お知らせ

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、2018 年10 ⽉から11⽉にかけて科学技術専⾨家ネットワークを活⽤したウェブアンケート調査を実施しました。
 その結果、回答者1,516 名のうち51.8%がデータ公開、78.0%が論⽂のインターネット公開の経験がありました。2016 年調査の結果と⽐較すると、全体としてはデータの公開が進んでいませんが、分野による差が分かりました。
 また、助成機関等が要求しているデータマネジメントプラン(DMP)の作成経験を持つ回答者は18.7%にとどまりました。DMPの作成は、データの公開経験を持つ回答者によっては、研究上のインセンティブがあることが⽰されたものの、研究者のデータ公開に対する懸念は依然として強く、84.2%が引⽤せずに利⽤される可能性、75.9%がデータの所有権・契約、69.1%が先に論⽂を出版される可能性を「問題」または「やや問題」であると認識しています。
 また、データを公開しようとする場合の資源の不⾜感も強く、84.6%は⼈材、80.3%は時間、78.7%は資⾦が、それぞれ「不⾜」または「やや不⾜」していると認識しています。

報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:研究データ公開と論⽂のオープンアクセスに関する実態調査2018[調査資料-289]

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、世界保健機関(WHO)で公開されている COVID-19 に関する文献リストである the WHO COVID-19 database 並びに プレプリントサーバ bioRxiv および medRxiv で公開されている COVID-19 SARS-CoV-2 関連の論文リストを対象として、COVID-19 / SARS-CoV-2 に関する研究の概況把握を行いました。

 COVID-19 / SARS-CoV-2 に関する論文数は 2002年の SARS など、過去の感染症事例に比べて立ち上がりや増加数がまったく異なることが観察されました。論文の内容(トピック)について、人工知能関連技術をもちいて分類し、その時系列や国・地域別の分布を調査したところ、トピックの分類および時系列推移は疫学調査のステップに合致するような傾向を示していることがわかりました。国・地域別でもトピックの分布には異なりが見られますが、これらはアウトブレークの時期の異なりによるものと推測できます。

 論文数を国・地域で比較すると、中国、米国の論文数が多く、イタリア、英国、フランス等が上位であることが確認されました。また、論文数と感染者数の間には相関がみられ、感染者数あたりの論文数では日本が米国、イタリア、英国、フランス等を上回っています。

詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。
ライブラリ:COVID-19 / SARS-CoV-2 に関する研究の概況 [DISCUSSION PAPER No. 181]

文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP, 所長 磯谷桂介)では、科学技術に関する一般の方々の意識データを収集し、科学技術イノベーション政策の立案・推進に資することを目的として、「科学技術に関する国民意識調査」を実施しています。
この調査では、従来から、感染症予測と対策について、政府の講じるべき科学技術に関連した政策をたずねています。
このたび、新たに新型コロナウイルスを含む感染症についてたずねたところ、「研究開発の推進」、「一般の人へのわかりやすい情報提供」を回答する人の割合が過半数を超え、また、前回の調査(2019年3月)からもこれらを選択した人の割合も増加しており、新型コロナウイルスを含む感染症の予測と対策について、科学技術に関連した政策に対する国民の関心が高まっていることがわかりました。

内容については、速報を御覧ください。

(注)本報告書につきましては、科学技術・学術政策研究所ウェブサイト(https://www.nistep.go.jp/)上に、2020年夏頃に掲載予定ですので、そちらから電子媒体を入手することが可能となります。

 文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、第5期科学技術基本計画(2016年1月閣議決定)期間中の日本の科学技術やイノベーション創出の状況変化を把握するための継続的な意識調査(NISTEP定点調査)を2016年度より実施しています。この度、4回目となるNISTEP定点調査2019の結果がまとまりました。

 NISTEP定点調査2019では、大学や公的研究機関における女性研究者や若手研究者の活躍できる環境整備では改善に向けた動きが見られています。また、第5期基本計画期間中に、組織的な産学官連携の重要性が高まり、連携も進展したという認識が示されています。

 他方で、基礎研究の状況の指数は一貫して低下しており、研究環境(基盤的経費・研究時間・研究支援人材)についても厳しい認識が継続しています。これに加えて、研究施設・設備、知的基盤・研究情報基盤といった研究インフラでも、指数の低下が見られました。

 今年度調査では、「研究活動に集中するための方策」、「外部資金を獲得できなかった場合の対応等」、「産学官連携の状況(組織的な産学官連携、民間企業の博士人材に対する認識、研究者の周辺状況や考え方等)」等について深掘調査を実施しました。自由記述や評価の変更理由等では、約9,300件(文字数約52万字)の研究者や有識者の生の声が寄せられました。

 報告書の詳細については、以下のライブラリより御覧ください。

 

NISTEP定点調査専用ページはこちら[データ集の自由記述部分を質問パートごとに分割したファイルを掲載しています]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、日本が生み出す論文数が停滞している要因を明らかにするために、日本の大学を対象に1980年代からの論文数、研究者数、研究開発費の長期マクロデータを整備し、過去、日本の論文数が増加している時期も含めて重回帰分析及び要因分析を行いました。

その結果、2000年代半ばからの、日本の論文数の停滞は、1)教員の研究時間割合低下に伴う研究専従換算係数を考慮した教員数の減少(2000年代半ば~2010年頃)、2)博士課程在籍者数の減少(2010年頃以降)、3)原材料費のような直接的に研究の実施に関わる費用の減少(2010年頃以降)といった複合的な要因からなることを示しました。

報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。本調査研究で用いたデータについても、参考資料として公表します。

ライブラリ:長期のインプット・アウトプットマクロデータを用いた日本の大学の論文生産の分析[DISCUSSION PAPER No.180]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、大学における産学官連携活動や外部研究資金獲得状況、研究推進支援人材の配置状況等に関するオリジナルのパネルデータセットを構築し、産学官連携コーディネーターとリサーチ・アドミニストレーター(URA)を研究推進支援人材として、それら人材の有無・人数と、獲得した外部研究資金の金額・契約件数との因果関係を定量的に分析しました。その結果、産学官連携コーディネーターやURA の配置は、外部研究資金の獲得件数・金額の増加に有意に貢献していることが明らかになりました。

報告書の詳細については、以下のリンクより御覧ください。

要旨
報告書

ライブラリ
大学における研究推進支援人材が外部研究資金獲得に与える影響[DISCUSSION PAPER No.179]

[訂正]2021年8月12日(木)
報告書中の表3に誤りがありましたので訂正しました。お詫び申し上げます。

正誤表

 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、自然科学系を対象とした論文分析から英国やドイツと比べた日本の大学等部門の特徴や日本の大学の持つ個性(強み)の把握を行いました。

 論文数の分布を3か国で比較すると、日本の上位大学の論文数は英国・ドイツより多いか同程度である一方、上位に続く層の大学(10位~50位程度)の論文数が両国と比べて少なく、分野別の論文数の順位を見ても上位に出現する大学が固定されています。大学の数に注目すると、日本には英国やドイツより論文数規模の小さい大学が多く、それらの中には特定分野において個性(強み)を持つ大学が多数存在しています。

 日本の研究力の向上について検討する際には、このような日本の大学の特徴を踏まえた施策の検討が必要です。大学等における活用を想定して、一定の論文数を持つ日英独の大学について、大学ごとの状況を示したデータも併せて公開します。

 詳細につきましては以下のリンクより御覧ください。

ライブラリ:研究論文に着目した日英独の大学ベンチマーキング2019[調査資料-288]

 

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、2006年5月に発行した「忘れられた科学 – 数学 ~主要国の数学研究を取り巻く状況及び我が国の科学における数学の必要性~[POLICY STUDY №12]」を踏まえ、日本の数学の現況の客観的な把握を行い、数学の振興施策の基本情報とするため、論文データベース等を用いながら分析を行いました。

その結果、米国やドイツでは数学研究予算の増加などが示唆されており、数学研究の重要性は増してきています。数学論文数の国別順位を見ると日本、ドイツやフランスでは多少の論文数のシェア低下が見られます。
各学際分野の論文数の推移を見ると、日本における諸科学と数学との学際分野の論文数は増えていますが、世界は日本よりもさらに論文数が伸びていることがわかります。ただし、医学や芸術及び人文学との学際分野の論文数については世界の伸びより日本の伸びが大きいことなどが分かりました。

詳細は以下を御覧ください。
要旨
概要
報告書全文

ライブラリ:数学研究に関する国際比較-「忘れられた科学」から-[調査資料-287]

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2020春号(Vol.6 No.1)を発行しました。国立研究開発法人物質・材料研究機構 理事長/総合科学技術・イノベーション会議 議員 橋本 和仁 氏のインタビュー等、科学技術・イノベーション政策に資する情報を幅広く掲載しています。

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
STIHorizonLogoTop

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が公開している「科学技術白書検索」について以下の通りデータを更新し、機能を追加しました。
【データの更新】

    平成30(2018)年版と令和元(2019)年版の科学技術白書のテキスト情報(本文や図表の表題など)を追加しデータを更新

【機能の追加】

    よく使われる語句を大きく表示する「キーワードマップ」の機能を追加

「科学技術白書検索」のアクセス方法:以下のNISTEPのウェブサイト(データ・情報基盤のページ)
URL:https://www.nistep.go.jp/research-scisip-whitepaper-search

【参考】
科学技術白書は、文部科学省において昭和33(1958)年から現在まで継続的に発行されており、日本の科学技術政策に関する施策やトピックなど、様々な情報が蓄積されています。NISTEPではこの点に着目し、以下のような機能・特徴を備えた「科学技術白書検索」を開発し、令和元(2019)年11月に公開しました。
○ 昭和33(1958)年版から令和元年(2019)年版までの全ての科学技術白書のテキスト情報(本文や図表の表題など)がデータベース化されています。
○ 各年代の科学技術に関する政策や施策の動向を調べることができます。
○ キーワードだけでなく、類義語も併せて検索する「あいまい検索」や期間を指定して検索することもできます。
○ 注目するキーワードがどの年に多く出現しているかなど、白書への出現回数を知ることができます。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、STI Horizon誌2020春号(Vol.6 No.1)の一部をweb先行公開(2月分)しました。今回は以下の記事を掲載しています。

特別インタビュー
・国立研究開発法人物質・材料研究機構 理事長/総合科学技術・イノベーション会議 議員 橋本 和仁 氏インタビュー
-マテリアルズ・インフォマティクスがリードする材料研究・開発、そしてNIMSの戦略-

ほらいずん
・NISTEPフォーサイトシンポジウム
-第6期科学技術基本計画に向けて日本の未来像を展望する-(開催報告)

詳細については、以下のリンクより御覧ください。
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科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、特許データや統計データを用いて、日本の産業における研究開発やイノベーションについての分析を行うための企業名辞書を公開しています。
この度、企業名辞書及び企業名辞書の関連ファイルであるIIPパテントデータベースとの接続テーブル等のデータ改訂を行いました。改訂の概要は以下の通りです。

■NISTEP企業名辞書(ver.2020_1);

企業名辞書の前版(ver.2019_1)公開以降、企業名称の変更、企業統合・再編、株式上場・廃止など企業状況に変化が生じている場合のデータ追加のほか、新規に大学発ベンチャーを掲載した。大学発ベンチャーの掲載にあたり、経済産業省/NEDOの大学発ベンチャーデータベース、大学のHPで公開する大学認定ベンチャー企業、大学発ベンチャーに関する各種調査報告書に掲載された企業などを参考として約2,300社の掲載を行っている。なお、大学発ベンチャーには短期間で活動を中止した企業や、容易に企業データを取得できない企業も多いため、継続して調査を行いデータの追加・改訂を行う予定としている。

■IIPパテントデータベースとの接続テーブル(ver.2020_1)

企業名辞書の改訂に伴いIIPパテントデータベース(2017年版)との接続テーブルの改訂を行った。大学発ベンチャーを含む企業について、企業名称の変更前後や合併企業の特許出願状況など企業の沿革に基づいた接続が行われるため、過去から現在までの企業の特許出願状況が再現できる。

企業名辞書その他関連ファイルのダウンロードは、以下のURLからお願いいたします。

http://www.nistep.go.jp/research/scisip/rd-and-innovation-on-industry

本調査研究では、イノベーション・プロジェクトの段階的なマネジメント方法(ステージ型管理法)がイノベーションのアウトプットに及ぼす影響を定量的に分析しています。分析には、当研究所が実施している「全国イノベーション調査」の調査票情報と企業の会計・信用情報を接合したデータセットを用いています。

分析の結果、ステージ型管理法を採用した企業は、市場新規プロダクト・イノベーション実現の有無及び売上率が有意に高いことが分かりました。この結果は、ステージ型管理法の採用によって不確実性の高いプロジェクトが着手されやすくなり、市場新規プロダクト・イノベーションの実現を促進したことを示唆しています。プロジェクトの中止・継続の判断を柔軟にすることは、画期性の高いイノベーションを創出するうえで重要と考えられます。

詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。

要旨
概要
本文(英語)

ライブラリ:
研究開発プロジェクトの中止・継続がイノベーションの成果に及ぼす影響とその決定要因:全国イノベーション調査による定量分析[DISCUSSION PAPER No.178]