調査研究成果公表

科学技術・学術政策研究所は、2017~2019年に「第11回科学技術予測調査」を実施し、この中で702の科学技術トピック(実現が期待される研究開発課題)の実現見通し等に関する調査(デルファイ調査)を実施しました。
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が科学技術の進展に影響する可能性があることから、コロナ禍を経た科学技術の中長期発展に関する専門家の認識の変化について調査を実施しました。

その結果、第11回科学技術予測調査において早い実現が予測されたトピックはより早く実現、遅い実現が予測されたトピックはより遅く実現するとの認識が明らかになりました。実現が早まると予測されたのは、仕事や働き方、健康危機管理に関するトピックなどでした。一方、実現が遅れると予測されたのは、宇宙や深海、エネルギー変換に関するトピックなどでした。また、仕事や働き方など生活に関するトピックや健康危機管理に関するトピックの重要度が高まりました。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
コロナ禍を経た科学技術の未来(速報版)

[訂正]2021年2月10日(水)
当該資料の「第11調査結果」の年の表示に誤りがありましたので、以下のとおり訂正してお詫びいたします。
「社会的実現年」を示すところ、一部、「科学技術的実現年」が示されていた等の原因によるものです。
なお、早まる・遅れる等の結果の年については修正ありません。

正誤内容

p12
(上から順に)
(正)2030 (誤)2028
(正)2030 (誤)2028
(正)2031 (誤)2029
(正)2030 (誤)2027
(正)2029 (誤)2026
(正)2032 (誤)2028
(正)2030 (誤)2029
(正)2029 (誤)2027
(正)2031 (誤)2030
(正)2027 (誤)2025

p19
右表(最下段)
(正)2048 (誤)2045

p22
左表(上から順に)
(正)2030 (誤)2031
(正)2030 (誤)2029
(正)2030 (誤)2031

p23
左表中段
(正)2027 (誤)2029
左表下段
(正)2030 (誤)2031

 当研究所では、我が国の科学技術活動を客観的・定量的データに基づき、体系的に把握するための基礎資料として、科学技術指標を作成しています。このたび、2020年8月7日に公表した科学技術指標2020のHTML版を作成しました。
 科学技術指標で使用している表の全てがエクセルでダウンロードできます(統計集については公開済み)。
 詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

科学技術指標2020(HTML版)

 

科学技術指標の詳細はこちら

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、研究に関する評価指標開発を目的とし、知識源の新結合に着目した、引用文献の組合せ(類似度)により測定される新規性指標の提案を試みました。併せて、日本の機関に所属する研究者の論文を対象としたサーベイ調査の結果を用いて、本研究で提案する新規性指標が、どのような研究の新規性を測っているのか、validation分析も実施しました。
 その結果、本研究で提案した新規性指標は、自然科学系の分野のさまざまな研究成果の類型において、研究者が判定する研究の新規性を反映するものであることがわかり、研究者による研究の新規性を計測するための代理変数として有用であることが伺えました。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:知識結合に基づく新規性評価に関する研究[DISCUSSION PAPER-190]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、プレプリントを⽤いたエマージングな研究動向の把握⼿法開発を念頭に、arXiv や medRxiv など主要なプレプリントサーバにおける COVID-19 に関する⽂献リストを対象として、COVID-19 に関する研究の概況把握を試み、2020年6⽉30⽇に Discussion Paper として公表しました。

しかしながら、COVID-19 についてはその後も状況の変化が激しいため、今回 補遺として 2020年9⽉末 時点までのデータを追加し、同様の分析を⾏いました。加えて新たに国・地域ごとの特徴の把握も試みました。

結果、今回調査したプレプリントサーバの範囲においては、

  1. 前回調査の終点である5⽉末ごろをピークとして投稿数が減少していること
  2. トピック⾃体は変化していないこと
  3. トピックの⽐重は徐々に社会経済・公衆衛⽣等にシフトしてきていること

などが分かりました。

また、新たに追加した国・地域の分析においては、5⽉以降は中国に代わって⽶国の投稿数が伸びていることが確認されました。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:COVID-19 / SARS-CoV-2 関連のプレプリントを用いた研究動向の試行的分析[DISCUSSION PAPER No.186]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、第11回科学技術予測調査結果を踏まえ、科学技術イノベーション政策関連のシンクタンクと連携して研究開発領域の抽出を行いました。
具体的には、NISTEP、科学技術振興機構研究開発戦略センター(JST/CRDS)、新エネルギー・産業技術総合開発機構技術戦略研究センター(NEDO/TSC)の3機関がそれぞれの調査研究結果を持ち寄り、共通して重要と考える領域とその社会実装に向けた課題についてワークショップ形式で検討しました。

その結果、今後推進すべき重要科学技術領域として以下の4領域が抽出されました。
・持続的な経済と人間を守る、全脳AIを搭載した人間調和型ロボット
・日本のものづくりをリードする、先進的計測とシミュレーション
・個別医療・先制医療を浸透させる先進技術とプラットフォーム
・災害への備えから復興までを支える観測・予測と材料科学技術

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:科学技術イノベーション政策関連シンクタンクの専門家ワークショップによる研究開発領域抽出[調査資料-299]

科学技術・学術政策研究所では、博士人材の活躍状況を把握するため、博士人材データベース(JGRAD)を構築・運営しています。2020年5月、博士人材データベースの登録者に対して新型コロナウイルス流行による研究活動への影響等に関するウェブアンケート調査を行いました。調査結果の速報は2020年6月26日に公表しましたが、その確報としての調査資料を公表いたします。

[結果概要]

  • 調査時点において、新型コロナウイルスの流行により研究活動に「現時点で既に影響が出ている」と回答した割合は、博士課程在籍者で85%、博士課程修了者等で79%となっていた。
  • どのような面で影響が出ているかについては、「(影響が出ていることに)該当し、研究活動に大きな支障が出ている」と回答した割合が最も高かったのは「研究活動に利用している建物・研究室、設備(実験機器)等の利用停止」であった。
  • 博士課程在籍者に新型コロナウイルス流行による博士号取得遅延の見込みを尋ねた結果、「博士の取得がすでに遅れる予定だ(あるいはすでに遅れた)」と回答した割合は6%、「博士の取得が遅れる可能性がある」と回答した割合は30%であった。
  • 求められる支援策を尋ねた自由記述の回答には、経済支援や学位課程の柔軟化等があげられた。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:新型コロナウイルス流行の研究活動への影響等に関する調査-博士人材データベース(JGRAD)におけるウェブアンケート調査- [調査資料-298]

本調査研究では、筆者らが2020年1月に実施した「研究開発マネジメントに関する実態調査」に基づいて日本企業の研究開発マネジメントとイノベーションの現状を分析しています。具体的には、研究開発活動のインプット(研究開発費、研究開発者)、研究開発活動のアウトプット(イノベーション実現状況)、そしてインプットとアウトプットを結びつける研究開発マネジメント(研究開発組織の位置づけや権限,研究開発プロジェクトの管理方法、研究開発者の人事評価・インセンティブ制度・キャリア形成、リスク選好・時間割引率・企業文化)の概要について要約統計量に基づいて記述的に分析しています。なお、本稿は単純集計に基づく基礎的情報を提供しているにすぎず、示唆は可能性のある解釈に留まります。今後、より精緻な分析を行い、研究開発マネジメントがイノベーションに及ぼす影響について調査していきます。

詳細については以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:日本企業の研究開発マネジメントとイノベーションの現状 —「研究開発マネジメントに関する実態調査」結果概要—[DISCUSSION PAPER No.189]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2020秋号(Vol.6 No.3)を公開しました。
津田塾大学教授/次世代基盤政策研究所(NFI)代表理事 森田 朗 氏の特別インタビュー、ナイスステップな研究者の株式会社aba 代表取締役 宇井 吉美 氏、北海道大学 工学研究院 機械・宇宙航空工学部門 機械材料システム分野 佐藤 太裕 教授のインタビュー、第11 回科学技術予測調査デルファイ調査における分野別分科会の座長インタビュー連載など、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
STIHorizonLogoTop

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、日本の大学の研究開発費及び研究者数について、研究専従換算した数値を用いて詳細な分析を行いました。
 大学等の研究開発費の総額の推移を研究専従換算した値(FTE値)で見ると、2001年度から2017年度にかけて-1.5%と減少しており、研究専従換算していない値(HC値)の動き(同期間で12.6%の増加率)とは大きく異なります。費目別で見ると、FTE値での研究開発費に占める人件費は減少しており、それは論文数シェアの低い大学グループの方が顕著です。
 FTE値での研究者数における教員の割合は減少し、大学院博士課程の在籍者の占める割合が増加しています。論文数シェアで分類された上位大学群の第1~第3グループまで、大学院博士課程の在籍者の割合が教員より大きくなっています。ただし、大学院博士課程の在籍者の数が増えているのは保健分野であり、理工農学分野では増えていません。
 報告書では、国公私立大学別、論文数シェアを用いた大学グループ別、研究開発費の費目別、負担源別、研究者の業務区分別等の詳細なデータを示しています。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:研究専従換算係数を考慮した日本の大学の研究開発費及び研究者数の詳細分析[調査資料-297]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、第11回科学技術予測調査(2019年11月公表)において、バックキャストとフォーキャストにより将来の科学技術と社会について検討を行いました。そこで、この方向性の異なる検討によって将来展望にどのような広がりが見られたかについて比較分析を実施しました。

その結果、人口減・高齢化や災害などの社会課題に関連する社会像及び科学技術、並びに、AIなどマスコミ等で多く取り上げられる科学技術が、共通して挙げられたことがわかりました。社会像の差異を見ると、バックキャストからは精神的充足が挙げられ、フォーキャストからは科学技術による新しい価値の創造が描かれました。また、社会実装イメージを描きにくい基盤的技術はバックキャストからは抽出されにくい傾向が見られました。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:第11回科学技術予測調査におけるバックキャストとフォーキャストの比較分析[DISCUSSION PAPER No. 188]

 科学技術・学術政策研究所では、日本国内の革新的技術・イノベーションに対する社会受容性を調査するために、意識調査(インターネット調査)により18 の技術に関する受容性について調査を行いました。
 その結果、技術の受容の度合いはその技術によって異なり、また、性別、年齢、専攻の違い、子供の有無に加え、科学技術政策に関する意識などとの関係があることが明らかになりました。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:科学技術に関する国民意識調査-新技術の社会受容性-[調査資料-296]

 学術ジャーナルに掲載される原著論文の「量(論文数)」と被引用数に基づく「質」に関する調査研究を補完することを目的に、原著論文の草稿であるプレプリントに着目した試行分析を行いました。プレプリントとして、もっとも歴史が長いプレプリントサーバであるarXivを対象に、原著論文との関係、プレプリントの引用などの観点から、arXivの特徴および分野別特性を分析しました。
 その結果、プレプリント公開から、原著論文になるまでの期間に分野による差が見られることや、情報系を中心に、必ずしも原著論文を出口としないプレプリントが多数掲載されていることなどが分かりました。また、研究助成の情報との一定の紐付けも可能であり、我が国のファンディング政策の効果を観察できる可能性や、被引用数の分析によって、分野ごとのプレプリント利用スタイルが大きく異なる傾向が見えました。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:arXivに着目したプレプリントの分析[DISCUSSION PAPER No.187]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2020秋号(Vol.6 No.3)の一部をweb先行公開(8月25日)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

ほらいずん
・デルファイ調査座長に聞く「科学技術の未来」:都市・建築・土木・交通分野
 -新型コロナウイルス時代の新しい課題に向けインフラ科学技術が果たす役割-
 城西大学 藤野 陽三 学長インタビュー
・新型コロナウイルス感染症予防ワクチンの研究開発動向

レポート
・論文の引用・共著関係からみる我が国の研究活動における国際展開の状況
 -アジア・大洋州編-
・科学技術白書検索システムの紹介

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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