調査研究成果公表

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2022秋号(Vol.8 No.3)の一部をweb先行公開(9月15日)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

ほらいずん
・ノーベル賞受賞者のキャリアに関する分析

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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 本研究では、オープン・イノベーションにおけるインバウンド型とアウトバウンド型という活動類型の有無が、企業の収益にどのような影響を与えるかを調査しています。企業のオープン・イノベーション活動を把握するデータとしては、文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が実施した「民間企業の研究活動に関する調査」アンケートの2008年から2018年の回答を用いました。分析の結果、インバウンド型オープン・イノベーションは企業の収益に対して有意にプラスの影響を示した一方で、アウトバウンド型オープン・イノベーションは企業の収益には影響を与えていないことが示されました。これは外部の技術を積極的に取り込んで開発を実施するインセンティブが企業にあるのに対して、自社技術を積極的に外部に提供するインセンティブが無い、もしくは非常に弱いことを示唆しています。すなわち、オープン・イノベーション活動を通じた生産性向上の課題として、企業が死蔵している技術情報の公開促進などの政策課題があることが示唆されます。

 報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。

要旨
本文

ライブラリ
オープン・イノベーション活動が企業収益に及ぼす影響に関する実証研究 [DISCUSSION PAPER No.213]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が公開している「科学技術・イノベーション白書検索」について、令和4(2022)年度の「科学技術・イノベーション白書」を追加し、データを更新しました。

■「科学技術・イノベーション白書検索」および「科学技術基本政策文書検索」へのアクセス方法:

以下のNISTEPのウェブサイト(SciREX関連公開データのページ)

https://www.nistep.go.jp/research-scisip-whitepaper-search

【参考】
■「科学技術・イノベーション白書検索」について

科学技術・イノベーション白書(令和2年度版までは「科学技術白書」)は、文部科学省において昭和33(1958)年から現在まで継続的に発行されており、日本の科学技術政策に関する施策やトピックなど、様々な情報が蓄積されています。NISTEPではこの点に着目し、以下のような機能・特徴を備えた「科学技術・イノベーション白書検索」を開発し、令和元(2019)年11月に公開しました。主な機能は以下の通りです。

○ 昭和33(1958)年版以降の科学技術・イノベーション白書のテキスト情報(本文や図表の表題など)がデータベース化されています。
○ 各年代の科学技術に関する政策や施策の動向を調べることができます。
○ キーワードだけでなく、類義語も併せて検索する「あいまい検索」や期間を指定して検索することもできます。
○ よく使われている語句を大きく表示する「キーワードマップ」の機能があります。
○ 注目するキーワードがどの年に多く出現しているかなど、白書への出現回数を知ることができます。
○ 注目するトピックの変遷がわかる機能があります。

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、我が国の大学・公的研究機関の188研究組織(大学部局、附置研等)を対象として、組織に所属する研究者の分野多様性と、研究者が参画するチームの分野多様性の関係性について分析を実施しました。

 その結果、多くの部局分類・学問領域において組織とチームの分野多様性には正の相関が観測され、異分野の研究者が数多く集まる組織に所属する研究者は、個人でも異分野の研究者が所属するチームに参画する傾向にあることが明らかとなりました。また、日本の各研究組織について組織・研究チームの分野多様性における相対的な位置づけを可視化し、特徴的な研究組織も特定しました。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ http://doi.org/10.15108/dp212

 科学技術・学術政策研究所では、第6期科学技術・イノベーション基本計画期間中の科学技術やイノベーション創出の状況を把握するため、第一線で研究開発に取り組む研究者や有識者約2,300名を対象とした5年間の継続的な意識調査(第4期NISTEP定点調査)を開始しました。1回目の結果がまとまりましたので公表します。

 初年度調査の主な結果は次の通りです。①学術研究・基礎研究及び研究時間等の研究において普遍的に重要な事項について、継続的な問題意識が示されました。②研究者を目指す若手人材・若手研究者の数が不足しているとの認識が示されました。③地域創生の取組について、主に大都市圏以外の大学の研究者による評価が高い一方で、一部の有識者の評価が低い状況が示されました。④人文・社会科学研究者の回答から、「競争的資金等の確保」、「研究者の業績評価の観点の多様化」において評価が高い一方で、「ベンチャー企業を通じた知識移転や新たな価値の創出」、「博士号取得者のキャリアパス多様化への環境整備」で評価が低い傾向が示されました。

■NISTEP定点調査専用ページはこちら

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、「科学技術指標2022」を取りまとめました。

 科学技術指標は、科学技術活動を客観的・定量的データに基づき体系的に把握するための基礎資料であり、約170の指標で日本及び主要国の状況を表しています。
 昨年から続いて日本の研究開発費、研究者数は主要国(日米独仏英中韓の7か国)中第3位、パテントファミリー(2か国以上への特許出願)数では世界第1位です。
 日本の論文数(分数カウント法)は世界第4位から第5位、注目度の高い論文数のうちTop10%補正論文数は第10位から第12位、Top1%補正論文数は第9位から第10位となりました。Top1%補正論文数では中国が初めて米国を上回り、世界第1位となりました。
 日本の博士号取得者数は2006年度をピークに減少傾向にあります。韓国、中国、米国では2000年度(中国は2005年度)と最新年度を比較すると2倍以上となっています。

■科学技術指標専用ページはこちら

当所が、令和4年6月22日に公表した「民間企業の研究活動に関する調査報告2021」[NISTEP REPORT-193]において、結果数値の一部に誤りがあることが判明しましたので、おわびしてお知らせいたします。

民間企業の研究活動に関する調査は、政府の一般統計として、2008年度以降、当研究所が毎年度実施しています。2021年度調査では、資本金1億円以上でかつ社内で研究開発を行っている民間企業3,685社を対象として調査票を送付し、1,891社からの回答を回収し、それに基づいて結果数値を集計しました。この度、判明した結果数値の誤りは、調査回答に際しての単位の誤りによるもので、回答企業に問い合わせを行って回答数値を修正し、再集計を実施しました。

再集計の結果、本文の訂正及び表の差し替えが生じました。本訂正について改めておわび申し上げるとともに、訂正の経緯及び今後の対応並びに修正箇所についてまとめましたので、御報告いたします。

今後、本統計調査を実施する際には、回答データについて複数の基準で確認を行い、集計結果の信頼性の一層の向上に努めてまいります。

正誤表および発生原因・発生防止策についてはこちらを御覧ください。
訂正した報告書は 、こちらからダウンロードできます。

SDGsへの認知について伺ったところ、性別では男性(内容を(ある程度)知っている58%)の方が女性(内容を(ある程度)知っている54%)よりも高い一方、年代別では若い世代(24歳以下)とシニア世代(60歳以上)で高いことが判明した。

SDGsをどんな場面で聞いたことがあるか訊いたところ、性別では男性はインターネットや新聞などが高く、女性はテレビや家族や友人、知人、職場の人で多くなっている。

このほか、科学技術・イノベーションのSDGsへの貢献に関する意識も訊いている。

要旨

概要

報告書全文

科学技術に関する国民意識調査-SDGsについて-

 イノベーションの主要な決定要因は、イノベーションを実施した企業にとっての利益の専有可能性と、企業の研究開発がイノベーションに結び付く技術機会の獲得にあるとされてきました。科学技術・学術政策研究所は、日本の製造業におけるそれらの実態を明らかにするための調査を1994年に実施しており、2020年にはその調査データと比較可能な質問項目を登載して「民間企業の研究活動に関する調査」を実施しました。

 本論文では、この二度に亘る調査により取得されたデータを用いて、四半世紀の間に専有可能性と技術機会に生じた変化を分析しています。この分析により、企業が実施したイノベーションから利益を確保するための各種の方法の有効性が減退し、利益の専有可能性が顕著に低下したこと、自社のイノベーションを競合他社が模倣するまでの時間(模倣ラグ)はかなり長期化したこと、技術機会を提供する情報源として大学や公的研究機関の重要性が顕著に増大する一方、情報源としての競合他社の重要性は低下したこと、との結果を得ました。これらのファインディングスは、イノベーションをめぐる企業間競争の衰退と、科学技術イノベーション政策にとっての新たな課題を示唆しています。

 報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。

要旨
本文

ライブラリ
日本の産業におけるイノベーションの専有可能性と技術機会の変容;1994-2020 [DISCUSSION PAPER No.210]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、研究開発を実施している我が国機関の基本的情報を収録する「NISTEP大学・公的機関名辞書」の作成、維持、公開に取り組んでいます。このたび、最新バージョンであるNISTEP大学・公的機関名辞書(Version 2022.1)を公表します。

機関名辞書には、大学及び公的研究機関を中心に、研究活動を行っている我が国の約2万機関(約1万6千の機関とその主な下部組織)の情報を掲載しています。

NISTEP大学・公的機関名辞書(Ver. 2022.1)では、掲載機関数がver.2021.1に比べて397機関(代表機関270、下部組織127)増加しました。また、全機関20,526のうち19,198機関(93.5%)に英語名が付けられています。

 

  • NISTEP大学・公的機関名辞書はこちらからダウンロードできます。
  • 大学・公的機関における研究開発に関するデータはこちらをご覧ください。

本研究では、日本企業を対象とした独自の設問票調査を用いて、研究開発プロジェクトの進捗を段階的に管理する「ステージ型管理」が企業のプロダクト・イノベーションの実現に及ぼす影響を検証しました。

実証分析の結果、ステージ型管理を採用している企業は、非採用企業よりもプロダクト・イノベーションを実現する確率が高いことが分かりました。さらに、本研究ではステージ型管理を実施している企業のみを分析対象として、プロジェクトの中止・継続を判断するための中間目標(マイルストーン)について検証したところ、企業がマイルストーンを設定するかどうか、マイルストーンの達成状況をどの程度重視するかは、プロダクト・イノベーションの実現と相関がないことが分かりました。

その一方で、研究開発者に対して中間評価結果のフィードバックを実施することは、プロダクト・イノベーションの実現と正の相関がありました。さらに、フィードバックがプロダクト・イノベーションに及ぼす正の限界効果は、市場新規プロダクトの方が非市場新規プロダクトよりも大きいことも判明しました。本研究の結果は、ステージ型管理および中間評価結果のフィードバックの実施が、企業のイノベーション活動に有益であることを示唆しています。

 

詳細については、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:ステージ型プロジェクト管理がプロダクト・イノベーションの実現に及ぼす影響:企業向け設問調査に基づく分析 [DISCUSSION PAPER No.209]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2022夏号(Vol.8 No.2)を公開しました。
東京大学大学院経済学研究科 教授 柳川範之氏の特別インタビュー、ナイスステップな研究者インタビュー、躍進するインドの科学技術政策の概観など、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、我が国の自然科学系の大学に所属する教員を対象に実施したアンケート調査(研究室パネル調査)の2020年度の回答データを用いて、我が国の大学教員の研究マネジメントの状況を把握するための分析を実施しました。

 当分析では、大学教員の職位が上昇するとともに、研究マネジメント経験、研究マネジメントへのエフォート配分状況、研究マネジメントの規模、研究室・研究グループや研究プロジェクトのマネジメントの仕方等がどのように変化するのか、その実態の把握を試みています。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ https://doi.org/10.15108/dp208