4.2.6パテントファミリーの出願先

 つぎにパテントファミリーの出願先(自国への出願分は除く)をみることで、主要国からの特許出願の国際的な広がりの時系列変化を見る(図表4-2-13)。
 日本からのパテントファミリーの出願先は、1981年時点では約9割が米国・ヨーロッパとなっていたが、1990年代に入って中国への出願が増加している。2016年時点では米国への出願が42.0%、中国への出願が23.6%、欧州特許庁への出願が14.6%となっている。ヨーロッパ各国の特許庁への直接出願については、長期的にその割合が減少し、2016年時点では、4.6%となっている。
 米国からのパテントファミリーの出願先は、1981年時点では約6割がヨーロッパ、16.1%が米国以外の北米・中南米、17.6%が日本となっていた。1990年代に入って日本以外のアジアの国への出願が増加し、2016年時点ではアジアへの出願が全体の42.3%を占めている。また、アフリカへの出願も一定数存在している。
 2016年時点に注目すると、ドイツについては29.3%がアジア、29.0%が米国を含む北米・中南米、39.4%が欧州に出願されている。
 フランスについてはアジアが24.1%、米国を含む北米・中南米が30.0%であり、42.2%が欧州に出願されている。
 英国については23.4%がアジア、39.0%が米国を含む北米・中南米、33.5%が欧州に出願されている。これらの国についてアジアにおける出願先をみると、日本の比率が相対的に下がり、中国や韓国の比率が上がっている。米国とおなじく、アフリカへの出願も一定数存在している。
 中国からの出願は1980年代後半時点では、欧州への出願が約半数を占めており、それにアジア、米国がつづいていた。その後、米国への出願の割合が大幅に増加する一方で、欧州への出願の割合は減少している。2016年時点では49.7%が米国を含む北米・中南米、22.4%がアジア、26.2%が欧州特許庁となっている。
 韓国からの出願は1986年時点では、欧州が半分、アジアが約3割、米国が約2割を占めていた。その後、米国への出願の割合が大幅に増加し、2016年時点では51.5%が米国を含む北米・中南米、32.8%がアジアとなっている。アジアにおける出願先をみると、日本の比率が相対的に下がり、中国の比率が上がっている。


【図表4-2-13】 主要国におけるパテントファミリーの出願先
(A)日本
(B)米国
(C)ドイツ
(D)フランス
(E)英国
(F)中国
(G)韓国

注:
パテントファミリーの分析方法については、テクニカルノートを参照。
資料:
欧州特許庁のPATSTAT(2021年秋バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-2-13