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本研究では基幹統計調査「賃金構造基本統計調査」の調査票情報を用いて、我が国において非正規雇用と賃金の関係性が産業の知識集積性によってどのように異なるかを分析しました。

分析の結果、知識集積性の高い産業ほど、非正規労働者と正規労働者との賃金ギャップが大きくなることを明らかにしました。非正規労働者は、流動的な雇用であるため組織内の知識集積に寄与しづらく、このような特徴が賃金ギャップにも反映されたと考えられます。

詳細については、以下を御覧ください。

ライブラリ:労働の柔軟性,イノベーション・レジーム, 及び日本モデルの後退: 『賃金構造基本統計調査』を用いた実証分析[DISCUSSION PAPER No.229]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、科学技術・イノベーション政策の企画、立案、推進及び評価に必要な基礎資料を得ることを目的として、我が国における企業のイノベーション活動の実態や動向を調査するため、一般統計調査「全国イノベーション調査」を実施しています。このたび、最新となる2022年調査(参照期間:2019年から2021年までの3年間)の結果を取りまとめましたので、お知らせします。

全国イノベーション調査は、イノベーションに関するデータの収集、報告及び利用のための国際的ガイドライン『オスロ・マニュアル』に準拠した我が国公式の統計調査です。本調査では、従業者数10人以上を有する企業(一部の産業を除く)が対象母集団です。本調査の結果は、OECD(経済協力開発機構)にも提供され、国際比較可能な最新データとしても活用されます。

本調査の主な結果は、以下のとおりです。

  • 2019年から2021年までの3年間に、対象母集団(448,348社)のうち11%の企業(49,631社)がプロダクト・イノベーションを実現しており、このうち、30%の企業が市場新規プロダクト・イノベーションを実現し、とくに13%の企業が「世界初の新プロダクト」を市場に導入した。また、39%の企業がプロダクト・イノベーションを開発した組織について「他社や他の機関が開発」とし、前回調査と比較して約15%ポイント増加した。また、対象母集団のうち28%の企業(127,302社)がビジネス・プロセス・イノベーションを実現した。これらより、対象母集団のうち32%の企業(143,507社)がイノベーションを実現した。
  • 対象母集団のうち16%の企業が環境便益創出イノベーションを実現した。
  • 対象母集団のうち11%の企業がCOVID-19対応イノベーションを実現した。
  • 対象母集団のうち51%の企業(229,725社)がイノベーション活動を実行した。
  • ディジタリゼーション、とりわけ、クラウド・コンピューティング・サービスやインターネット・オブ・シングスを、イノベーション活動実行企業ほどよく利用した。
  • 全イノベーション活動実行企業のうち、3%の企業が、そのうちの大規模企業に限っては19%の企業が、大学・他の高等教育機関と協力してイノベーション活動を実行した。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。
全国イノベーション調査2022年調査統計報告

本研究では、文部科学省が2002年から2009年までに実施した知的クラスター創成事業に焦点を当て、大学・公的研究機関と企業の科学技術成果に対するクラスター政策の効果を分析しました。

分析の結果、知的クラスター創成事業への参加が、大学・公的研究機関の(学術論文でなく)特許出願を増やす一方で、企業の(特許出願でなく)学術論文を増やすことで地域におけるイノベーションを促進していることが分かりました。また、大学・公的研究機関による特許出願や企業による学術論文について、それらの数だけでなく被引用件数も増えたことから、科学技術成果の質の向上も示唆されています。

詳細については、以下のリンクよりご覧ください。

ライブラリはこちらをご覧ください。
学術的知識創造と地域イノベーションへのクラスター政策の影響: 日本における産学連携の地理

本研究では、科学的知見に基づく(サイエンスベースな)画期的なイノベーションを実現するために必要となる企業における吸収能力の内容について、研究開発投資(財政的資源)と科学技術人材(人的資源)の両面に着目して、学術論文及び特許を用いた書誌情報とも接続させて実証分析を行いました。

分析の結果、サイエンスベースな画期的イノベーションを実現するためには、科学的知見それ自体では必ずしも成果に結びついていないものの、これを補完する研究開発投資や科学技術人材といった吸収能力を有していることが重要であることが示唆されました。

詳細については、以下のリンクよりご覧ください。

 

ライブラリ:サイエンスベースのイノベーション実現のための吸収能力:全国イノベーション調査を用いた実証分析 [DISCUSSION PAPER No.221]

 

 

本研究では、企業における役員の女性比率(女性役員比率)の上昇が労働生産性に与える効果および女性役員比率とイノベーション実現の内容との関係について定量的に検証しました。

分析の結果、女性役員比率が上昇すると労働生産性が上昇すること、女性役員比率とビジネス・プロセス・イノベーション実現との間には正の相関があることの2点が確認されました。

特に、因果の意味において、女性役員比率を向上させることが当該企業の労働生産性を上昇させることにつながることを示唆しています。

 

詳細については、以下のリンクよりご覧ください。

ライブラリ:女性役員比率の労働生産性へ与える効果及びイノベーション実現との関係 [DISCUSSION PAPER No.217]

本調査は終了しました。御協力いただき、ありがとうございました。

科学技術・学術政策研究所では、政府統計調査「全国イノベーション調査 2022年調査」(一般統計調査)を実施しています。本ページには、調査対象企業の皆様(調査対象企業には調査票を郵送いたします)が本調査に御回答いただくためのオンライン回答システムへのリンクを掲載しています。オンライン回答に御協力のほど、よろしくお願いいたします。

オンライン回答システムへのログイン

オンライン回答システムの開発・運営、調査票の回収・検票・データ入力、督促・問い合せ対応等の調査に係る一連の業務は、株式会社サーベイリサーチセンターに委託して実施しております。業務委託に当たり、データ等の取扱いについて秘密保持の契約を結んでいます。

本調査は国の重要な統計調査であり、得られた結果は、国内外においてイノベーションを推進するための政策に資する重要な基礎資料となります。御多忙の折、誠に恐縮に存じますが、本調査の趣旨を御理解いただき、御回答いただけますよう、お願いいたします。

回答期限:2022年10月31日(月) 

「全国イノベーション調査」の概要や過去の調査結果についてはこちらを御覧ください。

委託先・お問い合わせ窓口

株式会社サーベイリサーチセンター 「全国イノベーション調査 2022年調査」事務局
〒103-0027 東京都中央区日本橋3丁目13番5号 KDX日本橋313ビル 5階
フリーコール: 0120-901-844
FAX: 03-6826-5060
E-mail: jnis2022@surece.co.jp
受付時間: 10:00~17:30(土曜、日曜、国民の祝日を除く)

調査実施主体

文部科学省科学技術・学術政策研究所 第1研究グループ
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-2-2中央合同庁舎第7号館東館16階

本研究では、日本企業を対象とした独自の設問票調査を用いて、研究開発プロジェクトの進捗を段階的に管理する「ステージ型管理」が企業のプロダクト・イノベーションの実現に及ぼす影響を検証しました。

実証分析の結果、ステージ型管理を採用している企業は、非採用企業よりもプロダクト・イノベーションを実現する確率が高いことが分かりました。さらに、本研究ではステージ型管理を実施している企業のみを分析対象として、プロジェクトの中止・継続を判断するための中間目標(マイルストーン)について検証したところ、企業がマイルストーンを設定するかどうか、マイルストーンの達成状況をどの程度重視するかは、プロダクト・イノベーションの実現と相関がないことが分かりました。

その一方で、研究開発者に対して中間評価結果のフィードバックを実施することは、プロダクト・イノベーションの実現と正の相関がありました。さらに、フィードバックがプロダクト・イノベーションに及ぼす正の限界効果は、市場新規プロダクトの方が非市場新規プロダクトよりも大きいことも判明しました。本研究の結果は、ステージ型管理および中間評価結果のフィードバックの実施が、企業のイノベーション活動に有益であることを示唆しています。

 

詳細については、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:ステージ型プロジェクト管理がプロダクト・イノベーションの実現に及ぼす影響:企業向け設問調査に基づく分析 [DISCUSSION PAPER No.209]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、科学技術・イノベーション政策の企画、立案、推進及び評価に必要な基礎資料を得ることを目的として、我が国における企業のイノベーション活動の実態や動向を調査するため、一般統計調査「全国イノベーション調査」を実施しています。このたび、最新となる2020年調査(主たる参照期間:2017年から2019年までの3年間)の結果を取りまとめましたので、お知らせします。

詳細は以下のリンクより御覧ください。

要旨

概要

概要(英文)

報告書全文

報道発表資料

ライブラリ:全国イノベーション調査2020年調査統計報告[NISTEP REPORT No.192]

「全国イノベーション調査2020年調査」は、イノベーション・データの収集等に関する国際的ガイドライン『オスロ・マニュアル』に準拠した我が国公式の統計調査です。本調査では、従業者数10人以上を有する企業(一部の産業を除く)442,978社が対象母集団です。本調査の結果は、OECD(経済協力開発機構)にも提供され、国際比較可能な最新データとしても活用されます。

本調査の主な結果は、以下の通りです。

  • 2020年の1年間に、対象母集団のうち14%の企業が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応のプロダクト・イノベーションを実現した。また、約8〜9割の企業では、COVID-19によって研究開発活動や他のイノベーション活動が促進又は阻害されていなかった。
  • 2017年から2019年までの3年間に、49%の企業(215,610社)がイノベーション活動を実行した。また、10%の企業(44,380社)がプロダクト・イノベーションを実現しており、このうち、52%の企業が市場新規プロダクト・イノベーションを実現した。
  • ディジタリゼーション、とりわけ、クラウド・コンピューティング・サービスやインターネット・オブ・シングスを、イノベーション活動実行企業ほどよく利用した。機械学習(人工知能)は、対象母集団のうち4%の企業が利用した。
  • 全イノベーション活動実行企業(215,610社)のうち、3%の企業が、そのうちの大規模企業に限っては20%の企業が、大学・他の高等教育機関と協力してイノベーション活動を実行した。

本研究では、多国籍企業内における国境を越えた研究開発(R&D)活動の配分とR&D成果との関係を分析しました。分析の結果、知識フロー・ネットワークの中心性が高い国・産業により多くのR&D活動を配分している多国籍企業ほど、質を考慮した特許出願数が多くなることが分かりました。このような場所でより重点的にR&D活動を行うことが、質の高い成果につながることが示唆されました。

詳細については,以下のリンクより御覧ください。
日本の多国籍企業における海外研究開発と特許出願[DISCUSSION PAPER No.198]

本研究では、イノベーションの画期性が企業成長に及ぼす影響について、科学技術 ・ 学術政策研究所(NISTEP)が実施した全国イノベーション調査の個票データを用いて実証的に分析しました。分析の結果、革新的イノベーションによる企業成長の効果はみられず、むしろ漸進的イノベーションが企業成長に大きく貢献することが分かりました。また、漸進的イノベーションの効果は高成長企業ほど高いことも明らかになるとともに、低成長企業の成長率向上にも寄与するという発見も得ました。この発見は、マイナス成長に直面するような 低成長企業であっても イノベーション活動に取り組むことで成長率を 改善できる可能性を示唆しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。

要旨

報告書全文

以下の当研究所のライブラリは、システム更新のため7/6-9/16までの間は情報が更新されません。この間に公開したレポート等は当研究所のウェブサイトで公開します。
Library: https://nistep.repo.nii.ac.jp/

大学において、産業界との連携が基礎研究をどのように影響して変化させるのかということに関連して、大学研究者による特許出願への関与と発表論文数との間にどのような関係があるのかという形で、これまで主に欧米各国の大学研究者を対象に多くの実証研究が行われており、両者の間には代替的というよりはむしろ補完的な関係があるとする分析結果もありました。そこで、本論文では、大学研究者による論文産出と特許出願経験との関係を、我が国有数の理工系研究大学の一つであって研究者に関する公開情報が利用可能である東京工業大学の研究者からなるサンプルを用いて分析し、累積的な出願経験数と論文数との長期的な関係が一定程度補完的なものであることなどが示唆されました。

詳細については以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:特許発明の奨励は大学の基礎研究を阻害するのか?[DISCUSSION PAPER No.191]

本調査は終了しました。御協力いただき、ありがとうございました。

科学技術・学術政策研究所では、政府統計調査「全国イノベーション調査 2020年調査」(一般統計調査)を実施いたします。本ページには、調査対象企業の皆様(調査対象企業には調査票を郵送いたします)が本調査に御回答いただくためのオンライン回答システムへのリンクを掲載しています。オンライン回答に御協力のほど、よろしくお願いいたします。

オンライン回答システムへのログイン

オンライン回答システムの開発・運営、調査票の回収・検票・データ入力、督促・問い合せ対応等の調査に係る一連の業務は株式会社サーベイリサーチセンターに委託して実施しております。業務委託に当たり、データ等の取扱いについて秘密保持の契約を結んでいます。

本調査は国の重要な統計調査であり、得られた結果は、科学技術・イノベーション政策の企画、立案、推進及び評価に必要となる、また新型コロナウイルス感染症への研究開発やイノベーションによる対応の状況等に関する重要な基礎資料となります。御多忙の折、誠に恐縮に存じますが、本調査の趣旨を御理解いただき、御回答いただけますよう、お願いいたします。

回答期限:令和2年11月30日(月)
「全国イノベーション調査」の概要や過去の調査結果についてはこちらを御覧ください。

委託先・お問い合わせ窓口

株式会社サーベイリサーチセンター 「全国イノベーション調査 2020年調査」事務局
〒103-0027 東京都中央区日本橋3丁目13番5号 KDX日本橋313ビル 5階
フリーダイヤル: 0120-901-844
FAX: 03-6826-5060
E-mail: jnis2020@surece.co.jp
受付時間: 10:00~17:30(土曜、日曜、国民の祝日、振替休日、年末年始を除く)

調査実施主体

文部科学省科学技術・学術政策研究所 第1研究グループ
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-2-2中央合同庁舎第7号館東館16階

本調査研究では、筆者らが2020年1月に実施した「研究開発マネジメントに関する実態調査」に基づいて日本企業の研究開発マネジメントとイノベーションの現状を分析しています。具体的には、研究開発活動のインプット(研究開発費、研究開発者)、研究開発活動のアウトプット(イノベーション実現状況)、そしてインプットとアウトプットを結びつける研究開発マネジメント(研究開発組織の位置づけや権限,研究開発プロジェクトの管理方法、研究開発者の人事評価・インセンティブ制度・キャリア形成、リスク選好・時間割引率・企業文化)の概要について要約統計量に基づいて記述的に分析しています。なお、本稿は単純集計に基づく基礎的情報を提供しているにすぎず、示唆は可能性のある解釈に留まります。今後、より精緻な分析を行い、研究開発マネジメントがイノベーションに及ぼす影響について調査していきます。

詳細については以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:日本企業の研究開発マネジメントとイノベーションの現状 —「研究開発マネジメントに関する実態調査」結果概要—[DISCUSSION PAPER No.189]