調査研究成果公表

15歳から69歳までの男女合計6,600人に対し、科学技術の進歩が健康状態、身の周りの安全、経済成長、脱炭素等の22のウェルビーイング分野の増進に繋がっているか国民の意識を調べたところ、「(どちらかというと)そう思う」が50%を超えるのは、健康状態、経済成長の2分野であった。科学技術の進歩が健康状態、経済成長の増進に繋がっているとする回答と幸福度が高いとする回答について両者の相関を調べたところ相関関係があった。

要旨
概要
報告書全文

科学技術に関する国民意識調査-科学技術とウェルビーイングとの関係-

 

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、「科学技術指標2023」と「科学研究のベンチマーキング2023」を取りまとめました。

科学技術指標2023

 科学技術指標は、科学技術活動を客観的・定量的データに基づき体系的に把握するための基礎資料であり、約170の指標で日本及び主要国の状況を表しています。
 主要な指標を見ると、日本の産学官を合わせた研究開発費、研究者数は主要国(日米独仏英中韓の7か国)中第3位です。日本のパテントファミリー(2か国以上への特許出願)数では世界第1位、ミディアムハイテクノロジー産業貿易収支比においても、日本は主要国の中で第1位です。日本の大学と民間企業との共同研究実施件数及び研究費受入額は長期的に増加しています。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

■科学技術指標専用ページはこちら

科学研究のベンチマーキング2023

 科学研究のベンチマーキングでは、日本及び主要国を対象に詳細な論文分析を行っています。今回は新たに、オープンアクセス(OA)論文や被引用数構造に着目した分析も行っています。
 日本の注目度の高い論文数は、論文生産への関与度を見る整数カウント法では継続して増加しています。論文生産への貢献度を見る分数カウント法では2000年代から減少していましたが、近年は下げ止まりの兆しが見られます。最新年では、中国がカウント法によらず全ての論文種別で第1位です。ただし、中国の動向については自国からの被引用の影響も大きいことを確認しました。論文の注目度についても多様な観点で見ることの必要性が増していると言えます。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

■科学研究のベンチマーキング専用ページはこちら

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、研究開発を実施している我が国機関の基本的情報を収録する「NISTEP大学・公的機関名辞書」の作成、維持、公開に取り組んでいます。このたび、最新バージョンであるNISTEP大学・公的機関名辞書(Version 2023.1)を公表します。
機関名辞書には、大学及び公的研究機関を中心に、研究活動を行っている我が国の約2万1千の機関(約1万6千の代表機関と約5千の主な下部組織)の情報を掲載しています。
NISTEP大学・公的機関名辞書(Ver. 2023.1)では、掲載機関数がver.2022.2に比べて262機関(代表機関5、下部組織257)増加しました。また、全機関21,205のうち19,849機関(93.6%)に英語名が付けられています。

 

  • NISTEP大学・公的機関名辞書はこちらからダウンロードできます。
  • 大学・公的機関における研究開発に関するデータはこちらをご覧ください。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon 2023夏号(Vol.9 No.2)を公開しました。
東京農工大学 学長 千葉一裕 氏インタビュー、東北大学 流体科学研究所 准教授 鈴木杏奈 氏インタビュー、東京大学 生産技術研究所 講師 杉原加織 氏インタビューなど幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
STIHorizonLogoTop

文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP, 所長 大山真未)は、「民間企業の研究活動に関する調査」の2022年度調査結果を取りまとめました。

2021年度に研究開発者(新卒)を採用した企業の割合は前年度よりわずかに減少しましたが、2011年以降では3番目に高い値でした。社会人大学院生としての大学院通学や、論文博士による博士号取得をサポートしている企業の割合は、博士課程修了者を採用した企業の割合より高いことが明らかとなりました。企業の合併・買収(M&A)の実施状況について初めて調査し、既存事業の拡大を目的とした場合が多く、スタートアップの合併・買収(M&A)の実施割合は大きくないことが明らかとなりました。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行やロシアによるウクライナ軍事侵攻等が、企業の研究開発に及ぼした影響は大きくなかったと考えられます。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリはこちらをご覧ください。
民間企業の研究活動に関する調査報告2022

本研究では、文部科学省が2002年から2009年までに実施した知的クラスター創成事業に焦点を当て、大学・公的研究機関と企業の科学技術成果に対するクラスター政策の効果を分析しました。

分析の結果、知的クラスター創成事業への参加が、大学・公的研究機関の(学術論文でなく)特許出願を増やす一方で、企業の(特許出願でなく)学術論文を増やすことで地域におけるイノベーションを促進していることが分かりました。また、大学・公的研究機関による特許出願や企業による学術論文について、それらの数だけでなく被引用件数も増えたことから、科学技術成果の質の向上も示唆されています。

詳細については、以下のリンクよりご覧ください。

ライブラリはこちらをご覧ください。
学術的知識創造と地域イノベーションへのクラスター政策の影響: 日本における産学連携の地理

 本報告書では、人工知能分野及びロボティクス分野の主要な国際会議における各国の動向を把握するために、国別発表件数の推移及び国際共著関係の分析を行いました。
各国の発表件数については、米国が多くの学会で第1位を占めており、中国は、近年、各学会において発表件数が増加していること、一方、日本の発表件数については、多くの国際会議において英仏独等と同様に米中より少ないことが判明しました。
 又、国際共著については、米国を中心とした国際共著関係が各学会において見られ、特に、米国と中国においては多数の国際共著関係にあること、一方、日本は人工知能分野では国際共著関係が少ない傾向にあるが、ロボット分野では比較的多くの国際共著関係が見られることが分かりました。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。

人工知能分野及びロボティクス分野の国際会議における国別発表件数の推移等に関する分析

文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は日本の研究者による論文とプレプリントの入手や公開の状況、および認識を明らかにするために、オンライン調査を実施し、現在研究活動を行っている1,104名の回答を分析しました。
 
 その結果、研究に必要な論文を十分に入手できている研究者は42.0%であることなどが分かりました。論文のオープンアクセス(OA)経験は83.3%が有しており、プレプリントの入手経験は67.3%(+15.2ポイント)、公開経験は29.5%(+9.1ポイント)であり、いずれも増加していることなどが分かりました。

報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ https://doi.org/10.15108/rm327

 科学技術・学術政策研究所では、第6期科学技術・イノベーション基本計画期間中の科学技術やイノベーション創出の状況を把握するため、第一線で研究開発に取り組む研究者や有識者約2,300名を対象とした5年間の継続的な意識調査(第4期NISTEP定点調査)を実施しています。2回目調査の結果がまとまりましたので公表します。

 2回目調査の主な結果は次の通りです。①優秀な外国人研究者の受け入れ・定着、研究施設・設備、地域創生、大学経営等において、大学の特徴を踏まえた支援の有用性が示唆されました。②若手研究者に安定した雇用が提供できていない、研究者業績評価に関するマネジメント層と研究者間のコミュニケーションに課題がある、といった点が、多くの日本の大学に共通している課題であることが示唆されました。③学術研究・基礎研究及び研究時間等の研究において普遍的に重要な事項について、継続的な問題意識が示されました。④新型コロナウイルス感染症は、業務の効率化や国際連携の推進等に対して正・負両方の影響をもたらしていることが示唆されました。⑤円安・物価高が、国際連携・頭脳循環、研究基盤等、様々な側面で悪影響をもたらしていることが示唆されました。

■NISTEP定点調査専用ページはこちら

文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP, 所長 大山真未)の第1調査研究グループでは2022年12月から2023年1月において、日本国内の博士課程を持つ全大学における2022年4月以降の全ての博士(後期)課程入学者を対象として「博士(後期)課程1年次における進路意識と経済的支援状況に関する調査」を実施いたしました。

本速報では、ウェブ調査票の全ての必須回答の設問に回答した完全な有効回答6,153件に基づき、調査結果のうち『博士(後期)課程への進学を決めた際に予想していた研究環境と比べての所感』などを示しています。調査対象者に「研究時間の確保」「研究指導の機会(頻度)」「研究指導の質」「教員以外との研究交流」「研究施設、設備」「経済的支援」「総合的な研究環境」の7種の側面で『予想していた研究環境と比べての所感』を5択の選択肢で尋ねたところ、[とても良い]と[やや良い]の合計割合が最も高かったのは「研究指導の質」の59%でした。一方で、この合計割合が最も低かったのは「経済的支援」の32%でした。なお、本発表は速報であり、暫定的な集計値を掲載しています。

今後、確報に相当する調査資料の公表については2023年夏頃を予定しています。確報が発表された後は、確報をご利用ください。本調査の実施に際し、多大なご協力をいただいた大学事務局および博士課程学生の皆様に心から感謝申し上げます。

速報の内容については、

「博士(後期)課程1年次における 進路意識と経済的支援状況に関する調査」- 結果概要(速報)-

より御覧ください。

【参考1】博士(後期)課程1年次における進路意識と経済的支援状況に関する調査[日本語版ウェブ調査票]

【参考2】博士(後期)課程1年次における進路意識と経済的支援状況に関する調査[英語版ウェブ調査票]

 

本研究では、科学的知見に基づく(サイエンスベースな)画期的なイノベーションを実現するために必要となる企業における吸収能力の内容について、研究開発投資(財政的資源)と科学技術人材(人的資源)の両面に着目して、学術論文及び特許を用いた書誌情報とも接続させて実証分析を行いました。

分析の結果、サイエンスベースな画期的イノベーションを実現するためには、科学的知見それ自体では必ずしも成果に結びついていないものの、これを補完する研究開発投資や科学技術人材といった吸収能力を有していることが重要であることが示唆されました。

詳細については、以下のリンクよりご覧ください。

 

ライブラリ:サイエンスベースのイノベーション実現のための吸収能力:全国イノベーション調査を用いた実証分析 [DISCUSSION PAPER No.221]

 

 

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、引用文脈分析と呼ばれる手法を用いて、自然科学(以下NS)と人文学・社会科学(以下SSH)の間の引用行動の特徴を明らかにするための調査を実施しました。

 特に再生可能エネルギー(SDG7)と気候変動(SDG13)に着目して、これらのテーマに関する論文とそこで引用されている論文をそれぞれNSとSSHのいずれかに分類し分析を行うことで、NSとSSH間の学際的な引用の特徴を明らかにしています。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ http://doi.org/10.15108/dp220

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、論文データベース分析により、国際的に注目を集めている研究領域を俯瞰したサイエンスマップを作成し、世界の研究動向と日本の活動状況の分析を実施しています。このたび、最新版となる「サイエンスマップ2020」(2015~20年の論文を対象)の結果がまとまりましたので、お知らせします。

 サイエンスマップ2020では919の国際的に注目を集めている研究領域が見いだされました。サイエンスマップ2020への日本の参画領域割合は、サイエンスマップ2018の30%から1ポイント増加し31%となりました。英国やドイツの参画割合は約5~6割となっていますが、両国ともサイエンスマップ2016から2020にかけて参画領域数及び参画領域割合を減少させています。中国が先導する研究領域数が216領域となり米国の178領域を上回りました。ただし、現状では中国内での引用が多い状況です。

 今回のサイエンスマップでは、研究段階(基礎段階、臨床研究・応用研究等)についての分析も行っています。研究段階の視点から研究領域数の変化をみると、より応用段階に近い研究領域数の増加が、過去20年間のサイエンスマップにおける研究領域数の増加の要因の一つであることが分かりました。また、人工知能が関係している研究領域の時系列変化、社会科学等が関係している研究領域の動向の分析も行っています。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

サイエンスマップ専用ページはこちら

※サイエンスマップは、これまで約2年おきに10時点にわたり調査研究結果を発表してきましたが、現在の形式による報告は今回を最後とし、今後、マッピング手法等の最新の知見も取り入れつつ、より長期的な観点から科学研究の変化を観測していくため、調査研究の内容や発行頻度を見直すことを検討していきます。