お知らせ

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、「政策のための科学」推進(SciREX)事業の一環としてデータ・情報基盤の整備に取り組んでいます。このたび、以下の2つのデータを公開いたします。

  • 大学・公的機関における研究開発に関するデータはこちらをご覧ください。

1. NISTEP大学・公的機関名辞書(version 2025.1)
 NISTEPでは、研究開発を実施している我が国の大学及び公的研究機関を中心に、約2万1千の機関(約1万6千の代表機関と約5千の主な下部組織)を収録した「NISTEP大学・公的機関名辞書」を作成・維持・公開しています。
 今回公表した最新版(ver.2025.1)では、掲載機関数が前回版(ver.2024.1)に比べて150機関(代表機関23、下部組織127)増加しました。また、全機関21,770のうち20,298機関(93.2%)には英語名が付けられています。

  • NISTEP大学・公的機関名辞書はこちらからダウンロードできます。

2. Scopus-NISTEP大学・公的機関名辞書対応テーブル(ver.2025.1)
 Scopusに採録された論文データと本機関名辞書との対応付けを行った「Scopus-NISTEP大学・公的機関名辞書対応テーブル」も併せて公開します。
 この対応テーブルは、1996~2023年にScopusに採録された、日本の機関に所属する著者を含む論文約349万件を対象に、NISTEP大学・公的機関名辞書(ver.2024.1)を用いて名寄せを行ったものです。前回公開した版(ver.2018.1.1)が1996~2017年を対象としていたのに対し、新たに6年分・114万件の論文が加わっています。

  • Scopus-NISTEP大学・公的機関名辞書対応テーブルはこちらからダウンロードできます。
日時等

日時:2025年7月23日(水)16:00-18:00
形式:オンライン(zoom)
言語:英語 (Q&Aは通訳によるサポートあり)

概要

 世界最大の学術出版者団体であるSTM Associationでは、毎年、出版社、学者、技術者など、学術出版の最前線にいる専門家を集めて、研究及び出版の将来像を描き出している。最近発行された最新のレポート『STM Trends 2029』は、2029年における将来の可能性を見据えて作成されたものである。このグループは、技術のトレンドとその影響、オープンリサーチの進展、研究の誠実性及び社会的責任といったテーマを検討し、人工知能(AI)が主要なテーマとして浮かび上がった。
 また、本レポートは、昨年の『STM Trends 2028』レポートの主要テーマ――人工知能、細分化、信頼性の新たな捉え方――を引き継ぎ、それらの戦略的な相互作用及び社会技術的な意味を検証している。現代社会を見渡すと、社会の内外において分断が深まっている。また、現実世界と仮想世界の乖離(かいり)も拡大しており、データや事実、証拠を軽視した虚偽情報が広まりやすい土壌が形成されている。個人が処理しきれないほどの情報が氾濫し、その情報の洪水を利用して自己の利益を追求する強力なアクターも存在する。さらに、AIによって、世界中の知識とのパーソナライズされた高度な相互作用が可能となった現在、我々は「何が本物で、何が信頼できるのか」をいかに判断すべきかが問われている。多くの人々にとって、21世紀の情報環境は混乱と困惑に満ちた空間となっている。
 STM Association のCEOであるサットン博士は、2029年版『Trends』がどのように作成されたのか、そしてどのような結論に至ったのかについて、昨年10月のNISTEPセミナーと同様に、今回も解説する予定である。

講演者

Caroline Sutton博士(STM Association CEO)

講演者略歴

 STM AssociationのCEOである氏は、STM以前は、テイラー&フランシス社でオープンリサーチ担当ディレクターを務めた。オープンアクセス出版のパイオニアであるCo-Action Publishingを共同設立し、OASPAの設立者の一人であり初代会長として2008年から2021年まで理事を務めた。また、Dryadの理事(2017-2023年)、Directory of Open Access Journals(DOAJ)の運営組織であるInfrastructure Services for Open Access(IS4OA)(2013-2022年)など、学術コミュニケーション分野における数多くの理事を務めている。スウェーデンのウプサラ大学で社会学の博士号を取得。
参照:The STM Trends 2029

講演会の参加申込み

URL:https://zoom.us/meeting/register/9V2z2o6kStCSPLVapNxxdA
二次元コード

講演内容についてのお問合せ

科学技術・学術政策研究所 データ解析政策研究室 (担当:林)
 Tel:03-5253-4111(内線 7400)
 Eメール:d-unit[at]nistep.go.jp

参加の申込み締切り:7月23日(水)15:00

 文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、「民間企業の研究活動に関する調査」の2024年度調査結果を取りまとめました。
 研究開発者(新卒・中途を問わず)を採用した企業の割合は前年度より若干増加して54.6%、なかでも博士課程修了者を採用した割合は2年連続で増加して11.4%となりました。また、1社当たりの中途採用者数平均は3年連続で増加しました。
 研究開発者を確保するために、大学学部等の学生を対象としたインターンシップを実施する企業の割合が56.4%、人材エージェント(職業紹介事業者)を通じた人材の採用も53.7%と進んでいることが分かりました。また、7割以上の企業において、求める人材からの応募があれば博士課程修了者を採用する姿勢が確認されました。
 企業の合併・買収(M&A)について、企業を対象とした「合併・買収・事業譲渡を実施した」企業の割合は9.1%、「資本提携・資本参加・出資拡大を実施した」企業の割合は7.4%でした。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:民間企業の研究活動に関する調査報告2024[NISTEP REPORT No.206]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2025夏号(Vol.11 No.2)を公表しました。
早稲田大学商学学術院 清水 洋 教授への特別インタビュー、科学技術への顕著な貢献 2024(ナイスステップな研究者)の選定、注目科学技術等の可視化・分析システム、「バルセロナ宣言」とは何かなど、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
STIHorizonLogoTop

2025年5月21日(水)に科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、「第12回科学技術予測調査 科学技術等の中長期的な将来予測に関するアンケート調査(デルファイ調査)」の結果を公表しました。この度、この最新結果を加えた「デルファイ調査検索」改訂版を公開いたします。

「デルファイ調査」は、今後30年間の実現が期待されるトピック(研究開発課題)の実現時期や重要度などについて、多数の専門家の意見を収集したものです。1971年から12回にわたる調査で取り上げたトピック(研究開発課題)は、約1万件になります。
第12回調査では、8分野、計836のトピック(研究開発課題)を調査対象とし、4761名の専門家にアンケートへの御協力をいただきました。

「デルファイ調査検索」では、以下の検索をすることができます。
■「全調査からの⼀括検索・表示」では、第1回から第12回までのすべての調査回(年)を対象に、キーワード検索や類似度検索によってトピック(研究開発課題)を抽出し、実現時期と重要度を見ることができます。
■「各回の調査結果の検索・表示」では、特定の調査回(年)について、各トピック(研究開発課題)の実現時期、重要度、国際競争力など、詳細な結果を見ることができます 。

「デルファイ調査検索」へのアクセス:
https://www.nistep.go.jp/research/scisip/delphisearch

「第12回科学技術予測調査 科学技術等の中長期的な将来予測に関するアンケート調査(デルファイ調査)調査資料-346」へのアクセス:
科学技術・学術政策研究所 ライブラリ

 文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)ではこれまで、「専門家が注目する科学技術アンケート調査」として、NISTEPが運用する専門家ネットワークに対し、自身が注目する科学技術の概要や実現時期等をアンケート調査してきました。
これらの回答は将来実現し得る科学技術等についての専門家の見解(エキスパートジャッジ)であり、未来に関するデータという点で、学術論文や特許といった既存の情報とは異なる価値を有しており、俯瞰・分析することで科学技術の変化の兆しの早期発見に資すると考えられます。

 これまで2020~2023年度の間に約一年おきに注目科学技術アンケート調査を実施し、過去3回分の調査データが蓄積されています。本調査では、過去3回の注目科学技術アンケート調査をマップで可視化することによって俯瞰的に分析し、回答傾向や特徴を明らかにしました。

 さらに、一般に使用可能な分析ツール(ST PANGAEA)を作成したため、その使い方についても概説します。詳細は報告書URL及び以下URLを御参照ください。

報告書URL:専門家が注目する科学技術(注目科学技術)等の可視化・分析システム[DISCUSSION PAPER No.241]

ST PANGAEA:ST PANGAEA



科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、2005年より毎年、科学技術イノベーションの様々な分野において活躍され、日本に元気を与えてくれる方々を「ナイスステップな研究者」として選定しています。
過去に選定された方の中には、その後ノーベル賞を受賞された山中伸弥教授(京都大学、平成18年)及び天野浩教授(名城大学、平成21年)も含まれています。(※所属等はいずれも当時)

2024年12月に選定した「ナイスステップな研究者2024」では、今後活躍が期待される若手研究者を中心に、物理学、生物学、コンピュータ科学、言語学など多岐にわたる分野における、様々な社会的課題に関わる研究のほか、研究活動のみならず様々な形で国内外へ広く成果を還元されている方を選定しています。

7月8日(火)の講演会では、全2回シリーズの第2回として「ナイスステップな研究者2024」のうち5名から、優れた研究活動や、特色のある取組などについて御紹介いただきます。今回は、事前にご登録いただいた方への限定公開という形でZoomウェビナー配信を行う予定です。皆様の御参加をお待ちしております。

開催概要
  • 日時:2025年7月8日(火)10:30-15:30(オンライン開催)
  • 視聴方法:Zoomウェビナー配信
  • 言語:日本語
  • 定員:500名
  • 登録方法:以下のフォームからご登録ください。(登録期限:7/2(水)17:00まで)
    ご登録日と開催日前日の2回、メールでURL等を御案内いたします。
    (登録を締め切りました。御登録いただいた皆様、有り難うございました。)
講演会スケジュール(1講演は質疑含め35分程度)
第2回:2025年7月8日(火)
10:30- 佐々田 槙子 ・東京大学大学院 数理科学研究科 教授
「ミクロとマクロの世界をつなぐ数学-非平衡統計力学の普遍的な理解を目指して-」
講演資料
11:10- 高山 和雄 ・東京科学大学 総合研究院 難治疾患研究所 人体模倣システム学分野 教授
「iPS細胞やオルガノイド、臓器チップを用いた感染症研究」
講演資料
11:45-13:30                    休憩
13:30- 平松 光太郎 ・九州大学大学院 理学研究院 化学部門 教授
「高速分光技術の開発と大規模細胞解析への応用」
講演資料
14:10- 宮川 創 ・筑波大学 人文社会系 准教授(西アジア文明研究センター専任)
・国立国語研究所 研究系 共同研究員
「AIを活用した低資源言語のコーパス構築:古代エジプト語・コプト語を中心に」
講演資料
14:50- 加藤 淳 ・国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人間情報インタラクション研究部門 主任研究員
「現場に根差すツール研究で人々の創造性を支える」
講演資料
「近未来への招待状~ナイスステップな研究者2024からのメッセージ~」第2回講演会は終了いたしました。

この度、人工知能分野の主要国際会議(AAAI, AAMAS, ICML, IJCAI, NeurIPS)を対象に、2015年から2024年の10年間における研究発表の動向を分析しました。
本調査は、研究活動の国際的な構造変化や日本の立ち位置を把握することを目的としたものです。

各発表の著者所属機関の所在国・地域を整理・集計するとともに、発表タイトルをもとにワードクラウドを作成し、研究テーマの推移を可視化しました。国・地域の推定には、LLMによる著者・所属抽出とROR APIを組み合わせた半自動化手法を導入しています。

分析の結果、以下の知見が得られました:

  • 発表件数は大きく増加し、NeurIPSでは2015年の403件から2024年には4,538件と約11倍に。
  • 増加を牽引したのは中国と米国で、AAAI・IJCAIでは中国が首位。一方、ICML・NeurIPS・AAMASでは米国が最多ながらシェアは低下傾向。
  • AAMASでは2024年に中国が英国を抜いて2位、インドも4位に浮上するなど、地理的構図に変化。
  • 国際共著では米中共著が最大であり、シンガポール・韓国・インドのハブ化が進む中、日本は件数を増やす一方で周縁的な位置にとどまる。
  • 研究テーマは深層学習中心からLLM・生成AI、倫理・公平性、医療・ロボティクスなど応用へと広がりを見せている。

 本報告書では、地域イノベーションシステムの状況を明らかにするため、地域のステークホルダーとして、企業、都道府県、政令指定都市、財団法人、公設試験研究機関、金融機関の合計5,643機関を対象として、大学との各種連携に係る実態・意識についてアンケート調査しました。
 その結果、大学との連携を行ったことがある機関のうち7割以上が、それぞれの連携において期待通りの成果が得られたと認識していることが確認されました。また、好ましい結果となった要因として、学内の専門家人材による丁寧な対応と、平素より最新の研究動向や地域の課題意識を共有する交流の場の設定が重要であることを確認することができました。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:地域イノベーションと大学の地域貢献に関するアンケート調査報告[調査資料 No.347]

 NISTEPにおいて継続的に実施している、「民間企業の研究活動に関する調査」(民研調査)で得られたデータを用いて、報告書の分析用データとは別視点での分析用データを作成し、民間企業における費用構造からみた研究開発状況を分析しました。
 本調査研究は、民研調査での定義と民間企業の研究開発経営で使われる定義が異なる調査項目のなかで特に注目するものについて、この両者の分析用データの比較分析を通して、研究開発状況の実態を把握することを目的としています。
 研究開発効率に関しては、新聞報道等で用いられた評価指標を用いて、民研調査の個票データから数値を算出し、新聞報道等の数値との比較分析を行いました。民研調査から作成した数値では、研究開発効率等は種々報告されている結果より良い方向に修正されることが見いだされました。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:民間企業における費用構造からみた研究開発の状況―「民間企業の研究活動に関する調査報告」を軸とした分析―[DISCUSSION PAPER No.240]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2025夏号(Vol.11 No.2)の一部をweb先行公開(6月2日)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

ナイスステップな研究者から見た変化の新潮流
・科学技術への顕著な貢献 2024(ナイスステップな研究者)の選定

レポート
・英国における研究動向の調査研究
 - UKRI を事例とした共起ネットワーク分析から見る研究動向-

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
STIHorizonLogoTop

 科学技術・学術政策研究所では、第6期科学技術・イノベーション基本計画期間中の科学技術やイノベーション創出の状況変化について、定量指標では把握困難な点も含めて、包括的に把握するため、第一線で研究開発に取り組む研究者や有識者約2,200名を対象とした5年間の継続的な意識調査(第4期NISTEP定点調査)を実施しています。2024年度に実施された4回目調査の結果を取りまとめましたので公表します。2024年度調査の主な結果は次の通りです。

 (1) NISTEP定点調査を通じて継続的な問題意識が示されている事項として、博士後期課程進学者の数、基盤的経費の確保、研究時間の不足等の課題が挙げられます。特に、研究資源や政府の研究費マネジメントに関する多くの質問で、物価高騰の影響を指摘する意見が増加しました。
 (2) 「博士号保持者の活躍に向けた課題」では、博士後期課程への進学を妨げる主な要因として、博士号取得後のキャリアパスの見通しが立てにくいことが上位でした。
 (3) 「研究インテグリティ・研究セキュリティ確保に係る取組の研究活動への影響と改善策」では、我が国で初めて研究インテグリティ・研究セキュリティ確保に係る取組による研究現場での影響を明らかにしました。さらに、研究現場のニーズに基づく優先的な改善策として、適用除外範囲のガイドライン策定、法務的人材の養成・確保、公的窓口の設立と手続きの標準化・効率化を特定しました。

■NISTEP定点調査専用ページはこちら

この度、撤回論文データベースであるRetraction Watch Data 及び、研究成果書誌データベースであるOpenAlexを活用し、撤回論文の実態に関する分析を行いました。本調査は、学術研究における信頼性確保や研究インテグリティ向上に関する議論に資することを目的として実施されたものです。

撤回論文には、単なる不注意による誤りだけでなく、データの捏造・改ざん・盗用といった不正行為に基づくものも含まれており、研究者や研究機関の信頼性を損なう重大な要因となっています。こうした不正行為の抑止に向けて、撤回論文の実態把握と定量的な分析は、研究政策の観点からも極めて重要です。

本研究では、撤回論文の年別推移や、学術分野別、著者所属機関の国・地域別、撤回理由別など、多角的な視点からデータを整理・分析しました。また、関連する既存研究についても併せて調査し、論文撤回における研究不正の傾向やパターンに関する理解を深めました。

分析の結果、以下のような知見が得られました:
撤回論文の件数は年々増加傾向にある。

  • 撤回件数の多い国・地域は、通常の論文数や引用数における上位国とは異なる傾向を示している。
  • 特定の著者が突出して多くの撤回論文を出しているケースがあり、国・地域単位の傾向分析を難しくしている。
  • 我が国においては、一部の著者による大量撤回が全体の撤回数を押し上げていることが確認された。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:撤回論文の概況2024「DISCUSSION PAPER No.239」