調査研究成果公表

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、地域における科学技術の資源と活動の現状を把握するため、①企業、②非営利団体・公的機関、③大学、④自治体(科学技術関連予算)、⑤科学研究費助成事業(科研費)、⑥産学連携、⑦特許、⑧論文の8つの項目に着目し分析しました。その結果、地域の状況は、人口や企業が集積している大都市圏において科学技術に関連する項目の数値が高く、地域イノベーションのポテンシャルが高いと言えること、研究開発費や人材の資源配分において地域間格差が拡大しているとは言いきれないが、企業や大学などが集積している東京圏をはじめとした3大都市圏において資源配分は集中・固定しているという状況が確認されました。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:地域科学技術指標2019[調査資料-294]

 NISTEPでは、科学技術に関する国民意識データを収集し、科学技術イノベーション政策の立案・推進に資することを目的として、2009年度から、「科学技術に関する国民意識調査」を実施しております。
 本報告書は、2020年4月10日に速報として公表した「科学技術に関する国民意識調査-新型コロナウイルスを含む感染症に対する意識-」をレポートとして取りまとめたものです。

[結果概要]

  • 「政府が講じるべき施策」として他の施策と比べて新型コロナウイルス、鳥インフルエンザ、エボラ出血熱などの感染症予測と対策への関心が急速に高まっていることが判明しました。
  • 性別で見ると、「一般の人への分かりやすい情報提供」では、男性より女性が常に関心が高いことが分かりました。
  • 年代別で見ると「一般の人への分かりやすい情報提供」や、「研究開発の推進」では50-60代の関心が高いことが分かりました。

このように、新型コロナウイルス感染症を契機に、国民の科学技術に対する関心の高まりがみられました。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:科学技術に関する国民意識調査-新型コロナウイルスを含む感染症に対する意識-[調査資料-293]

 科学技術・学術政策研究所では、科学技術の専門家から動向や見解等を収集するため、2,000人規模の専門家ネットワークを構築・運営しています。2020年6月、専門家ネットワークに対して「新型コロナウイルス感染症等による日本の科学技術への影響と科学者・技術者の貢献に関するアンケート調査」を行いました。この度、本調査の主な結果を速報としてお知らせいたします。

 本調査では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる科学技術全体への影響から、感染症対策に資する個々の科学技術、研究現場での実態や課題まで幅広く、専門家の意見を聴取しました。この結果、日本の科学技術への影響として「直接的・間接的に影響を受ける」、「研究開発活動の在り方が変化する」、「新しい科学的な発見や発明、イノベーションが起こるきっかけとなる」と回答した割合が高いことが明らかになりました(それぞれ54%、39%、32%)。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックからの教訓や反省を踏まえた、今後の科学技術政策の方向性としては、「国家的危機の克服と社会経済回復への貢献」と回答した割合が最も高く(35%)、次いで「基礎科学研究の長期的視点での着実な推進」(28%)、「共通基盤の充実、産学官等の連携推進」(26%)となりました。さらに、新型コロナウイルス感染症を含む新興感染症の対策に向けて重視すべき政策として「幅広い分野での研究者や技術者の育成・確保」と回答した割合が49%で最も高く、「研究開発事業の拡充・多様化」(43%)、「国内連携・協力」(例:研究データの収集・共有・利活用システム)(34%)との回答も多いことが明らかになりました。

速報の内容については、以下のリンクより御覧ください。
新型コロナウイルス感染症等による日本の科学技術への影響と科学者・技術者の貢献に関するアンケート調査(速報)

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、COVID-19の研究活動に関する国際協力の現状を把握し、協力関係構築の推進に向けた基礎データを提供することを目的とし、世界保健機関(WHO)から公開されている文献データ及び論文データベース(Scopus)より特定したCOVID-19文献(2020年4月末時点)を対象に、文献産出状況の地理的分析、国際共著分析を実施しました。

 その結果、COVID-19文献の産出状況については、アジアでの産出量が多いが、徐々にEUや北米でも産出されるようになっていることが確認されました。また、COVID-19文献の国際共著状況については、近しい分野と比較して、国際共著する傾向にあること(特に3か国・地域以上での国際共著)、アジアよりも欧米の方が国際共著していることが明らかとなりました。
 
 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
 

ライブラリ:COVID-19研究に関する国際共著状況: 2020年4月末時点のデータを用いた分析[DISCUSSION PAPER No.185]

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、プレプリントを用いたエマージングな研究動向の把握手法開発を念頭に、arXiv や medRxiv など主要なプレプリントサーバにおける COVID-19 に関する文献リストを対象として、COVID-19 に関する研究の概況把握を試みました。
 全体としては COVID-19 に関するプレプリント投稿件数が伸びていること、医療系のみならず、人文社会系や物理・情報系に主軸を置くプレプリントサーバにおいてもプレプリントの投稿があること、などが確認されました。
 その上で、論文の内容(トピック)について、人工知能関連技術を用いて分類し、その時系列分布を調査したところ、トピックの分類および時系列推移は疫学調査のステップに合致するような傾向を示していることがわかりました。特に通常の査読論文も含めて分析した先行研究では明確には検出ができていなかった、医薬・ワクチン開発に関するトピックを抽出することができ、プレプリントを用いてエマージングな研究動向を把握できる可能性を確認しました。

 なお、本分析に用いたデータは別途データセット( http://doi.org/10.15108/data_covid19_2020_5 )としても公開しています。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:COVID-19 / SARS-CoV-2 関連のプレプリントを用いた研究動向の試行的分析[DISCUSSION PAPER No.186]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2020秋号(Vol.6 No.3)の一部をweb先行公開(6月25日)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

レポート
・システム思考の科学技術イノベーション(STI)政策(後編)
 システム思考の政策分析による論点整理の方法-第5期科学技術基本計画を素材として-

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2020夏号(Vol.6 No.2)を公開しました。
トヨタ自動車株式会社 代表取締役会長 内山田竹志氏や東京大学 先端科学技術研究センター 太田禎生 准教授のインタビューなど、
科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、日本が生み出す論文数が停滞している要因を明らかにするために、日本の大学を対象に1980年代からの論文数、研究者数、研究開発費の長期マクロデータを整備し、過去、日本の論文数が増加している時期も含めて重回帰分析及び要因分析を行った結果を2020年4月3日にDiscussion Paperとして公表しました。

今回、Discussion Paperの補遺として、論文数の停滞の主な要因と考えられる、研究専従換算係数を考慮した教員数や博士課程在籍者数、原材料費に注目し、主に停滞からの回復を念頭においた3つのシナリオについて推計を行った結果を公表します。

現状の変化が継続した場合、日本の理工農分野の大学の論文数は減少する可能性がありますが、総合科学技術・イノベーション会議による「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」(令和2年1月23日)に掲げられている「学内事務等の割合を半減し、研究時間を確保」との目標を達成した場合、整数カウントの論文数が5~8千件増加する可能性が示唆されました。

なお、本補遺の結果は、さまざまな仮定や留意点の下で行った、資源配分のエビデンスや将来予測として用いる段階に至らない発展途上の結果です。分析に用いたデータも含めて公表することで、建設的な議論が進展することを期待しています。

報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。本調査研究で用いたデータについても、参考資料として公表します。

ライブラリ:長期のインプット・アウトプットマクロデータを用いた日本の大学の論文生産の分析[DISCUSSION PAPER No.180]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、国連で示された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に資すると考えられる将来の科学技術の探索を目指し、2019年に実施した第11回科学技術予測調査の科学技術トピック(全702件)を対象に、自然言語処理を用いてSDGsとの関連付けを行い、関連度80%以上の科学技術トピック150件を抽出しました。

それらのうち、国連が掲げるSDGsの達成年の2030年までに日本社会で利用・普及し、かつ日本にとって重要度と国際競争力が高い科学技術は、モビリティ(高齢者等支援を含む)・サービスコンテンツの共用・平時から緊急時までの情報技術・情報セキュリティ・社会基盤施設モニタリング・新しい製造技術の超精密プロセス技術と考えられます。なお、NISTEPが2020年6月18日に公表した「民間企業の研究活動に関する調査2019」では、SGDsへの対応のための研究開発を実施した企業の割合は21.1%であり、このうち、製造業とサービス業は同程度の割合と示されています。このように、SDGsに資する科学技術は日本の強みとなる可能性があります。

さらに、新型コロナウイルス感染症対策である「新しい生活様式」に関連する科学技術をSDGsに関連度の高い科学技術から探索したところ、行動記録・電子決済・室内換気・オンライン会議・テレワークに関する科学技術が抽出されました。いずれも、2019年調査時点では、重要度、国際競争力は共に中程度、日本社会での実現は2030年前後と予想されていましたが、今後のニーズの高まりにより実現年は大幅に早まる可能性があります。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:
SDGsの達成に資すると考えられる将来の科学技術の試行的探索 [DISCUSSION PAPER No. 184]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、「第11回科学技術予測調査」を実施しました。本調査は、「社会の未来像(ワークショップ報告)」検討と「科学技術の未来像」の検討を基に、「科学技術発展による社会の未来像」を描く調査です。この度、「第11回科学技術予測調査 S&T Foresight 2019 総合報告書」(2019年11月公表)に続き、各論報告書を作成しました。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

第11回科学技術予測調査 2050年の未来につなぐクローズアップ科学技術領域-AI関連技術とエキスパートジャッジの組み合わせによる抽出・分析-[調査資料-290]
    702の科学技術トピックをAI関連技術によりクラスタリング、専門家の検討を経て、16のクローズアップ科学技術領域を抽出しました。デルファイ調査アンケート結果を基に領域概要を取りまとめました。
第11回科学技術予測調査 科学技術の発展による2040年の社会-基本シナリオの検討-[調査資料-291]
    社会の未来像(50の社会像)と科学技術の未来像(702の科学技術トピック)を基に科学技術の発展による社会の未来像を検討し、基本シナリオ「人間性の再興・再考による柔軟な社会」を取りまとめました。
第11回科学技術予測調査 デルファイ調査[調査資料-292]
    2050年までを見通して、7分野計702の科学技術トピック(実現が期待される研究開発課題)を設定しました。その重要度や実現見通しなどに関する専門家アンケートを実施し、結果を取りまとめました。
第11回科学技術予測調査 科学技術や社会のトレンド把握[Discussion Paper No. 183]
    検討に先立ち、科学技術や社会のトレンド情報を収集しました。

デルファイ調査の科学技術トピックの検索やデータのダウンロードはこちら

※1971年から2019年まで11回のデルファイ調査のトピック等が参照できます。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2020夏号(Vol.6 No.2)の一部をweb先行公開(6月8日分)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

レポート
・特許文書情報を対象としたコンテンツ分析の手法と出願人タイプ別特性比較

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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 近年、大学院博士課程への進学者数は減少傾向にあり、優秀な学生の進学を促す経済的支援が求められています。また、支援の効果に関する全体像の分析が重要となっています。
 本調査では、制度の異なる経済的支援(給付型、貸与型等)の効果を比較するため、科学技術・学術政策研究所が運用する博士人材データベース (Japan Graduates Database: JGRAD) の登録情報の分析を行いました。
 博士課程在籍年数、中退率、修了後の職業選択等を指標として、試行的分析を行ったところ、博士課程在籍期間については、分析した全ての経済的支援制度で、平均在籍期間の短縮が見られました。中退率については、学費の免除を受けていない者が特に高い数値を示しました。修了後のキャリアパスについては、博士課程教育リーディングプログラム参加者で特に多様化が見られました。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:博士人材データベース(JGRAD)の登録情報を用いた博士課程の経済的支援の効果に関する試行的分析[DISCUSSION PAPER No. 182]

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、2018 年10 ⽉から11⽉にかけて科学技術専⾨家ネットワークを活⽤したウェブアンケート調査を実施しました。
 その結果、回答者1,516 名のうち51.8%がデータ公開、78.0%が論⽂のインターネット公開の経験がありました。2016 年調査の結果と⽐較すると、全体としてはデータの公開が進んでいませんが、分野による差が分かりました。
 また、助成機関等が要求しているデータマネジメントプラン(DMP)の作成経験を持つ回答者は18.7%にとどまりました。DMPの作成は、データの公開経験を持つ回答者によっては、研究上のインセンティブがあることが⽰されたものの、研究者のデータ公開に対する懸念は依然として強く、84.2%が引⽤せずに利⽤される可能性、75.9%がデータの所有権・契約、69.1%が先に論⽂を出版される可能性を「問題」または「やや問題」であると認識しています。
 また、データを公開しようとする場合の資源の不⾜感も強く、84.6%は⼈材、80.3%は時間、78.7%は資⾦が、それぞれ「不⾜」または「やや不⾜」していると認識しています。

報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:研究データ公開と論⽂のオープンアクセスに関する実態調査2018[調査資料-289]