2.1.4各国・地域の女性研究者

 この節では、各国・地域の女性研究者の割合を比較する。研究者の多様性向上の観点からも女性研究者の活躍が期待されている。
 女性研究者数の研究者全体に占める割合はHC値を用いて計測している。また、米国は女性研究者の数値はない。
 我が国の女性研究者の全研究者数に占める割合は2022年で17.8%である。その割合は、調査国・地域中、最も小さいが、その数で見ると、英国、ドイツに次いで多い(図表2-1-10)。


【図表2-1-10】 男女別研究者数と女性研究者数の割合(HC値比較)

注:
1) 日本は2022年、ドイツ、スウェーデン、オーストリア、ベルギー、スイスは2019年、英国、フランスは2017年、その他の国・地域は2020年の値である。
2) HC(実数)である。
3) 下記資料中に米国、中国のデータはない。
4) 英国の数値は見積り値である。
5) フランスの数値は暫定値である。
6) スペイン、イタリア、ポーランド、オーストリア、ギリシャの数値は定義と異なる。
7) 日本の2022年は該当年の3月31日時点の研究者数を測定している。
資料:
日本:総務省、「科学技術研究調査報告」
その他:OECD,“Main Science and Technology Indicators March 2023”

参照:表2-1-10


 次に、主要国について研究者数に占める女性割合を部門別に見る(図表2-1-11)。
 日本は「大学」部門が大きく、28.6%である。他方、一番小さい部門は「企業」部門で11.6%である。また、「非営利団体」部門では、他国と比較すると小さい割合となっている。
 ドイツは「公的機関」部門と「非営利団体」部門が一緒である。「大学」部門が40.0%、「公的機関・非営利団体」部門が37.2%と、この2部門が大きいことがわかる。
 フランスでは「非営利団体」部門が最も大きく43.9%であり、次いで大きいのは「大学」部門(39.9%)、「公的機関」部門(37.0%)である。
 英国は企業の研究者数が改訂(2.1.2節参照)されたのに伴い、科学技術指標2022よりも以前の値(2017年)が最新値となっていることに留意されたい。英国では、「非営利団体」部門が最も大きく46.5%、次いで「大学」部門が46.1%と大きい。どの部門においても、女性研究者の割合は他国と比較して大きい傾向にある。
 韓国では、「大学」部門が最も大きく33.8%である。
 各国とも女性研究者の割合が小さいのは「企業」部門であり、「大学」部門では大きい傾向にある。

【図表2-1-11】 主要国の女性研究者数の部門ごとの割合

注:
1) HC(実数)である。なお、下記資料中に米国、中国のデータはない。
2) 日本の2022年は該当年の3月31日時点の研究者数を測定している。
3) ドイツは公的機関と非営利団体を合わせた値。
4) フランスは暫定値、英国の大学の数値は見積り値。
5) フランス、英国、韓国の非営利団体は研究者数全体から、企業、大学、公的機関を除いたもの。
資料:
日本:総務省、「科学技術研究調査報告」
その他:OECD,“Main Science and Technology Indicators March 2023”

参照:表2-1-11


 次に、日本の女性研究者数及び全研究者数に占める割合の推移を見ると(図表2-1-12)、女性研究者の数は2022年時点では17.5万人であり、ほぼ一貫して増加傾向にある。その割合についても、着実に増加しており、2022年で17.8%となった。博士号保持者は2022年で3.6万人であり、着実に増加している。前年と比較すると女性研究者数は5.5%増加、博士号を保持する女性研究者数は3.7%増加している。


【図表2-1-12】 日本の女性研究者数及び全研究者に占める割合の推移

注:
2001年までは研究本務者の値である。2002年以降はHC(実数)である。2001年以前の値は該当年の4月1日時点の研究者数、2002年以降の値は3月31日時点の研究者数を測定している。
資料:
総務省、「科学技術研究調査報告」

参照:表2-1-12


 最後に、男女別研究者数と博士号保持者の状況を部門別に見ると(図表2-1-13(A))、男性研究者が最も多く在籍しているのは「企業」(65.5%)であり、次いで「大学等」(30.2%)である。女性研究者は「大学等」(55.6%)に最も多く在籍しており、次いで「企業」(39.5%)である。
 男性研究者の多くが「企業」に在籍しているのに対して、女性研究者の多くは「大学等」に在籍している。博士号保持者は、男女ともに「大学等」に多く在籍している(図表2-1-13(B))。


【図表2-1-13】 日本の男女別研究者数と博士号保持者の状況(2022年)
(A)部門別男女別研究者数の割合

(B)男女別部門別博士号保持者の状況
(a)男性
(b)女性

注:
HC(実数)である。男性の数値は合計から女性の数値を引いたものである。該当年の3月31日時点の研究者数を測定している。
資料:
総務省、「科学技術研究調査報告」

参照:表2-1-13