お知らせ

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2025夏号(Vol.11 No.2)の一部をweb先行公開(6月2日)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

ナイスステップな研究者から見た変化の新潮流
・科学技術への顕著な貢献 2024(ナイスステップな研究者)の選定

レポート
・英国における研究動向の調査研究
 - UKRI を事例とした共起ネットワーク分析から見る研究動向-

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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 科学技術・学術政策研究所では、第6期科学技術・イノベーション基本計画期間中の科学技術やイノベーション創出の状況変化について、定量指標では把握困難な点も含めて、包括的に把握するため、第一線で研究開発に取り組む研究者や有識者約2,200名を対象とした5年間の継続的な意識調査(第4期NISTEP定点調査)を実施しています。2024年度に実施された4回目調査の結果を取りまとめましたので公表します。2024年度調査の主な結果は次の通りです。

 (1) NISTEP定点調査を通じて継続的な問題意識が示されている事項として、博士後期課程進学者の数、基盤的経費の確保、研究時間の不足等の課題が挙げられます。特に、研究資源や政府の研究費マネジメントに関する多くの質問で、物価高騰の影響を指摘する意見が増加しました。
 (2) 「博士号保持者の活躍に向けた課題」では、博士後期課程への進学を妨げる主な要因として、博士号取得後のキャリアパスの見通しが立てにくいことが上位でした。
 (3) 「研究インテグリティ・研究セキュリティ確保に係る取組の研究活動への影響と改善策」では、我が国で初めて研究インテグリティ・研究セキュリティ確保に係る取組による研究現場での影響を明らかにしました。さらに、研究現場のニーズに基づく優先的な改善策として、適用除外範囲のガイドライン策定、法務的人材の養成・確保、公的窓口の設立と手続きの標準化・効率化を特定しました。

■NISTEP定点調査専用ページはこちら

この度、撤回論文データベースであるRetraction Watch Data 及び、研究成果書誌データベースであるOpenAlexを活用し、撤回論文の実態に関する分析を行いました。本調査は、学術研究における信頼性確保や研究インテグリティ向上に関する議論に資することを目的として実施されたものです。

撤回論文には、単なる不注意による誤りだけでなく、データの捏造・改ざん・盗用といった不正行為に基づくものも含まれており、研究者や研究機関の信頼性を損なう重大な要因となっています。こうした不正行為の抑止に向けて、撤回論文の実態把握と定量的な分析は、研究政策の観点からも極めて重要です。

本研究では、撤回論文の年別推移や、学術分野別、著者所属機関の国・地域別、撤回理由別など、多角的な視点からデータを整理・分析しました。また、関連する既存研究についても併せて調査し、論文撤回における研究不正の傾向やパターンに関する理解を深めました。

分析の結果、以下のような知見が得られました:
撤回論文の件数は年々増加傾向にある。

  • 撤回件数の多い国・地域は、通常の論文数や引用数における上位国とは異なる傾向を示している。
  • 特定の著者が突出して多くの撤回論文を出しているケースがあり、国・地域単位の傾向分析を難しくしている。
  • 我が国においては、一部の著者による大量撤回が全体の撤回数を押し上げていることが確認された。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:撤回論文の概況2024「DISCUSSION PAPER No.239」

科学技術・学術政策研究所では、今後30年間(2055年まで)を展望する第12回科学技術予測調査を2022-2024年の3年間実施しました。第12回科学技術予測調査は、ホライズンスキャニング・ビジョニング・デルファイ調査・シナリオの4調査により構成され、全体的な報告書は2025年に刊行予定となります。今回、2023-2024年度に行ったデルファイ調査の結果を取りまとめましたので、調査資料として公表いたします。
本調査では、今後30年間に日本にとって重要な科学技術や社会課題等をトピックとして設定し、それらの重要度、国際優位性、実現時期、実現に向けて対処すべき点について、専門家を対象にデルファイ法(注)により大規模アンケート調査を行いました(回答者4,761名)。
(注)デルファイ法とは:集計結果を提示した上で同一回答者に同一質問を繰り返して再考を求めることにより、集団の意見収れんを促す手法
<調査対象分野>
(1)健康・医療・生命科学、(2)農林水産・食品・バイオテクノロジー、(3)環境・資源・エネルギー、(4)AI・ICT・アナリティクス・サービス、(5)マテリアル・デバイス・プロセス、(6)都市・建築・土木・交通、(7)宇宙・海洋・地球・科学基盤、(8)横断的社会課題

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:第12回科学技術予測調査 科学技術等の中長期的な将来予測に関するアンケート調査(デルファイ調査)[調査資料-346]

任期付研究員の公募のお知らせです。

任期付研究員の公募のお知らせです。



科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、2005年より毎年、科学技術イノベーションの様々な分野において活躍され、日本に元気を与えてくれる方々を「ナイスステップな研究者」として選定しています。
過去に選定された方の中には、その後ノーベル賞を受賞された山中伸弥教授(京都大学、平成18年)及び天野浩教授(名城大学、平成21年)も含まれています。(※所属等はいずれも当時)

2024年12月に選定した「ナイスステップな研究者2024」では、今後活躍が期待される若手研究者を中心に、物理学、生物学、コンピュータ科学、言語学など多岐にわたる分野における、様々な社会的課題に関わる研究のほか、研究活動のみならず様々な形で国内外へ広く成果を還元されている方を選定しています。

6月13日の講演会では、全2回シリーズの第1回として「ナイスステップな研究者2024」のうち5名から、優れた研究活動や、特色のある取組などについて御紹介いただきます。今回は、事前にご登録いただいた方への限定公開という形でZoomウェビナー配信を行う予定です。皆様の御参加をお待ちしております。第2回は7月8日(火)を予定しています。

開催概要
  • 日時:2025年6月13日(金)10:30-15:30(オンライン開催)
  • 視聴方法:Zoomウェビナー配信
  • 言語:日本語
  • 定員:500名
  • 登録方法:以下のフォームからご登録ください。(登録期限:登録を締め切りました。6/9(月)17:00まで
    ご登録日と開催日前日の2回、メールでURL等を御案内いたします。
講演会スケジュール(1講演は質疑含め35分程度)
第1回:2025年6月13日(金)
10:40- 矢部 貴大 ・New York University,Assistant Professor
「行動ビッグデータから都市を読み解く」
講演資料
11:20- 久富 隆史 ・信州大学 アクア・リジェネレーション機構 卓越教授
・岡山大学 異分野基礎科学研究所 教授(特任)
「再生可能なグリーン水素製造用粉末光触媒の開発」
講演資料
11:55-13:30                    休憩
13:30- 坪山 幸太郎 ・東京大学 生産技術研究所 講師
「人工タンパク質の合理設計法への挑戦」
講演資料
14:10- 藤代 有絵子 ・理化学研究所 創発物性科学研究センター(兼)開拓研究所
極限量子固体物性 理研ECL研究ユニット ユニットリーダー
「極限環境で探るトポロジカル磁気相転移と新奇電子物性」
講演資料
14:50- 高本 聡 ・株式会社 Preferred Networks
マテリアル&創薬 研究担当General Manager
「ナイスステップな物質を計算可能にする」
講演資料
「近未来への招待状~ナイスステップな研究者2024からのメッセージ~」第1回講演会は終了いたしました。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2025夏号(Vol.11 No.2)の一部をweb先行公開(5月2日)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

特別インタビュー
・早稲田大学商学学術院 清水 洋 教授インタビュー
 -イノベーションへの処方箋-リスキリング、基礎研究、数値化の罠-

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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 このたび、当研究所(NISTEP)第2研究グループの北島謙生研究員は、米中間の研究協力における近接性の時間的変化について、過去50年にわたるデータを用いた定量的分析の成果を発表しました。
 本研究では、両国が数十年にわたり科学分野で急速に協力関係を深めてきた一方で、2019年以降はその関係が明確に後退していることを、多様な分野を横断する包括的な定量データに基づいて示しています。
 こうした両国間の距離の変化は、近年の地政学的状況を反映したものと考えられ、同時に、世界の研究協力が「縮小と分極化」の時代へと移行しつつあるという、国際科学協力の構造的変化を示す重要なエビデンスともなっています。
 これらの知見は、今後の国際的な科学協力のあり方を検討する上で、極めて重要な示唆を提供するものです。
 本成果は、政策研究大学院大学(GRIPS)SciREXセンター政策リエゾンの岡村圭祐氏との共著によるもので、Natureの姉妹誌『Humanities and Social Sciences Communications』Vol. 12, No. 302にて発表されました(2025年3月3日公開)。
論文はこちら:https://rdcu.be/eb37r

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)ではこの度「博士人材追跡調査(JD-Pro)」2012年度修了者の1.5年後、2015年度修了者の0.5年後のコホート・データを用いて博士課程修了者が非専門分野へ就職する際に影響を及ぼす要因についての分析を行いました。

 分析結果からは、(1)博士課程在学時の教育・研究指導の質、 (2)異分野との交流・協働、(3)キャリア開発支援や進路指導が、非専門分野における雇用可能性に有意に影響を及ぼすことが示唆されました。
本研究の知見は、博士課程教育における柔軟な指導体制や、多角的なキャリア支援の必要性を示唆するものであり、今後の博士人材政策や大学院カリキュラムの最適化に寄与することが期待されます。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:博士課程修了者の非専門分野における雇用可能性を高める要因の探索的研究:ランダムフォレスト法を用いたアプローチ[DISCUSSION PAPER No.238]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2025春号(Vol.11 No.1)を公表しました。
国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター長 川合 眞紀 氏への特別インタビュー、講演会「近未来への招待状~ナイスステップな研究者2023 からのメッセージ~」第3 回、EU における研究イノベーション政策・プログラム-その変遷と動向-、オーストラリアの研究データ基盤整備とARDC の役割からみた日本への示唆など、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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NISTEP講演会「OECDにおける戦略的フォーサイトの取り組み」(3月3日開催)の資料を公開いたしました。

急速に変化し、複雑化・不確実性の高まる現代社会において、中長期的な政策形成はますます困難になっています。こうした状況の中、各国政府や国際機関では、未来の幅広い可能性やリスクに対応するために、戦略的フォーサイトへのニーズが高まっています。

戦略的フォーサイトは、長期的な視点で未来を展望し、起こりうる様々な未来の可能性を検討し、現在の想定や政策が未来において有効か検証するなど、柔軟かつ強靭(レジリエント)な政策を目指したアプローチです。

3月3日に開催した講演会では、政府における戦略的フォーサイトの活用促進を目的とした国際的なネットワーク「ガバメント・フォーサイト・コミュニティ(GFC)」を形成し、この分野で世界をリードする経済協力開発機構(OECD)より、
川口尚子氏をお迎えし、
・OECDにおける戦略的フォーサイトの取組
・GFCの活動と各国におけるベストプラクティス
・「強靭な公共政策のための戦略的フォーサイトツールキット(Strategic Foresight Toolkit for Resilient Public Policy)」の概要
等について御紹介いただきました。

なお、今年1月に公開された「強靭な公共政策のための戦略的フォーサイトツールキット」は、環境・社会・技術・経済・グリーンテック・地政学の6つの領域における未来の25の重要テーマにおける変化の兆候や崩壊(Disruption)リスクを分析し、それに対応する政策の方向性を提示しています。

講師発表資料

日時等

日時:2025年4月2日(水)16:30-18:30
形式:オンライン(zoom)
言語:英語 (Q&Aは通訳によるサポートあり)

概要

 学術コミュニケーションの分野では、研究のインパクト(研究が学術界、産業界、政策、社会全体に与える影響や貢献)が知識の発展、イノベーション、社会の進歩において極めて重要であることが広く認識されています。インパクトのある研究を積み重ねることで、研究者はキャリアを発展させ、研究機関の評価を高めます。また、コラボレーションの促進、イノベーションの創出、研究資金の獲得、政策決定への貢献などにも関連し、社会に利益をもたらします。そして、出版社は論文等の研究成果の発信、あるいは査読を通じて研究インパクトに対して一定の重要な役割を果たしています。

 本セミナーでは、国際STM出版社協会(STM)とともに企画するセミナーシリーズの3回目の企画として、研究のインパクトを異なる3つの視点から探ります。小泉客員は、研究コミュニティとその所属機関の観点から研究インパクトの現状と課題を論じます。エルゼビア社のアンドリュー・プルーム氏は、研究成果の出版に関連する出版社の視点を紹介します。そして、サラ・フィブス氏は、国連と出版社のパートナーシップであるResearch4Lifeが中低所得国に与える影響と、世界的な研究の様相の変化について考察します。

講演者

Andrew Plume, VP Research Evaluation, Elsevier, and Honorary Professor of Practice at UCL Department of STEaPP
Sarah Phibbs, Director of Equity and Inclusion, STM, and Director Research4Life Publisher Partnerships.
小泉周(北陸先端科学技術大学院大学)

講演者略歴(外部リンク)

Andrew Plume, VP Research Evaluation, Elsevier, and Honorary Professor of Practice at UCL Department of STEaPP
Sarah Phibbs, Director of Equity and Inclusion, STM, and Director Research4Life Publisher Partnerships.
小泉周(researchmapページ)

講演会の参加申し込み

URL:https://zoom.us/webinar/register/WN_PjcXyKXkR-qzUhW20jMxMQ
QRコード

講演内容についてのお問い合わせ

科学技術・学術政策研究所 データ解析政策研究室 (担当:林)
 Tel:03-5253-4111(内線 7400)
 Eメール:d-unit[at]nistep.go.jp

参加の申し込み締め切り:4月2日(水)16:00