(7) 日本の大学と民間企業との共同研究実施件数及び研究費受入額は長期的に増加している。
民間企業等との共同研究等にかかる受入額と実施件数を見ると受入額が最も多いのは「共同研究」であり2021年度で924億円、実施件数は3.0万件である。大企業からの受入が多く、同年度で711億円である。なお、「共同研究」および「受託研究」について、「直接経費に対する間接経費の比率」は、順調に伸びている。2006年度と2021年度を比較すると、共同研究では8.5%から22.8%(172億円)へ、受託研究では10.1%から19.1%(23億円)と大きく増加した。
(A)受入額(内訳)と実施件数の推移


注:
1) 共同研究:機関と民間企業等とが共同で研究開発することであり、相手側が経費を負担しているもの。受入額及び件数は、2008年度まで中小企業、小規模企業、大企業に分類されていた。
2) 受託研究:大学等が民間企業等からの委託により、主として大学等が研究開発を行い、そのための経費が民間企業等から支弁されているもの。
3) 治験等:大学等が外部からの委託により、主として大学等のみが医薬品及び医療機器等の臨床研究を行い、これに要する経費が委託者から支弁されているもの、病理組織検査、それらに類似する試験・調査。
4) 寄附講座・寄附研究部門:2016年度まで国立大学のみの値。2017年度から公立、私立大学の値が計測されるようになった。寄附講座・寄附研究部門の「実施件数」は「講座・部門数」である。
5) 国内企業の内訳については2006年時点では大企業、中小企業、小規模企業とあったが、小規模企業は2008年度まで、外資系企業は2019、2020年度のみデータが提供されている。
6) 直接経費とは当該共同研究に直接的に必要となる経費、間接経費とは産学連携の推進を図るための経費や直接経費以外に必要となる経費及び管理的経費等といった名目の経費である。
参照:科学技術指標2023図表5-4-9(A)(B)
(8) 日本の大学における知的財産権収入は長期的に見ると増加傾向にあり、過去約15年で、約7倍となっている。
日本の大学における知的財産権収入は長期的に見ると増加傾向にあり、2021年度では61億円である。2005年度と比較すると約7倍となっている。英国の知的財産権収入は、長期的に増加傾向であるが、最新年では減少し、295億円となった。米国は、日本、英国と比較すると、桁違いに大きく、2021年度では2,739億円である。長期的には、2008年度での一時的な増加を除けば、3,000億円程度で推移している。

注:
1) 日本の知的財産権とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、その他知的財産(育成者権、回路配置利用権等)、ノウハウ等、有体物(マテリアル等)を含む。
2) 米国の知的財産権とは、ランニングロイヤリティ、ライセンス収入、ライセンス発行手数料、オプションに基づく支払い、ソフトウェア及び生物学的物質のエンドユーザーライセンス(100万ドル以上)等である。
3) 英国の知的財産権とは、特許権、著作権、意匠、商標等を含む。
参照:科学技術指標2023図表5-4-11
(9) 日本の大学発ベンチャー企業の従業員に占める博士号保持者の割合は大きい。
日本の大学発ベンチャー企業数は順調に増加しており、2022年度では3,782社である。ベンチャーの定義別の内訳では「研究成果ベンチャー」が全体の50.6%と半数を占めている。また、大学発ベンチャー企業全体での従業員に占める博士号保持者の割合は20%であり、一般企業の研究者のうちの博士号保持者の割合(4%)と比較しても、博士号保持者の割合は大きい。

博士号保持者の割合(2022年度)

注:
概要図表23(B)は、「大学発ベンチャー設立状況調査(2023)」で把握された大学発ベンチャー企業のうち連絡先が把握できた企業の実態を調査した結果である(「大学発ベンチャーの実態に関する調査(2023)」、回収数は569/3,779件、回収率15.1%)。()内の数値は従業員数、「一般企業の研究者」については研究者数である。技術移転ベンチャーは従業員数が少ないので掲載していない。
参照:科学技術指標2023図表5-4-12(A)、14(A)