6.科学技術とイノベーションの状況

(1) 日本のハイテクノロジー産業貿易収支比は、主要国の中でも低い数値である。他方、ミディアムハイテクノロジー産業においては、日本は主要国の中で第1位を維持している。

 ハイテクノロジー産業貿易収支比を見ると、最新年の日本は0.76(入超)である。他国を見ると、中国、韓国は収支比が高く、それぞれ1.29と1.28である。ミディアムハイテクノロジー産業貿易収支比を見ると、最新年の日本は2.45(出超)であり、主要国中第1位である。日本の収支比が減少傾向で推移しているのに対して、中国は長期的に増加している。最新年では2.32となり、日本に迫る勢いである。
 ハイテクノロジー産業貿易の相手先国・地域を見ると、ほとんどの主要国において2023年の中国の輸出入額は2021年と比較すると減少している。しかし、日本、米国のハイテクノロジー産業の輸入額は依然として中国の規模が大きく、入超の度合いも大きい。米国の対中国の貿易収支比は入超が継続している。最新年では0.2であり、ここに示した相手先国・地域中では最も低い。対日本については、1990年に0.4であった収支比が、2023年では0.8となっている。


【概要図表23】 主要国における産業貿易
(A)ハイテクノロジー産業貿易収支比
(B)ミディアムハイテクノロジー産業貿易収支比

(C)ハイテクノロジー産業貿易の相手先国・地域

注:
1) ハイテクノロジー産業とは「医薬品」、「電子機器」、「航空・宇宙」を指す。
2) ミディアムハイテクノロジー産業とは、「化学品と化学製品」、「電気機器」、「機械器具」、「自動車」、「その他輸送」、「その他」を指す。
3) 貿易収支比=輸出額/輸入額

参照:科学技術指標2025図表5-2-4
参照:科学技術指標2025図表5-2-6
参照:科学技術指標2025コラム図表5

 

(2) 日本の大学と民間企業等との「共同研究」の受入額は継続的に増加し、2023年度には1,053億円となった。

 民間企業等との共同研究等にかかる受入額と実施件数を見ると、受入額が最も多いのは「共同研究」であり2023年度で1,053億円、実施件数は3.2万件である。大企業からの受入が多く、同年度で832億円である。「共同研究」及び「受託研究」の「直接経費に対する間接経費の比率」も、順調に伸びている。2006年度と2023年度を比較すると、共同研究では8.5%から26.2%(間接経費:219億円)へ、受託研究では10.1%から21.4%(同:31億円)と大きく増加した。

 

【概要図表 24】日本の大学等の民間企業等との共同研究等の状況
(A)受入額(内訳)と実施件数の推移
(B)間接経費の状況
(a)共同研究
(b)受託研究

注:
1) 共同研究:機関と民間企業等とが共同で研究開発することであり、相手側が経費を負担しているもの。受入額及び件数は、2008年度まで中小企業、小規模企業、大企業に分類されていた。
2) 受託研究:大学等が民間企業等からの委託により、主として大学等が研究開発を行い、そのための経費が民間企業等から支弁されているもの。
3) 治験等:大学等が外部からの委託により、主として大学等のみが医薬品及び医療機器等の臨床研究を行い、これに要する経費が委託者から支弁されているもの、病理組織検査、それらに類似する試験・調査。
4) 寄附講座・寄附研究部門:2016年度まで国立大学のみの値。2017年度から公立、私立大学の値が計測されるようになった。寄附講座・寄附研究部門の「実施件数」は「講座・部門数」である。
5) 国内企業の内訳については大企業、中小企業に加えて、小規模企業は2006~2008年度まで、外資系企業は2019、2020年度について出典となる資料にデータが掲載されている。

参照:科学技術指標2025図表5-4-5