4.2.4パテントファミリーにおける国際共同状況

 特許システムは、国によって異なることから、発明者や出願人の居住国のみへの出願も含むパテントファミリー+単国出願数は、各国の特許システムへの依存度が大きいと考えられる。
 他方、パテントファミリーは、発明者や出願人が居住する国以外での権利化を目指して、2か国以上に出願されていると考えられ、パテントファミリー+単国出願の中でも相対的に価値が高い発明と考えられる。そこで、以降の分析では、パテントファミリーを用いた分析を示す。
 パテントファミリーにおける国際共同の状況をみると(図表4-2-7)、国際共同(共同国数が2か国と3か国以上)によるパテントファミリーの占める割合は、1980年代において5%に満たなかったが、1990年代以降、徐々に増加し、2000年半ばには13%にまで達しており、パテントファミリーにおける国際協力関係が強まっていることが伺える。その後、国際共同によるパテントファミリーの占める割合は、減少傾向に転じ、2017年には10.3%となっている。
 国際共同国数の内訳をみると、2か国での国際共同の方が3か国以上での国際共同より多い。2017年時点における、2か国での国際共同の割合は8.5%、3か国以上での国際共同の割合は1.8%となっている。
 続いて、主要国を対象に、近年のパテントファミリーにおける国際共同の状況をみるため、2008-2017年のパテントファミリーにおける国際共同国数別割合を図表4-2-8に示す。主要国の中では、日本が国際共同しているパテントファミリーの割合が最も低く、3.7%となっている。特に、3か国以上での国際共同の割合は0.7%であり、他の主要国と比較して低い値となっている。逆に、国際共同しているパテントファミリーの割合が最も高いのは英国で40.8%(2か国:26.9%、3か国以上:13.9%)を占めている。これに続いて、米国が28.0%、中国が26.8%となっている。


【図表4-2-7】 パテントファミリーにおける国際共同状況

(A)共同国数別パテントファミリー数

(B)共同国数別パテントファミリー数の割合

注:
1) パテントファミリーの分析方法については、テクニカルノートを参照。
2) 共同国数が2か国と3か国以上が、国際共同に対応。
資料:
欧州特許庁のPATSTAT(2021年秋バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-2-7


【図表4-2-8】 主要国のパテントファミリーにおける国際共同国数別割合
(2008-2017年)

注:
パテントファミリーの分析方法については、テクニカルノートを参照。
資料:
欧州特許庁のPATSTAT(2021年秋バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-2-8