5.4.3主要国における起業の状況

 この項では、米国CB Insightsの調査においてユニコーン企業とされた企業価値が10億ドル以上の未上場企業のデータ(2025年3月4日入手)を使用し、世界におけるユニコーン企業の状況を見る。
 図表5-4-11を見ると、新たなユニコーン企業数は2020年から2021年にかけて大きく増加した後、減少した。2024年は79社であり、2020年よりも少ない。CB Insightsによる分類で見ると(14)、2024年では「エンタープライズテック」が最も多く全体の51%を占める。これに「金融サービス」、「産業用」が続いている。
 次に分類別・国別にユニコーン企業数の状況を見ると(図表5-4-12)、最もユニコーン企業数が多いのは米国であり、690社となっている。次いで中国が162社であるが、米国とは大きく離れている。日本は8社であり、他の国・地域と比較すると少ない。
 分類別で見ると、米国では「エンタープライズテック」が最も多く、「金融サービス」、「ヘルスケアとライフサイエンス」がそれに続いている。中国では「産業用」が最も多く、「消費者と小売り業」、「エンタープライズテック」がそれに続いている。インドでは「消費者と小売り業」が最も多く、次は「金融サービス」である。英国では「金融サービス」が最も多い。

(1)開廃業率の国際比較

 この節では、企業の開業率、廃業率を見ることにより、企業の新陳代謝が活発に行われているかどうかを見る。
 図表5-4-15に主要国の開業率、廃業率を示した。日本の場合、「雇用保険事業年報」をもとにしており、事業所における雇用関係の成立、消滅をそれぞれ開廃業とみなしている。他国については、各国で計測方法が異なる点には留意が必要である。
 各国最新年の開業率を見ると(図表5-4-15(A))、日本の開業率は4.4%であり他国と比較して最も低い数値である。最も高いのは英国であり12.4%、次いでフランスが11.3%、米国が9.3%、ドイツが7.2%となっている。
 各国最新年の廃業率を見ると(図表5-4-15(B))、日本は3.1%であり、開業率と同様に他国と比較して最も低い数値である。最も高いのは英国であり11.1%、次いでドイツが9.5%、米国が9.4%、フランスは3.9%となっている。

 

【図表5-4-11】 新たなユニコーン企業数の推移

注:
1) CB Insightsの調査においてユニコーン企業とされた企業価値が10億ドル以上の未上場企業(2025年1月7日現在)のデータを基に科学技術・学術政策研究所が作成。
2) 分類についてはCB Insightsが提示した項目を科学技術・学術政策研究所が仮訳した。
3) CB Insightsに企業価値が10億ドル以上と判断された年である。
資料:
CB Insightsのウェブサイトより2025年3月4日入手。

参照:表5-4-11


【図表5-4-12】 分類別・国・地域別ユニコーン企業数(2007~2024年の合計)

注及び資料:
図表5-4-11と同じ。

参照:表5-4-12

 


(14)CB Insightsの分類は科学技術指標2023以前の分類とは異なる。