調査研究成果公表

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、世界保健機関(WHO)で公開されている COVID-19 に関する文献リストである the WHO COVID-19 database 並びに プレプリントサーバ bioRxiv および medRxiv で公開されている COVID-19 SARS-CoV-2 関連の論文リストを対象として、COVID-19 / SARS-CoV-2 に関する研究の概況把握を行いました。

 COVID-19 / SARS-CoV-2 に関する論文数は 2002年の SARS など、過去の感染症事例に比べて立ち上がりや増加数がまったく異なることが観察されました。論文の内容(トピック)について、人工知能関連技術をもちいて分類し、その時系列や国・地域別の分布を調査したところ、トピックの分類および時系列推移は疫学調査のステップに合致するような傾向を示していることがわかりました。国・地域別でもトピックの分布には異なりが見られますが、これらはアウトブレークの時期の異なりによるものと推測できます。

 論文数を国・地域で比較すると、中国、米国の論文数が多く、イタリア、英国、フランス等が上位であることが確認されました。また、論文数と感染者数の間には相関がみられ、感染者数あたりの論文数では日本が米国、イタリア、英国、フランス等を上回っています。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:COVID-19 / SARS-CoV-2 に関する研究の概況 [DISCUSSION PAPER No. 181]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、日本が生み出す論文数が停滞している要因を明らかにするために、日本の大学を対象に1980年代からの論文数、研究者数、研究開発費の長期マクロデータを整備し、過去、日本の論文数が増加している時期も含めて重回帰分析及び要因分析を行いました。

その結果、2000年代半ばからの、日本の論文数の停滞は、1)教員の研究時間割合低下に伴う研究専従換算係数を考慮した教員数の減少(2000年代半ば~2010年頃)、2)博士課程在籍者数の減少(2010年頃以降)、3)原材料費のような直接的に研究の実施に関わる費用の減少(2010年頃以降)といった複合的な要因からなることを示しました。

報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。本調査研究で用いたデータについても、参考資料として公表します。

ライブラリ:長期のインプット・アウトプットマクロデータを用いた日本の大学の論文生産の分析[DISCUSSION PAPER No.180]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、2006年5月に発行した「忘れられた科学 – 数学 ~主要国の数学研究を取り巻く状況及び我が国の科学における数学の必要性~[POLICY STUDY №12]」を踏まえ、日本の数学の現況の客観的な把握を行い、数学の振興施策の基本情報とするため、論文データベース等を用いながら分析を行いました。

その結果、米国やドイツでは数学研究予算の増加などが示唆されており、数学研究の重要性は増してきています。数学論文数の国別順位を見ると日本、ドイツやフランスでは多少の論文数のシェア低下が見られます。
各学際分野の論文数の推移を見ると、日本における諸科学と数学との学際分野の論文数は増えていますが、世界は日本よりもさらに論文数が伸びていることがわかります。ただし、医学や芸術及び人文学との学際分野の論文数については世界の伸びより日本の伸びが大きいことなどが分かりました。

詳細は以下を御覧ください。
要旨
概要
報告書全文

ライブラリ:数学研究に関する国際比較-「忘れられた科学」から-[調査資料-287]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2020春号(Vol.6 No.1)を発行しました。国立研究開発法人物質・材料研究機構 理事長/総合科学技術・イノベーション会議 議員 橋本 和仁 氏のインタビュー等、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2020春号(Vol.6 No.1)の一部をweb先行公開(2月分)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

特別インタビュー
・国立研究開発法人物質・材料研究機構 理事長/総合科学技術・イノベーション会議 議員 橋本 和仁 氏インタビュー
-マテリアルズ・インフォマティクスがリードする材料研究・開発、そしてNIMSの戦略-

ほらいずん
・NISTEPフォーサイトシンポジウム
-第6期科学技術基本計画に向けて日本の未来像を展望する-(開催報告)

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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本調査研究では、イノベーション・プロジェクトの段階的なマネジメント方法(ステージ型管理法)がイノベーションのアウトプットに及ぼす影響を定量的に分析しています。分析には、当研究所が実施している「全国イノベーション調査」の調査票情報と企業の会計・信用情報を接合したデータセットを用いています。

分析の結果、ステージ型管理法を採用した企業は、市場新規プロダクト・イノベーション実現の有無及び売上率が有意に高いことが分かりました。この結果は、ステージ型管理法の採用によって不確実性の高いプロジェクトが着手されやすくなり、市場新規プロダクト・イノベーションの実現を促進したことを示唆しています。プロジェクトの中止・継続の判断を柔軟にすることは、画期性の高いイノベーションを創出するうえで重要と考えられます。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

要旨
概要
本文(英語)

ライブラリ:
研究開発プロジェクトの中止・継続がイノベーションの成果に及ぼす影響とその決定要因:全国イノベーション調査による定量分析[DISCUSSION PAPER No.178]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、博士人材データベース(JGRAD)を用いて、博士課程在籍者等(一部、修士を含む)を対象に、修了後のキャリアパスや移転可能スキルに関する意識調査を行いました。

その結果、キャリアパスに関する不安については、回答者の属性(博士か修士か、日本人か留学生か、等)により、不安内容ごとの優先度(不安を感じる度合い)に違いがあることや、博士人材が広く社会で活躍するために必要な能力である移転可能スキルについては、3人に1人はプログラムとして学ぶ機会があるが、3人に1人は「自主努力」に任されているか、「学ぶ機会がない」こと等が分かりました。また、博士課程で身に着けたい能力としては、我が国では「専門性」や「語学力」が中心で「倫理」や「産学連携」等には関心が薄い等の特徴がみられました。
この他、博士課程留学生等に対する意識調査も実施しています。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
要旨
概要
報告書全文

ライブラリ:博士課程在籍者のキャリアパス意識調査:移転可能スキルへの関心と博士留学生の意識[DISCUSSION PAPER No.176]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、特許の発明内容を分析するための自然言語処理技術と統計数理⼿法に基づく新たな手法を提案し、日本の特許データを用いて提案手法の機能可能性評価を行いました。

その結果、特許の発明内容の分布状況の可視化や類似特許の検索において提案⼿法が期待通りに機能することを確認しました。また、本提案手法により、日本では個人や大学等の特許は幅広い分野に分布している一方、企業特許は特定分野に集中的に出願されていることが分かりました。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
要旨
報告書全文

ライブラリ:特許文書情報を用いた発明内容の抽出と出願人タイプ別特性比較[DISCUSSION PAPER No.175]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、大学と民間企業が連携するための種々な協働研究開発システムについて、研究領域と協働研究方法等の特徴から細分化し、個々の実態を大学視点で分析しました。

大学と民間企業による協働研究開発システムにおいて、化学系では組織としての大学の位置づけが明確であるのに対し、機械・電機・材料系では教員個人による課題解決型の研究協力が多く、組織としての大学の位置づけが明確でない場合が典型的であることなど、大学全体の包括的な実態の分析では浮き彫りにされにくい個々の実態の詳細をまとめています。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
要旨
概要
報告書

ライブラリ:大学と民間企業による協働研究開発システムの実態 ―工学系の事例研究―[DISCUSSION PAPER No.177]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2019冬号(Vol.5 No.4)を発行しました。政策研究大学院大学 科学技術イノベーション政策研究センター(SciREX センター)顧問 黒田 昌裕 氏のインタビュー、第11回科学技術予測調査等、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、NISTEP定点調査から得られた定性データ、各種定量データを多角的な視点で見ることで、エビデンスベースの政策立案の前提となるデータの再確認を行い、今後の科学技術イノベーション政策の検討に向けた前提条件の共有を試みるワークショップを開催しました。具体的には、大学の研究開発費に注目し、NISTEP定点調査から得られた研究者・有識者の認識と研究開発統計の一致点・不一致点についての議論や、欧州における大学へのファンディングの状況を踏まえた、日本が取るべき今後のアクションの検討を行いました。約90名の参加者による議論を通じて、研究現場の閉塞感を打破するためのメッセージとして、以下の3点が得られました。

    1. 現場研究者が実感できる形での基盤的経費の確保・充実が必要である。
    2. 定量データや定性データには、それぞれ限界があることに留意しつつ、特定のデータだけに依存して施策や評価を行うことには危うさがあると認識すべきである。
    3. 大学に対する投資の確保・充実の重要性を主張するために、研究教育活動の可視化を行う必要がある。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:研究現場の閉塞感を打破するには: エビデンスベースの政策立案の前提条件の 共有に向けて ― NISTEP定点調査ワークショップ2019より ―[調査資料-286]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2019冬号(Vol.5 No.4)の一部をweb先行公開(11月分)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

ナイスステップな研究者から見た変化の新潮流
・東北大学 東北アジア研究センター 学術研究員/日本学術振興会 特別研究員 大野 ゆかり 氏インタビュー
-市民参加型調査「花まるマルハナバチ国勢調査」を立ち上げ、マルハナバチの全国分布データを作成-

・早稲田大学 理工学術院 Edgar Simo-Serra 専任講師インタビュー
-日本の陶芸を愛する若きAI研究者のチャレンジ-

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、我が国の研究活動の国際的影響の状況を把握するため、論文データベースを用いて、国際的被引用及び国際共著の状況について新たな指標の導入及びそれらを用いた地理的分析を実施しました。
 全分野及びSDGsなどに関係した6分野の詳細分析から、研究規模の大きな国・地域の中では米国、中国、韓国、台湾が、研究の成長性が高い国・地域ではインドネシア、ベトナム、フィリピンと言ったASEAN加盟国が、日本と高引用・高共著関係にある国・地域、つまり研究成果の普及・協力関係の構築において日本と関係が強い国・地域として特定されました。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:論文の引用・共著関係からみる我が国の研究活動の国際展開に関する分析[調査資料-285]