技術・学術政策研究所 第1調査研究グループ(川村)
TEL:03-3581-2395 E-mail:seminar-1pg[at]nistep.go.jp
本データには、日本版バイ・ドール制度(産業技術力強化法第17条)を適用して特許出願した発明について、創出元となる研究開発事業や委託元である省庁やファンディング機関などのデータを収録しています。
同制度は、政府資金による委託研究開発等による知的財産権について、一定の条件を受託者が約する場合に、受託者に帰属させることを可能とする制度であり、その適用には、特許法施行規則第23条第6項に基づき、出願願書にその旨を申告記載する必要があります。
本データに収録した委託元の機関や研究開発事業データは、この申告文章に記された情報を手掛かりとして、特許出願1件ごとにインターネット上に公開された情報を調査し取得したものです。なお、出願人等の特許基本情報は、別途公開している「日本版バイ・ドール制度を適用した特許出願データ」と連携し取得することができます。
本データファイル及びユーザマニュアルのダウンロードは、こちらからお願いいたします。

