調査研究成果公表

科学技術・学術政策研究所では、2055年までを展望する第12回科学技術予測調査を現在実施しています。第12回科学技術予測調査は、ホライズンスキャニング、ビジョニング、デルファイ調査、シナリオ分析により構成され、最終報告書は2025年に刊行予定となります。今回、2022年度に行ったビジョニングの調査結果を取りまとめ、公表いたします。

ビジョニングでは、ワークショップ、市民アンケート調査、ビジョナリー調査などにより、個々人及び社会の価値観を考慮しながら、「ありたい」「望ましい」と想う多様な未来像を共創的・ボトムアップに描きました。特に、20~30年後に30~50歳代となり、社会で主要な役割を果たすことが期待される若者世代の声をできるだけ多く反映するようにいたしました。得られたビジョンを暫定的に24のビジョンにまとめ、さらに6つのビジョンに統合しました。内面の豊かさなど精神性を重視するビジョンが多く、大まかには、個々人の生き方・暮らし方(固定的な属性からの解放、自分らしさの追求、生活の余白・余裕等)、他者とのつながり・関係性(利他主義、深いやさしさ・共感に溢れる等)、社会のかたち・ありかた(多様性・包摂性、地域性・自律性・分散性、資本主義的価値観からの脱却等)、科学技術との向き合い方(人に寄り添い人を幸せにする、身体性・感性・人間性を活かす等)等に関連するビジョンが多く描かれました。また、地域の文化・歴史観・自然観の継承を重視するビジョンも多くありました。

今回の結果は、第12回科学技術予測調査の他の調査結果とも併せて総合的に分析し、未来像に向けた方策を描いていく予定です。

詳細につきましては、以下のリンクよりご覧ください。
http://hdl.handle.net/11035/0002000020

参考:科学技術予測について
science-and-technology-foresight-and-science-and-technology-trends

NISTEP企業名辞書(以下、企業名辞書)及び企業名辞書と特許情報を統合し利用可能とする接続テーブルの更新をいたしました。

■NISTEP企業名辞書(ver.2023_1);
特許出願の累積件数、株式上場、大学由来のベンチャーなどの辞書登録基準に基づき、新たな企業の追加登録及び掲載企業情報の最新化を行った。
これにより、企業名辞書(ver.2023_1)の総登録企業数は、29,271社(+1,457、前版比)となっている。

■特許情報との接続テーブル(ver.2023_1);
上記企業名辞書と特許情報(IIPパテントデータベース)との接続を行うテーブルの改訂を行った。この接続テーブルには名寄せ処理により生成した企業名辞書登録企業と特許出願企業とを接続する情報12,114,663件(+119,224)が含まれ、企業の全特許出願件数の9割以上を網羅している。

企業名辞書その他関連ファイルのダウンロードは、こちらからお願いいたします。

 本研究では、当研究所が実施した研究室パネル調査で得られた研究プロジェクトのモチベーションを元に日本の大学の研究プロジェクトを分類し、分類ごとのプロジェクトの特徴とそこから生まれる成果物の傾向の違いを明らかにしました。

 分析の結果、日本の大学の研究プロジェクトのモチベーションは大きく5グループ13タイプに分類され、タイプに応じて成果物やプロジェクトの属性の傾向が大きく異なることが明らかになりました。モチベーションの種類によって成果の種類は異なりますが、各モチベーションはそれぞれ特定の成果物と正の相関があり、高いモチベーションを持って研究を実施できる環境の構築が必要であると言えます。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ http://doi.org/10.15108/dp225

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、NISTEP大学・公的機関名辞書に収録された機関と、それらを出願人とする特許出願データを統合し利用できる対応テーブルを作成致しました。
特許情報との連携に関しては、これまでNISTEP企業名辞書に収録する企業を対象とした対応テーブルを公開しておりましたが、この度、大学及び公的機関についても出願人の名寄せを行い、NISTEP大学・公的機関名辞書との対応テーブルを構築致しました。
これにより、既に公開されている科学論文等の対応テーブルとともに利用することにより、企業 、大学及び公的機関を問わず幅広く情報連携することが可能になり、分析に即したさまざまな情報を取得できる情報基盤の構築ができます。
NISTEP大学・公的機関名辞書と特許出願情報との対応テーブルその他関連ファイルのダウンロードは、以下のURLからお願いいたします。

http://www.nistep.go.jp/research/scisip/rd-and-innovation-on-industry

科学技術・学術政策研究所では、約5年毎に、今後30年間という科学技術の中長期発展を展望する「科学技術予測調査 デルファイ調査」を実施しており、2019年には第11回調査を公表しました。
この度、調査実施から20年程度が経過した第7回調査(2001年)及び第6回調査(1997年)を主な対象として、調査で取り上げたトピック(実現が期待される研究開発課題)の実現状況を評価しました。
その結果、トピックの約7割が実現しており、情報・通信分野及び環境分野の実現割合が高く、保健・医療分野及び宇宙分野の割合が低いことがわかりました。
また、当時予測された実現年が遅くなるにつれ実現割合が低下する傾向が見えたことや、実現済理由としてニーズ主導が大半を占めたことなど、ニーズが実現に大きく関わったことが分かりました。

これらにより、第7回調査及び第6回調査では、中長期的な科学技術発展を一定程度見通したトピック設定がなされたと評価され、また、実現予測年は実現可能性の指標となり得ることが分かりました。ただし、社会に大きな影響を与えたものの調査では取り上げなかった科学技術も存在することには留意が必要です。将来ニーズを見極め、分野による科学技術発展の特徴を踏まえた調査設計を引続きの課題としています。

詳細につきましては、以下のリンクよりご覧ください。
https://nistep.repo.nii.ac.jp/records/2000010

参考:科学技術予測について
science-and-technology-foresight-and-science-and-technology-trends

15歳から69歳までの男女合計6,600人に対し、科学技術の進歩が健康状態、身の周りの安全、経済成長、脱炭素等の22のウェルビーイング分野の増進に繋がっているか国民の意識を調べたところ、「(どちらかというと)そう思う」が50%を超えるのは、健康状態、経済成長の2分野であった。科学技術の進歩が健康状態、経済成長の増進に繋がっているとする回答と幸福度が高いとする回答について両者の相関を調べたところ相関関係があった。

要旨
概要
報告書全文

科学技術に関する国民意識調査-科学技術とウェルビーイングとの関係-

 

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、研究開発を実施している我が国機関の基本的情報を収録する「NISTEP大学・公的機関名辞書」の作成、維持、公開に取り組んでいます。このたび、最新バージョンであるNISTEP大学・公的機関名辞書(Version 2023.1)を公表します。
機関名辞書には、大学及び公的研究機関を中心に、研究活動を行っている我が国の約2万1千の機関(約1万6千の代表機関と約5千の主な下部組織)の情報を掲載しています。
NISTEP大学・公的機関名辞書(Ver. 2023.1)では、掲載機関数がver.2022.2に比べて262機関(代表機関5、下部組織257)増加しました。また、全機関21,205のうち19,849機関(93.6%)に英語名が付けられています。

 

  • NISTEP大学・公的機関名辞書はこちらからダウンロードできます。
  • 大学・公的機関における研究開発に関するデータはこちらをご覧ください。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2023夏号(Vol.9 No.2)を公開しました。
東京農工大学 学長 千葉一裕 氏インタビュー、東北大学 流体科学研究所 准教授 鈴木杏奈 氏インタビュー、東京大学 生産技術研究所 講師 杉原加織 氏インタビューなど幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
STIHorizonLogoTop

本研究では、文部科学省が2002年から2009年までに実施した知的クラスター創成事業に焦点を当て、大学・公的研究機関と企業の科学技術成果に対するクラスター政策の効果を分析しました。

分析の結果、知的クラスター創成事業への参加が、大学・公的研究機関の(学術論文でなく)特許出願を増やす一方で、企業の(特許出願でなく)学術論文を増やすことで地域におけるイノベーションを促進していることが分かりました。また、大学・公的研究機関による特許出願や企業による学術論文について、それらの数だけでなく被引用件数も増えたことから、科学技術成果の質の向上も示唆されています。

詳細については、以下のリンクよりご覧ください。

ライブラリはこちらをご覧ください。
学術的知識創造と地域イノベーションへのクラスター政策の影響: 日本における産学連携の地理

 本報告書では、人工知能分野及びロボティクス分野の主要な国際会議における各国の動向を把握するために、国別発表件数の推移及び国際共著関係の分析を行いました。
各国の発表件数については、米国が多くの学会で第1位を占めており、中国は、近年、各学会において発表件数が増加していること、一方、日本の発表件数については、多くの国際会議において英仏独等と同様に米中より少ないことが判明しました。
 又、国際共著については、米国を中心とした国際共著関係が各学会において見られ、特に、米国と中国においては多数の国際共著関係にあること、一方、日本は人工知能分野では国際共著関係が少ない傾向にあるが、ロボット分野では比較的多くの国際共著関係が見られることが分かりました。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。

人工知能分野及びロボティクス分野の国際会議における国別発表件数の推移等に関する分析

文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は日本の研究者による論文とプレプリントの入手や公開の状況、および認識を明らかにするために、オンライン調査を実施し、現在研究活動を行っている1,104名の回答を分析しました。
 
 その結果、研究に必要な論文を十分に入手できている研究者は42.0%であることなどが分かりました。論文のオープンアクセス(OA)経験は83.3%が有しており、プレプリントの入手経験は67.3%(+15.2ポイント)、公開経験は29.5%(+9.1ポイント)であり、いずれも増加していることなどが分かりました。

報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ https://doi.org/10.15108/rm327

 科学技術・学術政策研究所では、第6期科学技術・イノベーション基本計画期間中の科学技術やイノベーション創出の状況を把握するため、第一線で研究開発に取り組む研究者や有識者約2,300名を対象とした5年間の継続的な意識調査(第4期NISTEP定点調査)を実施しています。2回目調査の結果がまとまりましたので公表します。

 2回目調査の主な結果は次の通りです。①優秀な外国人研究者の受け入れ・定着、研究施設・設備、地域創生、大学経営等において、大学の特徴を踏まえた支援の有用性が示唆されました。②若手研究者に安定した雇用が提供できていない、研究者業績評価に関するマネジメント層と研究者間のコミュニケーションに課題がある、といった点が、多くの日本の大学に共通している課題であることが示唆されました。③学術研究・基礎研究及び研究時間等の研究において普遍的に重要な事項について、継続的な問題意識が示されました。④新型コロナウイルス感染症は、業務の効率化や国際連携の推進等に対して正・負両方の影響をもたらしていることが示唆されました。⑤円安・物価高が、国際連携・頭脳循環、研究基盤等、様々な側面で悪影響をもたらしていることが示唆されました。

■NISTEP定点調査専用ページはこちら

文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP, 所長 大山真未)の第1調査研究グループでは2022年12月から2023年1月において、日本国内の博士課程を持つ全大学における2022年4月以降の全ての博士(後期)課程入学者を対象として「博士(後期)課程1年次における進路意識と経済的支援状況に関する調査」を実施いたしました。

本速報では、ウェブ調査票の全ての必須回答の設問に回答した完全な有効回答6,153件に基づき、調査結果のうち『博士(後期)課程への進学を決めた際に予想していた研究環境と比べての所感』などを示しています。調査対象者に「研究時間の確保」「研究指導の機会(頻度)」「研究指導の質」「教員以外との研究交流」「研究施設、設備」「経済的支援」「総合的な研究環境」の7種の側面で『予想していた研究環境と比べての所感』を5択の選択肢で尋ねたところ、[とても良い]と[やや良い]の合計割合が最も高かったのは「研究指導の質」の59%でした。一方で、この合計割合が最も低かったのは「経済的支援」の32%でした。なお、本発表は速報であり、暫定的な集計値を掲載しています。

今後、確報に相当する調査資料の公表については2023年夏頃を予定しています。確報が発表された後は、確報をご利用ください。本調査の実施に際し、多大なご協力をいただいた大学事務局および博士課程学生の皆様に心から感謝申し上げます。

速報の内容については、

「博士(後期)課程1年次における 進路意識と経済的支援状況に関する調査」- 結果概要(速報)-

より御覧ください。

【参考1】博士(後期)課程1年次における進路意識と経済的支援状況に関する調査[日本語版ウェブ調査票]

【参考2】博士(後期)課程1年次における進路意識と経済的支援状況に関する調査[英語版ウェブ調査票]