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本調査研究では、イノベーション・プロジェクトの段階的なマネジメント方法(ステージ型管理法)がイノベーションのアウトプットに及ぼす影響を定量的に分析しています。分析には、当研究所が実施している「全国イノベーション調査」の調査票情報と企業の会計・信用情報を接合したデータセットを用いています。

分析の結果、ステージ型管理法を採用した企業は、市場新規プロダクト・イノベーション実現の有無及び売上率が有意に高いことが分かりました。この結果は、ステージ型管理法の採用によって不確実性の高いプロジェクトが着手されやすくなり、市場新規プロダクト・イノベーションの実現を促進したことを示唆しています。プロジェクトの中止・継続の判断を柔軟にすることは、画期性の高いイノベーションを創出するうえで重要と考えられます。

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本文(英語)

ライブラリ:
研究開発プロジェクトの中止・継続がイノベーションの成果に及ぼす影響とその決定要因:全国イノベーション調査による定量分析[DISCUSSION PAPER No.178]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、科学技術・イノベーション政策の企画、立案、推進及び評価に必要な基礎資料を得ることを目的として、我が国における民間企業のイノベーション活動の実態や動向を調査するため、一般統計調査「全国イノベーション調査」を実施しています。このたび、最新となる2018年調査(参照期間:2015年から2017年までの3年間)の結果を取りまとめましたので、お知らせします。

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報道発表資料
ライブラリ:全国イノベーション調査2018年調査統計報告[NISTEP REPORT No.182]

「全国イノベーション調査2018年調査」は、OECD(経済協力開発機構)とEurostat(欧州委員会統計総局)が2018年10月に改訂・公表した『オスロ・マニュアル2018』に準拠した我が国公式のイノベーションに関する統計調査です。2018年調査では、従業者数10人以上の企業(一部の産業を除く)505,917社を対象母集団として30,280社を標本抽出し、うち9,439社から有効回答を得ています。本調査の結果はOECDにも提供され、今後、国際比較も可能となる見込みです。

本調査の主な結果は、以下の通りです。

  • 対象母集団において、38%の企業(194,197社)がイノベーション活動を実行した。
  • 対象母集団において、12%の企業(62,879社)がプロダクト・イノベーションを実現した。このうち、49%の企業が市場新規プロダクト・イノベーションを実現した。
  • イノベーション活動実行企業は、イノベーション活動非実行企業に比べて大学院修了者及び博士号保持者を雇用していた企業の割合が高い。
  • イノベーション活動を阻害した要因として、「自社内における能力のある人材の不足」を挙げた企業の割合が最も高い。
  • イノベーション活動実行企業のうち、9%の企業が大学・他の高等教育機関と協力してイノベーション活動を実行した。また、プロダクト・イノベーション実現企業のうち、34%の企業がプロダクト・イノベーションを他社や他の機関と共同で開発した。
  • 国全体のプロダクト・イノベーションによる売上高(2017年)は143兆円であり、このうち31兆円は市場新規プロダクト・イノベーションによる売上高であった。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、特許権データと意匠権データを発明者・創作者レベルで接続して、企業内のデザインイノベーションに関する組織について定量的な分析を行いました。分析の結果、発明活動と意匠活動の役割分担(Division of Innovative Labor)が進んでおり、この役割分担が特許を多く出願している規模の大きい特許出願人において顕著であることが分かりました。この背景には、イノベーション活動の専門分化・細分化、外部デザイナーの活用やオープンイノベーションの進展が影響していると考えられます。

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報告書全文
ライブラリ:特許データと意匠データのリンケージ: 創作者レベルで見る企業における 工業デザイン活動に関する分析[DISCUSSION PAPER No.171]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、日本とドイツにおけるイノベーション調査の個票データを分析し、中小企業の国際化戦略がプロダクト・イノベーションの成果に及ぼす影響について分析しました。分析の結果、海外市場展開と海外組織との連携を同時に行う「統合的な国際化戦略」が市場新規のプロダクト・イノベーションに貢献することが分かりました。この分析結果は日本とドイツの2ヶ国に共通しており、技術の発展やグローバル化によって国際化の障壁が小さくなっていることが示唆されます。

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報告書全文(英文)
ライブラリ:日本とドイツの中小企業における 国際化とイノベーション: 統合的な国際化戦略の重要性[DISCUSSION PAPER No.170]

科学技術・学術政策研究所 (NISTEP) では、総務省の『事業所・企業統計調査』と『経済センサス』を用いて、事業所・企業及びビジネスグループのパネルデータを構築する方法を検討して、日本のビジネスグループのプレゼンスとダイナミズムについて分析しました。また、特許出願データも接続して、特許出願におけるビジネスグループの果たす役割についても分析しました。

今回作成したデータから以下のような結論が得られました。日本経済においてビジネスグループに雇用されている従業員数は2006年に25%、2009年には32%のシェアを占めています。フランスやイタリアと比べて、日本のビジネスグループは大規模グループの雇用のシェアが大きく、小規模グループのシェアは小さい傾向がありました。特許出願においてはビジネスグループは2006年に76%、2009年に78%のシェアを占めており、また、インキュベーション(育成)効果は、従業員規模、特許出願の両面で認められました。

今回作成した2006年と2009年のデータでは内生性の問題への対処などに限界があるため、今後はパネルデータを拡張することなどにより、結果の頑健性を確認することが望ましいと考えています。

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ライブラリ:日本におけるビジネスグループの構造とパフォーマンス [DISCUSSION PAPER No.164]

科学技術・学術政策研究所では、政府統計調査「全国イノベーション調査 2018年調査」(一般統計)を実施いたします。本ページには、調査票を送付した企業の皆様に御回答いただくためのウェブ回答システムへのリンクを掲載しています。

ウェブ回答システムへのログイン

ウェブ回答システムへのログインは、調査票を送付した対象企業の皆様に限られます。

ウェブ回答システムの開発・運営、調査票の回収・検票・データ入力,督促・問い合せ対応等の調査に係る一連の業務は株式会社サーベイリサーチセンターに委託して実施しております。業務委託に当たり、データ等の取扱いについて秘密保持の契約を結んでいます。

本調査は国の重要な統計調査であり、得られた結果は我が国においてイノベーションを促進するための政策に資する重要な基礎資料となります。御多忙の折、誠に恐縮に存じますが、本調査の趣旨を御理解いただき、回答に御協力いただけますよう、お願いいたします。

お問い合わせ窓口

株式会社サーベイリサーチセンター 「全国イノベーション調査 2018年調査」事務局
〒103-0027 東京都中央区日本橋3丁目13番5号 KDX日本橋313ビル 5階
フリーダイヤル: 0120-966-326
FAX: 03-6826-5150
E-mail: jnis2018@surece.co.jp
受付時間: 10:00~17:30(土曜、日曜、国民の祝日、振替休日を除く)

調査実施主体
文部科学省科学技術・学術政策研究所 第1研究グループ
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-2-2中央合同庁舎第7号館東館16階

科学技術・学術政策研究所 (NISTEP) では、Microsoft 社の書誌情報データ Microsoft Academic Graph (MAG) の利用可能性について、Elsevier 社の Scopus をベンチマークとして、大規模なサンプルで評価を行いました。

MAG はウェブをクローリングして得られた情報に基づくデータベースです。我々は Open Academic Society から無償でダウンロードできるバルクデータを分析に利用しました。このバルクデータには 1800 年から 2017 年に出版された 166,192,182 件の文献の書誌情報が収録されています。MAG と Scopus に収録されている論文を DOI で接続して、接続できた 19,166,705 件の論文について、各データベースから得られる書誌情報を比較しました。

その結果、出版年は 97.0% 、著者数は 98.8% の論文で一致しました。参考文献数の値は Scopus の方が大きいですが、書誌情報とリンク可能な参考文献は MAG の方が多い傾向にあります。また、MAG と Scopus のそれぞれから求めた被引用数のスピアマン順位相関係数は 0.945 であり、強い相関を示しています。一方で、MAG では論文著者の所属機関情報に欠損が多いことが分かりました。

品質の高い書誌情報データベースの選択肢が増えること、また、各データベースの特性を明らかにすることは、計量書誌学の発展のために重要です。MAG は全体としてはとても有用なデータベースです。しかし、現状では、大学ランキングの作成のような所属機関情報を用いる研究目的のためには、既存の商用データベースに頼る必要があると考えられます。

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ライブラリ:Microsoft Academic Graph の書誌情報データとしての評価 [DISCUSSION PAPER No.162]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、研究費の属性が大学が行うイノベーション活動に与える影響について分析しました。

具体的に本研究では、研究費を「政府から交付された研究費」、「企業からの提供された研究費」又は「競争的資金」の3つに分類しており、それぞれの研究費属性の違いが本研究が「先駆的発明」及び「普及度」と呼ぶ大学発明特許の指標に及ぼす影響について分析しました。

分析結果によれば、「競争的研究資金」は「先駆的発明」を生み出す傾向が最も高い一方で「普及度」が最も低く,対照的に、「企業からの研究費」は「競争的研究資金」と正反対の結果を示しました。つまり、「企業からの研究費」は「先駆的発明」を生み出す傾向が最も低い一方、「普及度」が高いことが示唆されます。また、「政府から交付された研究費」は両者の中間的な結果を示す傾向があることが分かりました。

 

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ライブラリ:研究費属性と大学の技術開発の関係について[DISCUSSION PAPER No.161]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、国全体でのプロダクト・イノベーション(新しい又は大幅に改善したプロダクト(製品又はサービス)の市場への導入)の経済効果を測定する指標として「国民総企業新規プロダクト・イノベーション売上高(GTNTFInno)」及び「国民総市場新規プロダクト・イノベーション売上高(GTNTMInno)」を提案し、第4回全国イノベーション調査の個票データを用いて試行的に推計しました。

当該調査の対象母集団である常用雇用者数10人以上の我が国に所在する民間企業(380,224社)の状況について有効回答企業から母集団の状況を復元する推計を行った結果、これら企業全体が2014年に計上した総売上高が1,342兆円であり、そのうち国民総企業新規プロダクト・イノベーション売上高(GTNTFInno) は104.8兆円(総売上高の8%)であることを明らかにしました。

また、104.8兆円のうち42.5兆円(総売上高の3%)は、国民総市場新規プロダクト・イノベーション売上高(GTNTMInno)、すなわち、当該企業においてのみならず各企業において市場にとっても新規性のあるプロダクトの導入による売上高によるものであることも明らかにしました。

さらに、これらの指標について欧州各国とも比較を試みたほか、総売上高について経済センサス–活動調査による推計値とも対照し、本稿における推計値の精度が信頼に足り得ることも確認しました。

 

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統計表

ライブラリ:国民総市場新規プロダクト・イノベーション売上高:新プロダクトの市場への導入の経済効果に関する新たな指標の提案と試行的推計[調査資料-277]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、米国の企業及び研究機関に所属する研究者について、科学技術論文と特許に関するデータを著者及び発明者レベルと接続し、研究者単位のサイエンスリンケージ(論文著者による特許発明の割合)のトレンドを分析しました。

分析の結果、特許からみたサイエンスリンケージは増加傾向にあることが分かりました。AI分野にフォーカスした分析では、企業著者による論文シェアの低下傾向がある一方、特許発明者による論文数では企業シェアの低下は見られませんでした。企業セクターでは、オープンに公表される科学技術論文に取り組みながら特許による技術の囲い込みを行う一方、大学等の公的研究セクターにおいても、論文著者が特許活動にも乗り出す傾向にあり、オープンなサイエンスと特定の所有者による技術の権利化が同時進行で進んでいる姿が浮かび上がります。

 

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報告書全文
ライブラリ:AIにおけるサイエンスとイノベーションの共起化:米国における論文・特許データベースを用いた分析[DISCUSSION PAPER No.160]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、全国イノベーション調査(2015年実施第4回調査)の個票データを用いて、企業における博士号保持者の有無がプロダクト・イノベーションやプロセス・イノベーションに及ぼす影響について分析しました。

分析結果によれば、博士号保持者が在籍している企業はそれ以外の企業に比べて、プロダクト・イノベーション実現確率とプロセス・イノベーション実現確率が統計的に有意に高いことが分かりました。しかしながら、これらの効果は企業規模によって異なっており、小規模企業ではプロセス・イノベーション実現に対する効果が観察されませんでした。

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ライブラリ:博士号保持者と企業のイノベーション:全国イノベーション調査を用いた分析[DISCUSSION PAPER No.158]

科学技術・学術政策研究所による講演会を、下記の通り開催いたします。皆様奮って御参加ください。参加を希望される方は、お手数ですが、御所属・御氏名を1 月19 日(金)までに下記の参加申込み先まで御連絡ください。

 

開催概要

  • 演題:近年の研究不正の要因―学術論文の撤回から見た組織構造,制度及び不正の影響―(原題:Organizational Structure, Institutions and Misconduct: Explaining Retractions in Science)
  • 講師:ジョン・ウォルシュ(John Walsh)氏(ジョージア工科大学教授)
  • 開催日時:2018 年1 月26 日(金)16 時00 分~17 時30 分(受付開始15 時30 分)
  • 開催場所:文部科学省16 階科学技術・学術政策研究所会議室(16B)
  • 使用言語:英語(同時通訳なし)

 

講演趣旨
近年、研究活動における分業化や研究チームの大規模化がますます進んでいます。その一方で、公表された学術論文の撤回が増加しており、その要因として、研究者による不正行為のみならず、組織構造や制度的要因にも焦点を当てる必要性が示唆されています。本講演会では、撤回された学術論文に関する統計的分析を通じて、研究活動の分業化、インセンティブ及び組織の文化といった諸要因が論文の撤回に与える影響について御紹介いただき、その結果から示唆される政策的含意について議論します。なお、本講演会の内容は、講師の未公表論文に基づきます。

講師略歴
ジョージア工科大学イヴァン・アレン教養学部公共政策学科教授。文部科学省科学技術・学術政策研究所国際客員研究官。ノースウェスタン大学(アメリカ合衆国)にて、博士号(社会学)を取得。主要な研究テーマは、特に、政策環境の変化に対する研究組織の対応という社会学的観点に焦点を置いた、科学技術・イノベーションに関する研究である。近年、米国及び日本における産学連携に関する研究や企業戦略における特許の役割に関する国及び産業間の相違に関する研究等に従事している。我が国における研究滞在の経験もあり、日本の科学技術・イノベーション・システムに関する造詣も深い。最近では、NSF(米国国立科学財団)及びKauffman Foundation(カウフマン財団)による助成を受けて、米国においてイノベーション調査を実施しており、その成果は学術論文誌Research Policy 等を通じて公表されている。

参加申込み
科学技術・学術政策研究所第1 研究グループ
E-mail: seminar1gr@nistep.go.jp
申込み締切り:1 月19 日(金)

科学技術・学術政策研究所による講演会を、下記の通り開催いたします。皆様奮って御参加ください。参加を希望される方は、お手数ですが、御所属・御氏名を10 月20 日(金)までに下記の参加申込み先まで御連絡ください。

 

  • 演題:海外大学との共同研究における企業本部の関与(原題:Phone Home? Headquarters’ Involvement in Foreign University Collaboration)
  • 講師:ルネ・ベルデルボス (René Belderbos) 氏(カトリック大学ルーヴェン教授)
  • 開催日時:2017年10月24日(火)16時00分~17時00分(受付開始15時30分)
  • 開催場所:文部科学省16階 科学技術・学術政策研究所会議室 (16B)
  • 講演言語:英語(同時通訳なし)

 

講演趣旨 

経済活動のグローバル化に伴い、海外の大学との共同研究を通じて研究開発能力を高めようとする企業が増加しています。こうした国際産学共同研究では、企業の本国の本社研究開発部門を通じて連携することもあれば、海外の大学に近接した地域に立地する研究開発部門がその役割を担うことも少なくありません。本講演会では、日本を含む科学論文等に関する経済分析の結果から企業の研究開発部門の立地が国際産学共同研究に及ぼす影響について紹介いただくとともに、研究成果から示唆される政策的含意について議論します。

講師略歴

カトリック大学ルーヴェン(ベルギー)教授。科学技術・学術政策研究所国際客員研究官。アムステルダム大学(オランダ)にて修士号(経済学)を取得後、エラスムス大学(オランダ)にて博士号(経済学)を取得。一橋大学経済研究所准教授,サセックス大学(英国)リサーチ・フェロー、王立オランダ・アカデミーを歴任し、2002 年より現職。主な研究テーマは、多国籍企業のイノベーション戦略と国際経営戦略。日本企業や日本経済に関する研究も多数。

講演会の参加申込先

科学技術・学術政策研究所第1 研究グループ
E-mail: seminar1gr@nistep.go.jp
申込み締切り:10 月20 日(金)