(3) 日本は技術に強みを持つが、それらの新製品や新たなサービスへの導入という形での国際展開が他の主要国と比べて少ない可能性がある。

 国境を越えた商標出願数と特許出願数について、人口100万人当たりの値で比較すると、最新年で商標出願数よりも特許出願数が多い国は、日本のみである。韓国、英国、ドイツについては2002~2019年にかけて、国境を越えた商標の出願数を大きく増加させた。
 米国への商標出願におけるニース国際分類クラスによる産業分類の構成を見ると、日本は「化学品」、「輸送とロジスティクス」に関わる商標出願が多い。中国については「家庭用機器」、「テキスタイル?衣類とアクセサリー」に関わる商標出願が多い。


【概要図表21】 国境を越えた商標出願と特許出願(人口100万人当たり)

【商標出願数の指標としての意味】
商標の出願数は、新製品や新サービスの導入という形でのイノベーションの具現化、あるいはそれらのマーケティング活動と関係があり、その意味で、イノベーションと市場の関係を反映したデータであると考えられる。

注:
1) ニース国際分類と産業分類の対応表はWIPO, “World Intellectual Property Indicators 2020”の“Annex B. Composition of industry sectors by Nice goods and services classes”を参照した。日本語訳は科学技術・学術政策研究所が仮訳した。
2) マドリッド制度を利用した国際登録の出願(国際出願)と直接出願である。
3) クラス数を計測している。米国への全出願(クラス数)における産業分類の構成を基準として、それと比べた特化係数を示している(特化係数=各国から米国への商標出願における産業分類A(例:家庭用機器)の構成比/全世界から米国への商標出願における産業分類Aの構成比)。2018~2020年の合計値を使用している。

参照:科学技術指標2022図表5-3-3

【概要図表22】 主要国から米国への商標出願におけるニース国際分類クラスによる産業分類の構成(特化係数)

注:
1) ニース国際分類と産業分類の対応表はWIPO, “World Intellectual Property Indicators 2020”の“Annex B. Composition of industry sectors by Nice goods and services classes”を参照した。日本語訳は科学技術・学術政策研究所が仮訳した。
2) マドリッド制度を利用した国際登録の出願(国際出願)と直接出願である。
3) クラス数を計測している。米国への全出願(クラス数)における産業分類の構成を基準として、それと比べた特化係数を示している(特化係数=各国から米国への商標出願における産業分類A(例:家庭用機器)の構成比/全世界から米国への商標出願における産業分類Aの構成比)。2018~2020年の合計値を使用している。

参照:科学技術指標2022図表5-3-4(C)

 

(4) 日本のハイテクノロジー産業貿易は入超、ミディアムハイテクノロジー産業貿易は出超である。日本のハイテクノロジー産業貿易の相手先国・地域は輸出入ともに、米国から中国及びアジア地域へ移行している。

 ハイテクノロジー産業貿易は、輸出入額ともに「電子機器」が多くを占めている国が多い。貿易収支比(各国最新年)は、日本、米国は入超、ドイツ、中国は出超である。ミディアムハイテクノロジー産業貿易の輸出額を見ると、日本、ドイツでは「自動車」、米国では「化学品と化学製品」、中国では「電気機器」が多くを占める。貿易収支比は、日本、ドイツ、中国は出超、米国は入超である。
 ハイテクノロジー産業貿易の相手先国・地域を見ると、日本では過去は米国が最も大きな輸出相手であったが、最新年では中国及びアジアへの輸出が多い。米国、ドイツ、中国については属する大州(アメリカ州、ヨーロッパ州、アジア州)への輸出が一定の規模を保っている。輸入については、日本、米国、ドイツとも中国からの輸入が多くなった(1995年と2021年の比較:日本5%→36%、米国5%→27%、ドイツ3%→24%)。中国では日本・米国に代わってアジア(日中韓以外)が最も多くなっている。

【概要図表23】 主要国における産業貿易額の推移
(A)ハイテクノロジー産業
(B)ミディアムハイテクノロジー産業

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(C)ハイテクノロジー産業貿易の相手先国・地域

参照:科学技術指標2022図表5-2-3図表5-2-5図表5-2-6