調査研究成果公表

 科学技術・学術政策研究所では、第6期科学技術・イノベーション基本計画期間中の科学技術やイノベーション創出の状況を把握するため、第一線で研究開発に取り組む研究者や有識者約2,300名を対象とした5年間の継続的な意識調査(第4期NISTEP定点調査)を実施しています。2回目調査の結果がまとまりましたので公表します。

 2回目調査の主な結果は次の通りです。①優秀な外国人研究者の受け入れ・定着、研究施設・設備、地域創生、大学経営等において、大学の特徴を踏まえた支援の有用性が示唆されました。②若手研究者に安定した雇用が提供できていない、研究者業績評価に関するマネジメント層と研究者間のコミュニケーションに課題がある、といった点が、多くの日本の大学に共通している課題であることが示唆されました。③学術研究・基礎研究及び研究時間等の研究において普遍的に重要な事項について、継続的な問題意識が示されました。④新型コロナウイルス感染症は、業務の効率化や国際連携の推進等に対して正・負両方の影響をもたらしていることが示唆されました。⑤円安・物価高が、国際連携・頭脳循環、研究基盤等、様々な側面で悪影響をもたらしていることが示唆されました。

■NISTEP定点調査専用ページはこちら

文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP, 所長 大山真未)の第1調査研究グループでは2022年12月から2023年1月において、日本国内の博士課程を持つ全大学における2022年4月以降の全ての博士(後期)課程入学者を対象として「博士(後期)課程1年次における進路意識と経済的支援状況に関する調査」を実施いたしました。

本速報では、ウェブ調査票の全ての必須回答の設問に回答した完全な有効回答6,153件に基づき、調査結果のうち『博士(後期)課程への進学を決めた際に予想していた研究環境と比べての所感』などを示しています。調査対象者に「研究時間の確保」「研究指導の機会(頻度)」「研究指導の質」「教員以外との研究交流」「研究施設、設備」「経済的支援」「総合的な研究環境」の7種の側面で『予想していた研究環境と比べての所感』を5択の選択肢で尋ねたところ、[とても良い]と[やや良い]の合計割合が最も高かったのは「研究指導の質」の59%でした。一方で、この合計割合が最も低かったのは「経済的支援」の32%でした。なお、本発表は速報であり、暫定的な集計値を掲載しています。

今後、確報に相当する調査資料の公表については2023年夏頃を予定しています。確報が発表された後は、確報をご利用ください。本調査の実施に際し、多大なご協力をいただいた大学事務局および博士課程学生の皆様に心から感謝申し上げます。

速報の内容については、

「博士(後期)課程1年次における 進路意識と経済的支援状況に関する調査」- 結果概要(速報)-

より御覧ください。

【参考1】博士(後期)課程1年次における進路意識と経済的支援状況に関する調査[日本語版ウェブ調査票]

【参考2】博士(後期)課程1年次における進路意識と経済的支援状況に関する調査[英語版ウェブ調査票]

 

本研究では、科学的知見に基づく(サイエンスベースな)画期的なイノベーションを実現するために必要となる企業における吸収能力の内容について、研究開発投資(財政的資源)と科学技術人材(人的資源)の両面に着目して、学術論文及び特許を用いた書誌情報とも接続させて実証分析を行いました。

分析の結果、サイエンスベースな画期的イノベーションを実現するためには、科学的知見それ自体では必ずしも成果に結びついていないものの、これを補完する研究開発投資や科学技術人材といった吸収能力を有していることが重要であることが示唆されました。

詳細については、以下のリンクよりご覧ください。

 

ライブラリ:サイエンスベースのイノベーション実現のための吸収能力:全国イノベーション調査を用いた実証分析 [DISCUSSION PAPER No.221]

 

 

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、引用文脈分析と呼ばれる手法を用いて、自然科学(以下NS)と人文学・社会科学(以下SSH)の間の引用行動の特徴を明らかにするための調査を実施しました。

 特に再生可能エネルギー(SDG7)と気候変動(SDG13)に着目して、これらのテーマに関する論文とそこで引用されている論文をそれぞれNSとSSHのいずれかに分類し分析を行うことで、NSとSSH間の学際的な引用の特徴を明らかにしています。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ http://doi.org/10.15108/dp220

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、論文データベース分析により、国際的に注目を集めている研究領域を俯瞰したサイエンスマップを作成し、世界の研究動向と日本の活動状況の分析を実施しています。このたび、最新版となる「サイエンスマップ2020」(2015~20年の論文を対象)の結果がまとまりましたので、お知らせします。

 サイエンスマップ2020では919の国際的に注目を集めている研究領域が見いだされました。サイエンスマップ2020への日本の参画領域割合は、サイエンスマップ2018の30%から1ポイント増加し31%となりました。英国やドイツの参画割合は約5~6割となっていますが、両国ともサイエンスマップ2016から2020にかけて参画領域数及び参画領域割合を減少させています。中国が先導する研究領域数が216領域となり米国の178領域を上回りました。ただし、現状では中国内での引用が多い状況です。

 今回のサイエンスマップでは、研究段階(基礎段階、臨床研究・応用研究等)についての分析も行っています。研究段階の視点から研究領域数の変化をみると、より応用段階に近い研究領域数の増加が、過去20年間のサイエンスマップにおける研究領域数の増加の要因の一つであることが分かりました。また、人工知能が関係している研究領域の時系列変化、社会科学等が関係している研究領域の動向の分析も行っています。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

サイエンスマップ専用ページはこちら

※サイエンスマップは、これまで約2年おきに10時点にわたり調査研究結果を発表してきましたが、現在の形式による報告は今回を最後とし、今後、マッピング手法等の最新の知見も取り入れつつ、より長期的な観点から科学研究の変化を観測していくため、調査研究の内容や発行頻度を見直すことを検討していきます。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2023春号(Vol.9 No.1)を公開しました。
WiL (World Innovation Lab)創業者・代表取締役 伊佐山元氏の特別インタビュー、科学技術への顕著な貢献 2022(ナイスステップな研究者)の選定、EUにおける戦略的フォーサイトの取組など、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
STIHorizonLogoTop

本報告書では、国内の大学発ベンチャーを対象に、事業の国際展開に乗り出するための要因と課題を探索し、それらの関係を明らかにするため、経済産業省「令和3年度大学発ベンチャー実態等調査」のデータを利用し分析しました。特に同調査の国際展開に関連する質問項目と他の主要な項目に関して分析をおこなったところ、研究領域における外国企業との提携実施が、将来に関する戦略(出口戦略)と関連があることが判明しました。また、外国企業との提携実施を目的変数とした決定木分析の結果、研究と開発の領域では資本金が最初の分枝点において最も効果の大きい変数であることが分かりました。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。

国際化視点の大学発ベンチャーデータ分析

 

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では,調査資料-326「プレダトリージャーナル判定リストの実態調査」を公開しました。
 
この調査では,近年問題となっているプレダトリージャーナル(悪徳雑誌,粗悪学術誌,ハゲタカジャーナルとも称される)について,分布を分析すると共に, これが一般にどのような理由でプレダトリーであることが疑われると判定されているかについて,商用のプレダトリージャーナルデータベースを用いて調査しました。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ https://doi.org/10.15108/rm326

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、次期科学技術予測調査の基礎情報収集及び政策検討の基礎情報提供のため、専門家ネットワークに対し現在注目される科学技術についてのアンケートを行いました。

アンケートでは延べ533件の回答がありました。また同時に、それらの科学技術の実現に必要な事項や実現した際のインパクト等、様々なコメントが寄せられました。なお本調査は、専門家が注目する科学技術を「注目科学技術」とし、専門家の最新の知見を毎年幅広く収集・蓄積し公表するものです。

詳細につきましては、以下のリンクよりご覧ください。

ライブラリ:専門家が注目する科学技術に関するアンケート調査(NISTEP注目科学技術2022)[調査資料-325]

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、研究開発を実施している我が国機関の基本的情報を収録する「NISTEP大学・公的機関名辞書」の作成、維持、公開に取り組んでいます。このたび、最新バージョンであるNISTEP大学・公的機関名辞書(Version 2022.2)を公表します。
 機関名辞書には、大学及び公的研究機関を中心に、研究活動を行っている我が国の約2万1千の機関(約1万6千の代表機関と約5千の主な下部組織)の情報を掲載しています。
NISTEP大学・公的機関名辞書(Ver. 2022.2)では、掲載機関数がver.2022.1に比べて417機関(代表機関46、下部組織371)増加しました。増加の主な理由は、2022年4月に新設された大阪公立大学の組織を加えたこと、及び既存の12大学の下部組織を拡充したことです。また、全機関20,943のうち19,603機関(93.6%)に英語名が付けられています。

 

  • NISTEP大学・公的機関名辞書はこちらからダウンロードできます。
  • 大学・公的機関における研究開発に関するデータはこちらをご覧ください。

文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP, 所長 佐伯浩治)では、民間企業の研究開発活動に関する基礎データを収集し、科学技術イノベーション政策の立案・推進に資することを目的として、「民間企業の研究活動に関する調査」を実施しております。このたび、2022年度調査を行いましたので、結果の速報をお知らせいたします。

本調査は、1968年度より実施しており、2022年度調査(2021会計年度の活動調査)は、研究開発を行っている資本金1億円以上の企業3,798社(暫定値)を対象に2022年8月に調査票を送付しました。集計された企業は1,983社で回収率52.2%(共に暫定値)でした。

本速報では、新たな調査項目の調査結果や顕著な変化があった調査結果のうち主なものについて示します。なお、本発表は速報であり、暫定的な集計値を掲載しています。

今後、確報の公表については2023年6月頃を予定しています。確報が発表された後は、確報を御利用ください。
本調査の実施に際し、多大な御協力を頂いた企業の皆様をはじめとする関係者の方々に心から感謝申し上げます。

速報の内容については、こちら(PDF)より御覧ください。

 
科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では,調査資料-324「研究活動における オープンソース・データの利用に関する簡易調査」を公開しました。
 
この調査では,研究活動における新たな分析手法・指標の開発を念頭に,研究活動にけるオープンソース・データの利用状況の調査を目的として,物理・情報系分野におけるメジャーなプレプリントサーバである arXiv を対象に,プレプリント(原稿)中のオープンソース・オープンデータ言及回数を調査しました。オープンソースとして github,オープンデータに Zenodo, figshare を取り上げて調査し、また,比較のための基礎データとして DOI も取り上げて調査しました。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ https://doi.org/10.15108/rm324

インターネット調査会社にモニター回答者として登録している15歳から69歳までの男女合計6,600人に対し、我が国の科学技術分野における人的国際交流等について質問した。

人的国際交流がどの程度行われているかの質問に対しては「(あまり)十分には行われていない」が男性53%、女性51%と、性別に関係なく不十分との見解の方が強いように思われた。また、「わからない」が男性24%、女性33%と女性の方が高い一方で、「(まあ)十分に行われている」は男性23%、女性16%と男性の方が高かった。

「(まあ)十分に行われている」については、年代別では若い世代(24歳以下)で高いことも判明した。

要旨

概要

報告書全文

科学技術に関する国民意識調査-人的国際交流について-