概 要

 「科学技術指標」は、我が国の科学技術活動を客観的・定量的データに基づき、体系的に把握するための基礎資料であり、科学技術活動を「研究開発費」、「研究開発人材」、「高等教育と科学技術人材」、「研究開発のアウトプット」、「科学技術とイノベーション」の5つのカテゴリーに分類し、約160の指標で日本及び主要国の状況を表している。本概要では「科学技術指標2024」の注目すべき指標を紹介する。

1.主要な指標における日本の動向

 主要な指標における日本の動向は、以下の通りである。おおむね科学技術指標2023と同様の順位である。大学の研究開発費において順位を下げて5位となったが、これは英国の大学部門の研究開発費の計測方法が変更になった影響が大きい。公的機関の研究者数についても、僅かではあるがフランスが日本を上回った。日本は研究開発費や研究者数の伸びにおいて、他の主要国と比べて小さい。中国は近年のデータについてOECDによる公表が控えられていたが、2021年まで公表されるようになった。

【概要図表1】 主要な指標における日本の動向

注:
※:研究開発費とは、ある機関で研究開発業務を行う際に使用した経費であり、科学技術予算とは異なる。予算については本編参照。
1) 日本の順位の変化は、昨年との比較である。数値は最新年の値である。
2) 論文数、Top1%・Top10%補正論文数、特許数以外は、日本、米国、ドイツ、フランス、英国、中国、韓国の主要国における順位である。

 

(1)日本の企業部門や大学部門の研究開発費及び研究者の伸びは他の主要国と比べて小さい。

  企業及び大学部門の研究開発費は、米国が主要国中1番の規模である。両部門ともに2010年代に入って伸びが大きくなった。中国も研究開発費を伸ばしている。日本の企業部門の伸びは緩やかであるが、最新年の対前年比は6.4%増である。政府負担分は同時期に44%増加しており、企業部門全体における重みは小さいが、研究開発費の増加には政府部門の寄与もある。大学部門では、日本は2000年代に入ってから、ほぼ横ばいに推移しており、この間に中国、ドイツ、英国が日本を上回っている。


【概要図表2】 企業部門と大学部門の研究開発費名目額(OECD購買力平価換算)

 

 

 

 

 

 

 

 


  企業及び大学部門の研究者数は、中国が主要国中1番の規模である。企業部門では、米国と中国が拮抗しつつ、両国ともに急速な伸びを見せている。日本の企業部門の研究者数は2000年代後半からほぼ横ばいに推移していたが、2017年以降は微増している。また、韓国の企業部門の研究者数は長期的に増加している。大学部門では、ドイツは2000年代中頃から研究者数が増加しており、日本に迫っている。日本の伸びは緩やかであり、最近は横ばい傾向である。

 

【概要図表3】 企業部門と大学部門の研究者数の推移

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注:
データが掲載されてない期間は点線で示した。