この項では、企業の開業率、廃業率を見ることにより、企業の新陳代謝が活発に行われているかどうかを見る。
図表5-4-11に主要国の開業率、廃業率を示した。日本の場合、「雇用保険事業年報」をもとにしており、事業所における雇用関係の成立、消滅をそれぞれ開廃業とみなしている。他国については、各国で計測方法が異なる点には留意が必要である。
各国最新年の開業率を見ると(図表5-4-11(A))、日本の開業率は3.9%であり他国と比較して最も低い数値である。最も高いのは英国であり11.5%、次いでフランスが11.3%、米国が10.5%、ドイツが7.2%となっている。
各国最新年の廃業率を見ると(図表5-4-11(B))、日本は3.3%であり、開業率と同様に他国と比較して最も低い数値である。最も高いのは英国であり11.8%、次いで米国が10.3%、ドイツが9.5%、フランスは3.9%となっている。



注:
1) 企業の開廃業率の算出方法は、国によって異なるため、国際比較するには注意が必要である。
2) 日本は年度の値。
3) ドイツの2018年において時系列の連続性は失われている。
資料:
日本:中小企業庁、「中小企業白書」
米国:United States Census Bureau, “Business Dynamics Statistics”
ドイツ、フランス:Eurostat, “Structural business statistics”
英国:ONS, “Business demography”
参照:表5-4-11
(2)ユニコーン企業数
この項では、米国CB Insightsの調査においてユニコーン企業とされた企業価値が10億ドル以上の未上場企業のデータ(2024年3月25日入手)を使用し、世界におけるユニコーン企業の状況を見る。
図表5-4-12を見ると、新たなユニコーン企業数は2020年から2021年にかけて大きく増加した後、減少した。2023年は69社であり、2020年の規模よりも低い。CB Insightsによる分類で見ると(14) 、2023年では「エンタープライズテック」が最も多く全体の38%を占める。次いで「産業用」、「金融サービス」が続く。
次に分類別・国別にユニコーン企業数の状況を見ると(図表5-4-13)、最もユニコーン企業数が多いのは米国であり、648社となっている。次いで中国が166社であり、3位のインド(69社)と大きく離れている。日本は7社であり、他の国・地域と比較すると少ない。
分類別で見ると、米国では「エンタープライズテック」が最も多く、「金融サービス」、「ヘルスケアとライフサイエンス」がそれに続く。中国では「産業用」が最も多く、「消費者と小売り業」、「エンタープライズテック」がそれに続く。インドでは「消費者と小売り業」が最も多く、「金融サービス」が続く。英国では「金融サービス」が最も多い。

注:
1) CB Insightsの調査においてユニコーン企業とされた企業価値が10億ドル以上の未上場企業(2024年3月20日現在)のデータを基に科学技術・学術政策研究所が作成。
2) 分類についてはCB Insightsが提示した項目を科学技術・学術政策研究所が仮訳した。
3) CB Insightsに企業価値が10億ドル以上と判断された年である。
資料:
CB Insightsのウェブサイトより2024年3月25日入手。
参照:表5-4-12

注及び資料:
図表5-4-12と同じ。
参照:表5-4-13
(14) CB Insightsの分類は科学技術指標2023以前の分類とは異なる。