調査研究成果公表

本研究は、「博士人材追跡調査(JD-Pro)」2012年度修了者の1.5年度、3.5年後、6.5年後のコホート・データを用いて博士人材の職務満足度についての分析を実施しました。

分析結果からは、研究との関わりの中でも、博士課程での研究と職務の関連度が大きく職務内容に対する満足度と収入に影響していることが確認されました。また就業セクターについては、民間企業で勤務している場合に年収が多い傾向がみられました。一方、雇用条件については任期付契約やパートタイム契約の場合に職務条件への満足度が低い傾向があったものの、統計的に顕著であったのは修了3.5年後のみでした。また学位取得は博士研究と職務の関連度を高めていたものの、取得時期の影響と収入や満足度との間には直接顕著な関連性が見られないといった分析結果となりました。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ博士課程修了者の職務満足度が高まる要因についての探索的研究

NISTEP企業名辞書(以下、企業名辞書)及び企業名辞書と特許情報を統合し利用可能とする接続テーブルの更新をいたしました。

■NISTEP企業名辞書(ver.2024_1);
特許出願の累積件数、株式上場、大学発ベンチャーなどの辞書登録基準に基づき、新たな企業の追加登録及び掲載企業情報の最新化を行った。
これにより、企業名辞書(ver.2024_1)の総登録企業数は、31,129社となっている。

■特許情報との接続テーブル(ver.2024_1); 上記企業名辞書と特許情報(IIPパテントデータベース)との接続を行うテーブルの改訂を行った。この接続テーブルには名寄せ処理により生成した企業名辞書登録企業と特許出願企業とを接続する情報12,163,530件が含まれ、企業の全特許出願件数の9割以上を網羅している。

企業名辞書その他関連ファイルのダウンロードは、こちらからお願いいたします。

 2010 年代に人工知能分野の国際会議における発表件数は急激に増加し、国・地域別の状況を見ると米国の発表件数が他国に比べ非常に多い中、一部の人工知能分野の国際会議において中国の発表件数が急速に増加している。
 本調査研究では、2023年5月に公表した「人工知能分野及びロボティクス分野の国際会議における国別発表件数の推移などに関する分析」(DISCUSSION PAPER No.222)において、人工知能分野の国別発表件数における中国の著しい増加傾向に着目し、その中で、特に中国の発表の増加が著しい米国人工知能会議(AAAI)に焦点をあてて分析を試みた。
 調査分析の結果、AAAI-20 の全発表数は 1589 件であり、その中で中華圏系の氏名と推定される筆頭著者の発表件数は 904 件となっており、全体の約 57%を占めていた。さらに、中華圏系の氏名と推定される筆頭著者904件を分析したところ、中国の606件(67.1%)、米国の189件(21.0%)、オーストラリアの31件(3.4%)、シンガポールの22件(2.4%)、英国の21件(2.4%)、台湾の11件(1.2%)、等となっており、中華圏系の氏名と推定される筆頭著者の約67%が中国の機関に所属し、約 33%が中国以外の機関に所属していた。
 また、中華圏系の氏名と推定される筆頭著者と共著者の分析に関しては、ⅰ) 大学と企業の共著が多くみられること、ⅱ)中華圏系の氏名と推定される筆頭著者の中には欧米豪等の大学等に所属しているものが多くおり、同時に中国の企業及び大学等との共著が見られることなどが分析された。
 一方、AAAI-20 での発表における日系の氏名と推定される筆頭著者に関して、ⅰ) 同じ組織内での共著が多いこと、ⅱ)大学同士、企業同士の共著が多く、大学と企業の共著が少ないこと、ⅲ)海外との共著が少ないことなどが分析された。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:米国人工知能会議(AAAI-20)の動向分析に関する調査研究―機関単位の筆頭著者の分析及び共著者との共著関係の分析―「DISCUSSION PAPER No.232」

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2024秋号(Vol.10 No.3)の一部をweb先行公開(8月26日)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

レポート
・既存企業とベンチャー企業を取り巻くイノベーション・エコシステムの状況
 -「民間企業の研究活動に関する調査2023」を用いた分析-

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
STIHorizonLogoTop

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、研究開発を実施している我が国機関の基本的情報を収録する「NISTEP大学・公的機関名辞書」の作成、維持、公開に取り組んでいます。このたび、最新バージョンであるNISTEP大学・公的機関名辞書(Version 2024.1)を公表します。
 機関名辞書には、大学及び公的研究機関を中心に、研究活動を行っている我が国の約2万1千の機関(約1万6千の代表機関と約5千の主な下部組織)の情報を掲載しています。
NISTEP大学・公的機関名辞書(Ver. 2024.1)では、掲載機関数がver.2023.2に比べて333機関(代表機関50、下部組織283)増加しました。また、全機関21,620のうち20,249機関(93.7%)に英語名が付けられています。

 

  • NISTEP大学・公的機関名辞書はこちらからダウンロードできます。
  • 大学・公的機関における研究開発に関するデータはこちらをご覧ください。

 本報告書では、研究室パネル調査にて検討した「我が国の研究力向上に向けた政策的インプリケーション、インセンティブ設計」のための分析の枠組みに基づき、日英独の大学の研究環境について比較を試みました。

 この比較を通じ、日本の大学の研究環境の改善や日本の研究力向上に向けた更なる分析のための示唆を得ることを目的としています。日本の状況については主に研究室パネル調査の結果を通じて把握し、英国・ドイツの状況については対象国で研究室の主宰経験をもつ日本人研究者や現地の研究支援部門へのインタビュー調査を通じて把握しました。

 その結果、教員の研究上の裁量・職務活動、研究資金、研究室メンバー及びマネジメント、研究機器・設備の活用等について、各国の特徴が明らかになりました。各国の特徴として把握された事項の比較を通じて、日本の特長を生かすためのヒントが得られました。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

 ライブラリ https://doi.org/10.15108/dp231

文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP, 所長 大山真未)の第1調査研究グループでは2024年2月から2024年4月において、日本国内の博士課程を持つ全大学における2023年度の博士(後期)課程入学者を対象として「令和5年度 博士(後期)課程1年次における進路意識と経済状況に関する調査」を実施いたしました。

本速報版資料では、ウェブ調査票の全ての必須回答の設問に回答した完全な有効回答5,632件に基づき、調査結果のうち『博士(後期)課程修了後に希望する就業先・教育研究職の度合い』などを示しています。調査対象者に博士(後期)課程修了後に希望する「就職先・専門職」を尋ねると、「未定」を含めた回答のうち「大学等の教育機関」が42%でもっとも高く、ついで「民間企業」の19%となっていました。また、博士(後期)課程修了後に希望する「教育研究職・非教育研究職の度合い」を尋ねると、「分からない」を含めた回答のうち「強く教育研究職」と「やや教育研究職」の合計割合は56%となっていました。なお、本発表は速報であり、暫定的な集計値を掲載しています。

今後、確報に相当する報告書の公表については2024年内を予定しています。確報が発表された後は、確報をご利用ください。本調査の実施に際し、多大なご協力をいただいた大学事務局および博士課程学生の皆様に心から感謝申し上げます。

速報の内容については、

「令和5年度 博士(後期)課程1年次における進路意識と経済状況に関する調査」の速報版資料

より御覧ください。

【参考1】令和5年度 博士(後期)課程1年次における進路意識と経済状況に関する調査[日本語版ウェブ調査票] 

【参考2】令和5年度 博士(後期)課程1年次における進路意識と経済状況に関する調査[英語版ウェブ調査票]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2024夏号(Vol.10 No.2)を公表しました。
東京大学理事・副学長 藤垣 裕子 教授への特別インタビュー、科学技術への顕著な貢献 2023(ナイスステップな研究者)の選定など、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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大学の研究活動を理解する上で、研究開発費の動向を把握することは不可欠です。2000年代に入ってからの大学の研究開発費を巡る大きな動きとして、2000年代中頃から2010年代初頭にかけての運営費交付金の削減、研究開発費における「選択と集中」が挙げられます。

本調査研究では、「科学技術研究調査」を用いた2種類の推計により、①特に国立大学において運営費交付金の減少に伴って、定常的に措置される教員あたりの研究開発費が減少していること、②競争的研究費等の外部受入研究費が増加しており、教員あたりの外部受入研究費の額の差が2001年度~2000年代後半にかけて拡大したことを確認しました。

利用できるデータが限定される中、過去に遡って「選択と集中」の状況を把握することは容易ではありませんが、エビデンスに基づく科学技術・イノベーション政策の形成には、過去を検証する地道な取組も必要です。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ http://doi.org/10.15108/dp230

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2024夏号(Vol.10 No.2)の一部をweb先行公開(5月27日)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

ナイスステップな研究者から見た変化の新潮流
・科学技術への顕著な貢献 2023(ナイスステップな研究者)の選定

ほらいずん
・研究データのオープンアクセスに関する利用実態把握の試み

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、SciREX事業の一環としてデータ・情報基盤の整備に取り組んでいます。このたび、科学論文のデータベース、Web of Science Core Collection (WoSCC)の論文IDとNISTEP大学・公的機関名辞書の機関ID(NID)の対応テーブルを更新しました。
本対応テーブルは、1996-2022年の期間にWoSCCに採録された論文のうち、日本の機関に所属する著者を含む論文のデータ(約213万件)を対象に、国内機関の機関名称の名寄せを行った結果です。これにより、WoSCCデータベース中の日本の機関名表記の揺れを吸収した検索、分析が可能です。
詳細については、以下のリンクより御覧ください。
 

  • WoSCC-NISTEP大学・公的機関名辞書対応テーブルはこちらからダウンロードできます。
  • 大学・公的機関における研究開発に関するデータはこちらをご覧ください。

本研究では基幹統計調査「賃金構造基本統計調査」の調査票情報を用いて、我が国において非正規雇用と賃金の関係性が産業の知識集積性によってどのように異なるかを分析しました。

分析の結果、知識集積性の高い産業ほど、非正規労働者と正規労働者との賃金ギャップが大きくなることを明らかにしました。非正規労働者は、流動的な雇用であるため組織内の知識集積に寄与しづらく、このような特徴が賃金ギャップにも反映されたと考えられます。

詳細については、以下を御覧ください。

ライブラリ:労働の柔軟性,イノベーション・レジーム, 及び日本モデルの後退: 『賃金構造基本統計調査』を用いた実証分析[DISCUSSION PAPER No.229]

本報告書では、地域における科学技術の資源と活動の現状を把握するため、①企業、②非営利団体・公的機関、③大学、④自治体(科学技術関連予算)、⑤科学研究費助成事業(科研費)、⑥産学連携、⑦特許、⑧論文の8つの項目に着目し分析しました。その結果、地域の状況は、人口や企業が集積している大都市圏において科学技術に関連する項目の数値が高く、地域イノベーションのポテンシャルが高いと言えること、研究開発費や人材の資源配分において地域間格差が拡大しているとは言いきれないが、企業や大学などが集積している東京圏をはじめとした3大都市圏において資源配分は集中・固定しているという状況が確認されました。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:地域科学技術指標2021[調査資料No.339]