2.1.4各国・地域の女性研究者

 この節では、各国・地域の女性研究者の割合を比較する。研究者の多様性向上の観点からも女性研究者の活躍が期待されている。
 女性研究者数の研究者全体に占める割合はHC値を用いて計測している。また、米国は女性研究者の数値はない(4)。
 我が国の女性研究者の全研究者数に占める割合は2020年で16.9%である。その割合は、調査国・地域中、最も小さいが、その数で見ると、英国、ドイツに次いで多い(図表2-1-10)。


【図表2-1-10】 男女別研究者数と女性研究者数の割合(HC値比較)

注:
1) 日本は2020年、韓国、ロシア、トルコ、台湾、ポルトガル、チェコは2019年、英国、スペイン、イタリア、ポーランド、オランダは2018年、その他の国・地域は2017年の値である。
2) HC(実数)である。
3) 下記資料中に米国、中国のデータはない。
4) 英国の数値は見積り値である。
5) フランス、チェコ、デンマークの数値は暫定値である。
6) スペイン、イタリア、ポーランド、オーストリアの数値は定義と異なる。
資料:
日本:総務省、「科学技術研究調査報告」
その他:OECD,“Main Science and Technology Indicators 2020/2”

参照:表2-1-10


 次に、主要国について全研究者数に占める女性研究者割合を部門別に見る(図表2-1-11)。
 日本は「大学」部門が大きく、27.8%である。他方、一番小さい部門は「企業」部門で10.2%である。また、「非営利団体」部門では、他国と比較すると小さい割合となっている。
 ドイツは「公的機関」部門と「非営利団体」部門が一緒である。「大学」部門が39.1%、「公的機関・非営利団体」部門が36.4%と、この2部門が大きいことがわかる。
 フランスでは「非営利団体」部門が最も大きく43.9%であり、次いで大きいのは「大学」部門(39.9%)、「公的機関」部門(37.0%)である。
 英国では、「非営利団体」部門が最も大きく、48.0%、次いで「大学」部門が46.4%と大きい。また、どの部門においても、女性研究者の割合は他国と比較して大きい傾向にある。
 韓国では、「大学」部門が最も大きく33.1%である。
 各国とも女性研究者の割合が小さいのは「企業」部門であり、「大学」部門では大きい傾向にある。

【図表2-1-11】 主要国の女性研究者数の部門ごとの割合

注:
1) HC(実数)である。なお、下記資料中に米国、中国のデータはない。
2) ドイツは公的機関と非営利団体を合わせた値。
3) フランスは暫定値、英国の大学の数値は見積り値。
4) フランス、英国、韓国の非営利団体は研究者数全体から、企業、大学、公的機関を除いたもの。
資料:
日本:総務省、「科学技術研究調査報告」
その他:OECD,“Main Science and Technology Indicators 2020/2”

参照:表2-1-11


 次に、日本の女性研究者数及び全研究者数に占める割合の推移を見ると(図表2-1-12)、女性研究者の数は2020年時点では15.9万人であり、ほぼ一貫して増加傾向にある。割合についても、着実に増加している。また、2020年の博士号保持者は3.3万人である。前年と比較すると4.5%の増加率であり、女性研究者数全体の増加率2.6%より大きい。


【図表2-1-12】 日本の女性研究者数及び全研究者に占める割合の推移

注:
2001年までは研究本務者の値である。2002年以降はHC(実数)である。
資料:
総務省、「科学技術研究調査報告」

参照:表2-1-12


 最後に、男女別研究者数と博士号保持者の状況を部門別に見ると(図表2-1-13(A))、男性研究者が最も多く在籍しているのは「企業」(64.5%)であり、次いで「大学等」(30.8%)である。女性研究者は「大学等」(58.6%)に最も多く在籍しており、次いで「企業」(36.1%)である。
 男性研究者の多くが「企業」に在籍しているのに対して、女性研究者の多くは「大学等」に在籍している。博士号保持者は、男女ともに「大学等」に多く在籍している(図表2-1-13(B))。


【図表2-1-13】 日本の男女別研究者数と博士号保持者の状況(2020年)

(A)部門別男女別研究者数の割合

(B)男女別部門別博士号保持者の状況
(a)男性
(b)女性

注:
HC(実数)である。男性の数値は合計から女性の数値を引いたものである。
資料:
総務省、「科学技術研究調査報告」

参照:表2-1-13



(4)米国の研究者数は企業以外、OECDの推計値であり、女性研究者数も計測されていない。