調査研究成果公表

このたび、日本の科学研究力の現状と課題「NISTEPブックレット-1(ver. 5)」を公表しましたので、お知らせします。

本ブックレットは、我が国の科学技術・学術政策の検討・策定プロセスに役立てるために、当研究所の科学技術・学術基盤調査研究室の研究成果を中心として、我が国の科学研究力の現状と課題について、俯瞰的視点に立ち、エビデンスベースで簡潔にまとめたものです。2013年から取りまとめを行っています。

今回のバージョンでは、当所の調査研究から得られた最新の値にデータを更新するとともに、論文と特許のつながりや大学システムのインプット構造の分析等、新たな調査研究の結果も含めております。

関係各位の政策・戦略に係る議論・検討に際して御参照、御活用いただければ幸いです。

NISTEPブックレット-1(ver.5)は下記からアクセスしてください。

ライブラリ:
日本の科学研究力の現状と課題[NISTEPブックレット1]

本報告書では、地域における科学技術の資源と活動の現状を把握するため、①企業、②非営利団体・公的機関、③大学、④自治体(科学技術関連予算)、⑤科学研究費助成事業(科研費)、⑥産学連携、⑦特許、⑧論文の8つの項目に着目し分析しました。
その結果、地域の状況は、人口や企業が集積している大都市圏において科学技術に関連する項目の数値が高く、地域イノベーションのポテンシャルが高いと言えること、研究開発費や人材の資源配分において地域間格差が拡大しているとは言いきれないが、企業や大学などが集積している東京圏をはじめとした3大都市圏において資源配分は集中・固定しているという状況が確認されました。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
要旨
概要
報告書全文
ライブラリ:地域科学技術指標2018[調査資料-278]

科学技術・学術政策研究所 (NISTEP) では、研究データのオープン化とシチズンサイエンスを結びつけ、社会の多様な主体との協働をより強く意識したオープンサイエンスを実現するための政策的課題を多角的に検討することを目的として、2017 年1 月に、大学・研究機関、行政機関、図書館、企業等からの参加者37 名による対話型のマルチステークホルダー・ワークショップを実施しました。

グループ対話を通して、

    (1)オープンサイエンスの取り組みは、各研究分野の慣習を尊重して定める必要があること
    (2)シチズンサイエンスにはデータ基盤の共同構築と社会転換のためのアクションという2 つの役割があること
    (3)研究者コミュニティーと社会の知識体系を双方向的に連環する橋渡し人材を魅力的な仕事として確立する必要があること

などの知見を得ました。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。
要旨
概要
報告書全文

ライブラリ: オープンサイエンスの社会課題解決に対する貢献-マルチステークホルダー・ワークショップによる予測- [DISCUSSION PAPER No.163]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2018冬号(Vol.4 No.4)の一部をweb先行公開(11月分)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

ナイスステップな研究者から見た変化の新潮流
・東京大学 大学院工学系研究科物理工学専攻 千葉 大地 准教授インタビュー
-磁石の「状態」を電気的に自在にスイッチできる原理と技術の実証-

・早稲田大学 理工学術院 山口 潤一郎 教授インタビュー
-分子をつなぎ、人をつないで道を切り拓く-

ほらいずん
・全米科学振興協会(AAAS)科学技術政策フォーラム2018報告
-不透明な連邦科学技術予算の中で多様性と社会的包摂を志向する米国科学コミュニティ--

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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科学技術・学術政策研究所 (NISTEP) では、Microsoft 社の書誌情報データ Microsoft Academic Graph (MAG) の利用可能性について、Elsevier 社の Scopus をベンチマークとして、大規模なサンプルで評価を行いました。

MAG はウェブをクローリングして得られた情報に基づくデータベースです。我々は Open Academic Society から無償でダウンロードできるバルクデータを分析に利用しました。このバルクデータには 1800 年から 2017 年に出版された 166,192,182 件の文献の書誌情報が収録されています。MAG と Scopus に収録されている論文を DOI で接続して、接続できた 19,166,705 件の論文について、各データベースから得られる書誌情報を比較しました。

その結果、出版年は 97.0% 、著者数は 98.8% の論文で一致しました。参考文献数の値は Scopus の方が大きいですが、書誌情報とリンク可能な参考文献は MAG の方が多い傾向にあります。また、MAG と Scopus のそれぞれから求めた被引用数のスピアマン順位相関係数は 0.945 であり、強い相関を示しています。一方で、MAG では論文著者の所属機関情報に欠損が多いことが分かりました。

品質の高い書誌情報データベースの選択肢が増えること、また、各データベースの特性を明らかにすることは、計量書誌学の発展のために重要です。MAG は全体としてはとても有用なデータベースです。しかし、現状では、大学ランキングの作成のような所属機関情報を用いる研究目的のためには、既存の商用データベースに頼る必要があると考えられます。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。
要旨
報告書全文

ライブラリ:Microsoft Academic Graph の書誌情報データとしての評価 [DISCUSSION PAPER No.162]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、研究費の属性が大学が行うイノベーション活動に与える影響について分析しました。

具体的に本研究では、研究費を「政府から交付された研究費」、「企業からの提供された研究費」又は「競争的資金」の3つに分類しており、それぞれの研究費属性の違いが本研究が「先駆的発明」及び「普及度」と呼ぶ大学発明特許の指標に及ぼす影響について分析しました。

分析結果によれば、「競争的研究資金」は「先駆的発明」を生み出す傾向が最も高い一方で「普及度」が最も低く,対照的に、「企業からの研究費」は「競争的研究資金」と正反対の結果を示しました。つまり、「企業からの研究費」は「先駆的発明」を生み出す傾向が最も低い一方、「普及度」が高いことが示唆されます。また、「政府から交付された研究費」は両者の中間的な結果を示す傾向があることが分かりました。

 

詳細につきましては、下記のリンクより御覧ください。

要旨

概要

報告書全文

ライブラリ:研究費属性と大学の技術開発の関係について[DISCUSSION PAPER No.161]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2018秋号(Vol.4 No.3)を発行しました。株式会社日立製作所技師長 武田 晴夫氏のインタビュー等、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、第11回科学技術予測調査の一環で、理想とする将来社会像の検討を行うビジョンワークショップを2018年1月に実施しました。それに続き、ケーススタディとして、得られた将来社会像を具体化するシナリオワークショップを同年2月に実施しました。

ビジョンワークショップでは、多様なバックグラウンドを持つ専門家によるグループ討論を経て、50の将来社会像を導出し、それらをHumanity、Inclusive、Sustainability、Curiosityのキーワードの下にまとめました。続くシナリオワークショップでは、キーワードごとに検討を行い、16のシナリオを作成するとともに実現の鍵となる科学技術要素を抽出しました。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。
要旨
概要
報告書全文

ライブラリ:第11回科学技術予測調査 2040年に目指す社会の検討(ワークショップ報告)[調査資料-276]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、国全体でのプロダクト・イノベーション(新しい又は大幅に改善したプロダクト(製品又はサービス)の市場への導入)の経済効果を測定する指標として「国民総企業新規プロダクト・イノベーション売上高(GTNTFInno)」及び「国民総市場新規プロダクト・イノベーション売上高(GTNTMInno)」を提案し、第4回全国イノベーション調査の個票データを用いて試行的に推計しました。

当該調査の対象母集団である常用雇用者数10人以上の我が国に所在する民間企業(380,224社)の状況について有効回答企業から母集団の状況を復元する推計を行った結果、これら企業全体が2014年に計上した総売上高が1,342兆円であり、そのうち国民総企業新規プロダクト・イノベーション売上高(GTNTFInno) は104.8兆円(総売上高の8%)であることを明らかにしました。

また、104.8兆円のうち42.5兆円(総売上高の3%)は、国民総市場新規プロダクト・イノベーション売上高(GTNTMInno)、すなわち、当該企業においてのみならず各企業において市場にとっても新規性のあるプロダクトの導入による売上高によるものであることも明らかにしました。

さらに、これらの指標について欧州各国とも比較を試みたほか、総売上高について経済センサス–活動調査による推計値とも対照し、本稿における推計値の精度が信頼に足り得ることも確認しました。

 

詳細につきましては、下記のリンクより御覧ください。

要約

報告書全文

統計表

ライブラリ:国民総市場新規プロダクト・イノベーション売上高:新プロダクトの市場への導入の経済効果に関する新たな指標の提案と試行的推計[調査資料-277]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、2017年11月29日~12月1日、政策研究大学院大学と共同で第8回予測国際会議を開催しました。
1日目のシンポジウムでは、原山優子総合科学技術・イノベーション会議議員、及び、白石隆政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センター長による基調講演に続き、三つのセッション(未来に向けた戦略と予測、予測活動の新たな展開、デジタル化時代の予測活動)において講演が行われました。続くワークショップでは、将来社会の方向性及びデータ中心の予想活動に関する議論が行われました。
最後の総合討論では、多様なステークホルダーの参画と連携、国際連携の発展が今後の予測活動の方向性として挙げられました。また、データ活用の課題として、相互接続性の担保や責任の所在などが指摘されました。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。
要旨
概要
報告書全文
報告書別冊(シンポジウム講演資料集)

ライブラリ:第8 回予測国際会議「未来の戦略構築に貢献するための予測」開催報告 [調査資料-275]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2018秋号(Vol.4 No.3)の一部をweb先行公開(8月分)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

ナイスステップな研究者から見た変化の新潮流
・国際応用システム分析研究所(IIASA)和田 義英 水資源プログラム長代理インタビュー
-地下水の利用可能量を示す、地球規模の水資源モデルの開発-

ほらいずん
・月面農場から始まる未来の農業と産業の可能性
- NISTEP 予測調査とJAXA 月面農場ワーキンググループ活動報告速報-

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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NISTEP ブックレット-2(Ver. 4.1)では、若手研究者を中心とした科学技術イノベーション人材のキャリアに関する調査等の成果を俯瞰的に取りまとめました。本ブックレットは、過去に刊行された資料をもとにデータの更新と編集を加えたものです。
本ブックレットの内容の引用を行う際には、出典の明記をお願いします。各図表に出典が付記されている場合は、それもあわせて記載してください。

詳細は以下からアクセスしてください。

ライブラリ:
NISTEPブックレット-2(Ver. 4.1)「科学技術イノベーション人材の現状と課題」
正誤表

 本研究では、全国的な地域イノベーションのポテンシャルや産学官ネットワーク分析の中で、対象地域として取り上げる九州と北陸地方の位置づけを行った。産学官のネットワークについては、九州域内での密接な関係が構築されていたのに対し、北陸では、東京や大阪など、域外とのネットワークがより強くみられた。
 九州における「東九州メディカルバレー」においては、中小企業が、従来型産業から、医療機器開発という新たな産業への展開を進めてきており、ロックインを脱して、新たな発展経路が形成されてきている。「福岡バイオバレー」においても、バイオベンチャー企業が、久留米大学との連携を強め、クラスター形成に資している。
 北陸地方における主要企業調査では、企業内での技術軌道の転換がみられたケースと、国の地域イノベーション施策が関わって技術軌道の転換がみられたケースとに分けられる。前者の事例としては、大手企業の分工場の場合が多いのに対し、地域に本社を有する大手企業、中小企業の場合は、地域の大学や公設試験研究機関との連携が強く、地域イノベーションを進める素地があったといえる。
 今後、地域経済へのインパクトの大きな地域イノベーションを惹起していくためには、地域本社企業の技術軌道をおさえつつ、その軌道の改善や転換を促すような施策を戦略的に展開していくことが重要といえる。また、公設試験研究機関の広域連携を促し、広域的な観点から国際競争力のある拠点整備を進めていくことが重要といえよう。

詳細については以下のリンクより御覧ください。
要旨
報告書全文

ライブラリ:地方ブロック圏域における地域イノベーションの成果と課題[DISCUSSION PAPER No.159]