3.研究開発人材から見る日本と主要国の状況

(1)日本の大学部門や公的機関部門の研究者数の伸びは他の主要国と比べて小さい。

 大学、公的機関部門の中国の研究者数の規模は大きく、その伸びは著しい。大学部門では、英国、日本(FTE:研究専従換算値)が中国に続いているが、英国の研究者数が増加しているのに対し、日本は5年前と比較すると1.5%減である。公的機関部門では、ドイツ、日本が中国に続いているが、ドイツの研究者数が増加傾向にあるのに対し、日本は5年前と比較すると2.5%増である。


【概要図表4】 大学部門と公的機関部門の研究者数の推移

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(2)日本の企業における高度研究人材活用度(研究者に占める博士号保持者の割合)は、米国と比べて低い。

 米国では、ほとんどの産業で研究者に占める博士号保持者の割合(高度研究人材活用度)が5%を超えている。日本は多くの産業で5%未満となっており、米国と比べて高度研究人材の活用度が低い傾向にある。


【概要図表5】 産業別の研究人材集約度と高度研究人材活用度の関係
(A)日本(2020年)                     (B)米国(2018年)

注:
1) 研究開発を実施している企業を対象としている。研究人材集約度とは、従業員に占めるHC研究者数の割合である。高度研究人材活用度とは、HC研究者に占める博士号保持者の割合である。オレンジは製造業、黄色は非製造業を示す。
2) 日本の産業分類は日本標準産業分類に基づいた科学技術研究調査の産業分類を使用。
3) 米国の産業分類は北米産業分類(NAICS)を使用。

参照:科学技術指標2021図表2-2-9

 

(3)日本の女性研究者数の割合は主要国と比べて低いが、新規採用研究者に占める女性研究者の割合は増加している。

 主要国の女性研究者の全研究者に占める割合は、いずれの国でも企業において、低い傾向にある。日本の女性研究者数の割合は、いずれの部門においても他国と比較すると低い。日本における新規採用研究者数の状況を見ると、いずれの部門においても女性の新規採用研究者数の割合は、各部門の女性研究者割合よりも高い傾向にある。


【概要図表6】 主要国の女性研究者数の部門ごとの割合

参照:科学技術指標2021図表2-1-11

【概要図表7】 日本の男女別新規採用研究者

参照:科学技術指標2021図表2-1-18(A)