概 要

 「科学技術指標」は、我が国の科学技術活動を客観的・定量的データに基づき、体系的に把握するための基礎資料であり、科学技術活動を「研究開発費」、「研究開発人材」、「高等教育と科学技術人材」、「研究開発のアウトプット」、「科学技術とイノベーション」の5つのカテゴリーに分類し、約170の指標で日本及び主要国の状況を表している。今版では、コラムに掲載したものも含めて、約20の指標について、新規に掲載又は可視化方法の工夫を行った。
 本概要では「科学技術指標2020」において、注目すべき指標を紹介する。また、新型コロナウイルス感染症に関連した4つのコラムも紹介する。

1.研究開発費から見る日本と主要国の状況

(1)日本の研究開発費総額は、米国、中国に続く規模であり、2018年では17.9兆円(OECD推計)である。

 2018年の日本の研究開発費総額(名目額)は17.9兆円(OECD推計)であり、対前年比は2.3%増である。米国は世界第1位の規模を保っている。2018年では60.7兆円であり、対前年比は5.1%増である。中国は2018年では58.0兆円、対前年比は10.3%増である。主要国中最も伸びており、米国に迫っている。ドイツ、韓国も長期的に増加傾向が続いている。2018年ではドイツが14.8兆円、韓国は10.3兆円であり、対前年比はそれぞれ4.4%、8.1%増である。


【概要図表1】 主要国の研究開発費総額の推移:名目額(OECD購買力平価換算)

注:日本は総務省の科学技術研究調査による値であり、2018年で19.5兆円(対前年比2.5%増)である。国際比較の際には、大学の研究開発費について研究専従換算を行ったOECD推計を用いる
参照:科学技術指標2020図表1-1-1


(2)部門別の研究開発費を見ると、いずれの主要国でも「企業」部門が多くを占めている。

 2018年の研究開発費を部門別に見ると、いずれの主要国でも「企業」部門の研究開発費が最も多い。この傾向は韓国、日本(OECD推計)、中国で顕著である。「企業」部門の研究開発費において、中国は米国を抜いて第1位となった。
 日本(OECD推計)の研究開発費は、「企業」部門では中国、米国に次ぐ第3位、「大学」部門では米国、中国、ドイツに次ぐ第4位、「公的機関」部門では中国、米国、ドイツに次ぐ第4位である。


【概要図表2】 主要国における部門別の研究開発費:名目額(OECD購買力平価換算)(2018年)

注:ドイツの公的機関は非営利団体を含む。中国は非営利団体の値が無い。
参照:科学技術指標2020図表1-1-6


(3)アジアでは「企業」部門、欧米では「大学」、「非営利団体」部門の伸びが大きい。また、主要国間を比較するといずれの部門でも中国の伸びが最も著しく、韓国がそれに続く。

 2000年を1とした部門別研究開発費(実質額)の2018年の指数を見ると、「企業」部門が最も伸びている国は、中国、韓国、日本(OECD推計)である。「大学」部門が最も伸びている国は、米国、ドイツである。フランス、英国でも「大学」部門は伸びているが、「非営利団体」部門がさらに上回っている。ただし、「非営利団体」部門の規模はいずれの国でも小さい。
 主要国間を比較すると、いずれの部門でも中国の伸びが最も著しく、韓国がそれに続く。日本の「大学」部門、「非営利団体」部門の伸びは、主要国の中で最も小さく、「公的機関」部門の伸びも、他の主要国と比べて大きくはない。


【概要図表3】 主要国における部門別の研究開発費(実質額):2000年を1とした2018年の指数

注:ドイツの公的機関は非営利団体を含む。中国は非営利団体の値が無い。
参照:科学技術指標2020図表1-1-6


(4)「大学」部門の性格別研究開発費において、日本のバランスに大きな変化はないが、他の主要国では変化が起こっている。

 「企業」部門の性格別研究開発費は、いずれの国でも「開発」が最も大きく、「基礎研究」が小さい。「大学」部門の性格別研究開発費は、dほとんどの国で「基礎研究」が最も大きい傾向にあるが、中国では「応用研究」が大きい。日本の「基礎研究」がほぼ横ばいなのに対して、米国、フランスでは減少しており、中国では増加している。「公的機関」部門の性格別研究開発費については、多くの国で「開発」の割合が最も大きいが、フランス、英国では「応用研究」の割合が最も大きい。


【概要図表4】 主要国の部門別の性格別研究開発費の内訳
(A)企業
(B)大学
(C)公的機関

注:英国の大学については、すべてが見積もり値のため除いている。
参照:科学技術指標2020図表1-4-2


(5)日本の企業の「基礎研究」は医薬品製造業で多く、輸送用機械器具製造業で伸びている。

 日本の企業の「基礎研究」の研究開発費を産業分類別に見ると、2018年度で最も多いのは医薬品製造業(2,560億円)であり、輸送用機械器具製造業(2,263億円)、情報通信機械器具製造業(1,424億円)と製造業が続いている。2007年度と比較して最も伸びているのは、輸送用機械器具製造業(2.8倍)である。


【概要図表5】 日本の企業における「基礎研究」の産業分類別研究開発費の推移

参照:科学技術指標2020図表1-4-3

2.研究開発人材から見る日本と主要国の状況

(1)日本の研究者数は2019年において67.8万人であり、中国、米国に次ぐ第3位の規模である。部門別で見ると、ほとんどの国で「企業」部門の研究者数が最も多い。

 日本の研究者数は2019年において67.8万人(FTE: 研究専従換算値)であり、中国(186.6万人)、米国(143.4万人)に次ぐ第3位の研究者数の規模である。韓国の研究者数は継続的に増加しており、最新年ではドイツと同程度となっている。
 部門別では、ほとんどの国で研究開発費と同様に「企業」部門の研究者数が最も多いが、英国については「大学」部門の研究者数が最も多い。


【概要図表6】 主要国の研究者数の推移

注:
1)中国の2008年までの研究者の定義は、OECDの定義と異なっている。2009年から計測方法を変更したため、2008年以前と2009年以降では差異がある。その他の国の国際比較や時系列比較についての注意事項については、本編参照のこと。
2)日本(HC)はヘッドカウント研究者数である。
参照:科学技術指標2020図表2-1-3


【概要図表7】 主要国の部門別研究者数

注:
1)全ての国は研究専従換算(FTE:Full-Time Equivalents)した値である。
2)米国はOECDによる見積もり数値であり、近年、「企業」部門以外の数値がないため、「企業」部門とそれ以外について数値を示した。
3)ドイツの公的機関は非営利団体を含む。
参照:科学技術指標2020図表2-1-6



(2)日本の企業における高度研究人材活用度(研究者に占める博士号保持者の割合)は、米国と比べて低い。

 米国では、研究者に占める博士号保持者の割合(高度研究人材活用度)が5%未満の産業はないが、日本は多くの産業で5%未満となっており、米国と比べて高度研究人材の活用度が低い傾向にある。


【概要図表8】 産業別の研究人材集約度と高度研究人材活用度の関係
(A)日本(2019年)                     (B)米国(2017年)

注:
研究人材集約度とは、従業員に占めるヘッドカウント研究者数の割合である。高度研究人材活用度とは、ヘッドカウント研究者に占める博士号保持者の割合である。日米共に研究開発を実施している企業を対象としている。オレンジは製造業、黄色は非製造業を示す。
<日本>日本の産業分類は日本標準産業分類に基づいた科学技術研究調査の産業分類を使用。
<米国>米国の産業分類は、北米産業分類(NAICS)を使用。
参照:科学技術指標2020図表2-2-9


(3)製造業で博士号保持者の新規採用が増加している一方で、非製造業では停滞している。

 博士号保持者の新規採用数や新規採用研究者に占める割合は産業によって異なる。製造業で博士号保持者の新規採用が増加している一方で、非製造業では停滞している。医薬品製造業や化学工業は、新規採用博士号保持者の数、新規採用研究者に占める博士号保持者の割合ともに高い傾向がある。石油製品・石炭製品製造業や電気機械器具製造業において、2017年~2019年にかけて博士号保持者の新規採用数の増加が大きい。


【概要図表9】 企業の新規採用研究者における博士号保持者(産業分類別)

参照:科学技術指標2020図表2-1-19?



(4)日本の大学等において、男性研究者よりも女性研究者の方が任期有り研究者の割合は高い傾向にある。国立、私立大学別、学問分野別で見ても、ほとんどが同様の傾向にある。

 大学等の研究者について任期の状況を見ると、国立大学、私立大学ともに男性研究者よりも女性研究者の方が任期有り研究者の割合は高い傾向にある。学問分野別で見ても、ほとんどが同様の傾向にある。保健分野では男女の差が比較的小さいのと比較して、理学、工学、農学では、男女の差が著しい。特に国立大学で顕著である。


【概要図表10】 日本の大学等における任期有り研究者の状況(2019年)
(A)国立大学                           (B)私立大学

参照:科学技術指標2020図表2-2-14?



3.大学生・大学院生から見る日本の状況

(1)社会人以外の博士課程在籍者が減少している一方で、社会人博士課程在籍者は増加している。

 社会人以外の博士課程在籍者は減少している。専攻別に見ると、「工学」系は2010年度ごろまでは緩やかに増減を繰り返し、2011年度から微減に推移している。その他の多くの専攻分野では減少傾向にある。
 社会人の博士課程在籍者は増加している。専攻別に見ると、「保健」系が著しく増加している。


【概要図表11】 社会人と社会人以外の専攻別博士課程在籍者数の推移
(A)社会人以外
(B)社会人

注:
1)その他は「商船」、「家政」、「教育」、「芸術」、「その他」
2)「社会人」とは、各5月1日において①職に就いている者(給料、賃金、報酬、その他の経常的な収入を得る仕事に現に就いている者)、②給料、賃金、報酬、その他の経常的な収入を得る仕事から既に退職した者、③主婦・主夫を指す。
参照:科学技術指標2020図表3-2-10


(2)世界では約420万人の学生が、出身国・地域とは違う国・地域で、高等教育を受けている(2016年時点)。

 主要国の中で、最も多くの学生を世界に送り出している国・地域は中国であり、全世界の20.1%を占めている。中国の学生の受入国・地域としては、米国が最大である。受入国・地域の側から見ると、最も多くの外国人学生を受け入れているのは米国であり、全世界の23.3%である。次いで英国であり、全世界の10.3%である。
 主要国・地域の外国人学生を見ると、海外に数多くの学生を送り出している中国、韓国は、逆に受け入れている学生は少ない。これに対して、海外に学生をあまり送り出していない米国、英国は、受け入れている学生が多い。日本は、送り出している学生、受け入れている学生のいずれも多くはない。


【概要図表12】 高等教育レベル(ISCED 2011レベル5~8)における
外国人学生の出身国・地域と受入国・地域(2016年)

注:
1)ISCED2011におけるレベル5~8(日本でいうところの「大学等」に加えて専修学校が含まれる)に該当する学生を対象としている。
2)外国人学生とは、受入国・地域の国籍を持たない学生を指す。
3)中国には香港も含む。
4)中国が受入国・地域となっている外国人学生については、出身国・地域の情報がないため、「分類無・その他」となっている。このため、例えば、日本から中国に留学している者も「分類無・その他」になっている。なお、中国教育部の2019年4月12日付けの発表によると(http://www.moe.gov.cn/jyb_xwfb/gzdt_gzdt/s5987/201904/t20190412_377692.html, 2019年6月12日アクセス)、中国(香港、マカオ、台湾は含まない)の高等教育機関(1,004機関)における留学生のうち日本の数は14,230人(2018年)である。
参照:科学技術指標2020図表3-5-2

4.研究開発のアウトプットから見る日本と主要国の状況

(1)0年前と比較して日本の論文数は微減であり、他国・地域の論文数の増加により順位を下げている。注目度の高い論文(Top10%補正論文数、Top1%補正論文数)において、順位の低下が顕著である。論文数において、中国は米国を抜き、世界第1位となった。

 研究開発のアウトプットの一つである論文(自然科学系)に着目すると、論文の生産への貢献度を見る分数カウント法では、日本の論文数(2016-2018年(PY)の平均)は、中、米、独に次ぐ第4位である。中国は米国を抜き、世界第1位になった。日本は、Top10%補正論文数、Top1%補正論文数では共に第9位である。
 10年前と比較して、日本の論文数は微減であり、他国・地域の論文数の増加により順位を下げていることが分かる。特にTop10%補正論文やTop1%補正論文といった注目度の高い論文において、順位の低下が顕著である。


【概要図表13】 国・地域別論文数、Top10%補正論文数、Top1%補正論文数:上位10か国・地域
(自然科学系、分数カウント法)

注:
分析対象は、Article, Reviewである。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。被引用数は、2019年末の値を用いている。
参照:科学技術指標2020図表4-1-6


(2)日本は10年前から引き続きパテントファミリー(2か国以上への特許出願)数において、世界第1位を保っている。

 特許出願に着目し、各国・地域から生み出される発明の数を国際比較可能な形で計測したパテントファミリー数を見ると、1993-1995年は米国が第1位、日本が第2位であったが、2003-2005年、2013-2015年では日本が第1位、米国が第2位となっている。日本のパテントファミリー数の増加は、単一国ではなく複数国への特許出願が増加したことを反映した結果である。中国は2013-2015年で第5位であるが、着実にその数を増やしている。

【概要図表14】 主要国・地域別パテントファミリー数:上位10か国・地域

注:
パテントファミリーとは優先権によって直接、間接的に結び付けられた2か国以上への特許出願の束である。通常、同じ内容で複数の国に出願された特許は、同一のパテントファミリーに属する。
参照:科学技術指標2020図表4-2-5

(3)パテントファミリーにおける国際協力関係が強まっているが、日本は国際共同しているパテントファミリーの割合が、主要国の中で最も低い。

 世界のパテントファミリーにおける国際共同の状況を見ると、国際共同(共同国数が2か国と3か国以上)によるパテントファミリー数は増加しており、パテントファミリーにおける国際協力関係が強まっていることが伺える。
 主要国のパテントファミリーにおける国際共同国数別割合を見ると、日本は国際共同しているパテントファミリーの割合が最も低く、3.8%となっている。特に、3か国以上での国際共同の割合は0.7%となっており、他の主要国と比較して低い値となっている。

【概要図表15】 共同国数別パテントファミリー数10か国・地域

注:共同国数が2か国と3か国以上が、国際共同に対応。
参照:科学技術指標2020図表4-2-7

【概要図表16】 主要国のパテントファミリーにおける国際共同国数別割合
(2006-2015年)

注:共同国数が2か国と3か国以上が、国際共同に対応。
参照:科学技術指標2020図表4-2-8


(4)日本の技術(特許)は他国と比べて科学的成果(論文)を引用している割合が低いが、日本の論文は世界の技術に多く引用されている。

 科学と技術のつながりを見るために、パテントファミリー(2008-2015年の合計)が引用している論文の情報を用いて分析を行った。論文を引用しているパテントファミリー数を国・地域別に見ると、日本は世界第2位である。しかし、日本のパテントファミリーの中で論文を引用しているものの割合は8.5%であり、日本の技術は他国と比べて科学的成果を引用している割合が小さい。
 他方、2008-2015年のパテントファミリーに引用されている論文数(1981-2015年の合計)では米国に次いで多く、日本の論文は世界の技術に多く引用されている。

【概要図表17】 論文を引用しているパテントファミリー数:上位10か国・地域

参照:科学技術指標2020図表4-3-2

【概要図表18】 パテントファミリーに引用されている論文数:上位10か国・地域

参照: 科学技術指標2020図表4-3-3

 

 

 

(5)日本の科学知識が日本の技術に十分に活用されていない可能性がある。

 日本の論文で自国のパテントファミリーに多く引用されている分野は「物理学(56.0%)」と「材料科学(48.2%)」である。他方、「環境・地球科学(12.9%)」、「基礎生命科学(15.4%)」、「臨床医学(15.5%)」は自国のパテントファミリーから引用されている割合は相対的に低い。

【概要図表19】 日本の論文と主要国のパテントファミリーのつながり

参照:科学技術指標2020図表4-3-7

5.科学技術とイノベーションから見る日本と主要国の状況

(1)日本のハイテクノロジー産業貿易収支比は、主要国の中でも低い数値である。他方、ミディアムハイテクノロジー産業においては、日本は主要国の中で第1位を維持している。

 ハイテクノロジー産業貿易収支比を見ると、最新年の日本の収支比は0.76(入超)である。日本の最新年のミディアムハイテクノロジー産業貿易収支比は2.59(出超)であり、主要国中第1位である。推移を見ると、1990年代中頃に、急激な減少を見せた後は漸減傾向にある。


【概要図表20】 主要国におけるハイテクノロジー産業の
貿易収支比の推移 

注:
1)ハイテクノロジー産業とは「医薬品」、「電子機器」、「航空・宇宙」を指す。
2)貿易収支比=輸出額/輸入額
参照:科学技術指標2020図表5-2-4

【概要図表21】 主要国におけるミディアムハイテクノロジー産業の
貿易収支比の推移

注:
1)ミディアムハイテクノロジー産業とは、「化学品と化学製品」、「電気機器」、「機械器具」、「自動車」、「その他輸送」、「その他」を指す。
2)貿易収支比=輸出額/輸入額
参照:科学技術指標2020図表5-2-6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)日本は技術に強みを持つが、それらの新製品や新たなサービスへの導入という形での国際展開が他の主要国と比べて少ない可能性がある。

 国境を越えた商標出願数と特許出願数について、人口100万人当たりの値で比較すると、最新年で商標出願数よりも特許出願数が多い国は、日本のみである。
 最新年で商標出願数の方が特許出願数より多い国は、英国、米国、フランス、韓国、ドイツである。韓国、英国、ドイツについては2002~2017年にかけて、商標の出願数を大きく増加させた。

【概要図表22】 国境を越えた商標出願と特許出願(人口100万人当たり)

【商標出願数の指標としての意味】
商標の出願数は、新製品や新サービスの導入という形でのイノベーションの具現化、あるいはそれらのマーケティング活動と関係があり、その意味で、イノベーションと市場の関係を反映したデータであると考えられる。

注:
1) * 国境を越えた商標数(Cross-border trademarks)の定義はOECD,“Measuring Innovation: A New Perspective”に従った。具体的な定義は以下のとおり。
日本、ドイツ、フランス、英国、韓国の商標数については米国特許商標庁(USPTO)に出願した数。
米国の商標数については①と②の平均値。
① 欧州連合知的財産庁(EUIPO)に対する日本と米国の出願比率を基に補正を加えた米国の出願数=(米国がEUIPOに出願した数/日本がEUIPOに出願した数)×日本がUSPTOに出願した数。
② 日本特許庁(JPO)に対する欧州と米国の出願比率を基に補正を加えた米国の出願数=(米国がJPOに出願した数/EU15がJPOに出願した数)×EU15がUSPTOに出願した数。
2) ** 国境を越えた特許出願数とは三極パテントファミリー(日米欧に出願された同一内容の特許)数(Triadic patent families)を指す。
参照:科学技術指標2020図表5-3

 


(3)日本の大学と民間企業との共同研究実施件数及び研究費受入額は急速に増加している。

 民間企業等との共同研究等にかかる受入額と実施件数を見ると受入額が最も多いのは「共同研究」であり2018年度で701億円、実施件数は2.8万件である。大企業からの受入が多く、同年度で547億円である。「共同研究」の受入額は、2015年度以降、毎年10%以上の増加を見せている。

【概要図表23】 日本の大学等の民間企業等との共同研究等にかかる受入額(内訳)と実施件数の推移

注:
共同研究:機関と民間企業等とが共同で研究開発することであり、相手側が経費を負担しているもの。受入額及び件数は、2008年度まで中小企業、小規模企業、大企業に分類されていた。
受託研究:大学等が民間企業等からの委託により、主として大学等が研究開発を行い、そのための経費が民間企業等から支弁されているもの。
治験等:治験等:大学等が外部からの委託により、主として大学等のみが医薬品及び医療機器等の臨床研究を行い、これに要する経費が委託者から支弁されているもの、病理組織検査、それらに類似する試験・調査。
寄附講座・寄附研究部門:2016年度まで国立大学のみの値。2017年度から公立、私立大学の値が計測されるようになった。
資料:文部科学省、「大学等における産学連携等実施状況について」の個票データを使用し、科学技術・学術政策研究所が再計算した。
参照:科学技術指標2020表5-4-7