3.主要国における研究開発のアウトプットと科学技術・イノベーションの状況

(1) 日本の論文数は横ばいであり、他国・地域の増加により順位を下げている。Top10%補正論文数で日本の順位低下が顕著である。中国はTop1%補正論文数でも、世界第1位となった。

 論文の生産への貢献度を見る分数カウント法では、日本の論文数(2018-2020年の平均)は、中、米、独、印に次ぐ第5位である。日本の順位はTop10%補正論文数で第12位、Top1%補正論文数で第10位である。前年と比較すると、論文数では1つ、Top10%補正論文数では2つ、Top1%補正論文数では1つ順位を下げた。なお、中国は米国を抜き、Top1%補正論文数でも世界第1位になった。
 Top10%補正論文数シェアの分野バランスを見ると、日本は「物理学」、「臨床医学」、「化学」のシェアが他分野と比べて高い。米国は「臨床医学」、「基礎生命科学」、「物理学」のシェアが高い。中国は「材料科学」、「化学」、「工学」、「計算機・数学」のシェアが高い。
 主要国内の論文数の分野バランスの推移を見ると、日本では「化学」、「基礎生命科学」、「物理学」の占める割合が減少し、「臨床医学」の占める割合が大きく増加しており、日本としての論文生産の分野構造が変化してきている。米国は、「基礎生命科学」と「物理学」の減少、「臨床医学」の増加が見られる。中国は、「材料科学」及び「工学」の占める割合が、他の主要国と比較して大きい。


【概要図表15】 国・地域別論文数、Top10%及びTop1%補正論文数:上位国・地域(自然科学系、分数カウント法)


参照:科学技術指標2022図表4-1-6(B)

 


【概要図表16】 主要国の分野毎の論文数シェアとTop10%補正論文数シェアの比較
(%、2018-2020年(PY)、分数カウント法)


参照:科学技術指標2022図表4-1-10

 


【概要図表17】 主要国の分野別論文数割合の推移


参照:科学技術指標2022図表4-1-9

(D)研究ポートフォリオ8分野

注:
1) 概要図表15、16、17:分析対象は、Article, Reviewである。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。被引用数は、2021年末の値を用いている。
2) 概要図表17:研究ポートフォリオ8分野に分類できない論文を除いた結果。
3) 概要図表17(D):ESI22分野は、http://esi.help.clarivate.com/Content/journal-list.htm (esi-master-journal-list-02-2022)の雑誌単位の分類である。科学技術・学術政策研究所ではWeb of Science(SCIE)収録論文をEssential Science Indicators(ESI)のESI22分野分類を用いて再分類している。研究ポートフォリオ8分野には経済学・経営学、複合領域、社会科学・一般は含めない。

参照:科学技術指標2022図表4-1-4(B)