1.3部門別の研究開発費

1.3.1公的機関部門の研究開発費

ポイント

  • 日本の公的機関部門の研究開発費は、2018年で1.4兆円である。2000年代に入ってからは、ほぼ横ばいに推移していた。2013年をピークに減少に転じていたが、近年では増加している。中国は1990年代中ごろから急速に増加しはじめ、2013年に米国を上回り、2018年では8.8兆円と主要国の中で1番の規模となっている。米国の2018年の値は6.2兆円である。ドイツは2000年代中ごろから増加傾向にあり、2010年以降日本を上回り、2018年では2.0兆円である。
  • 2000年を1とした場合の各国通貨による研究開発費の指数(名目額)を見ると、日本は0.9とマイナス成長である。米国、ドイツは2.1と約2倍の伸びを示している。中国は10.6であり、韓国の4.7とともに大きな伸びを示している。実質額での伸びを見ると、日本以外の国では名目額より実質額の方が低い数値となっている。英国は0.7とマイナス成長である。日本とフランスは1.0と横ばいに推移し、米国は1.5、ドイツは1.6であり、中国は5.7、韓国は3.2となっている。
(1)各国公的機関部門の研究開発費

 本節では公的機関部門について述べる。ここで対象としている各国の公的機関には以下のような研究機関が含まれる(図表1-1-4(B)参照)。日本は「国営」(国立試験研究機関等)、「公営」(公設試験研究機関等)、「特殊法人・独立行政法人」(国立研究開発法人等)といった公的研究機関である。
 米国については連邦政府の研究機関(NIH等)とFFRDCs(政府が出資し、企業・大学・非営利団体部門が研究開発を実施)の研究機関である。
 ドイツでは連邦政府と地方政府、その他の公的研究施設、非営利団体(16万ユーロ以上の公的資金を得ている)及び高等教育機関ではない研究機関(法的に独立した大学附属の研究所)である。ドイツについては、「公的機関」部門と「非営利団体」部門が分離されていないことに注意が必要である。
 フランスは、科学技術的性格公施設法人(EPST)(ただし、CNRSを除く)や商工業的性格公施設法人(EPIC)等といった設立形態の研究機関である。
 英国は中央政府、分権化された政府の研究機関及びリサーチ・カウンシルである。
 中国は中央政府の研究機関、韓国は国・公立研究機関、政府出捐研究機関及び国・公立病院である。
 図表1-3-1(A)に主要国における公的機関部門の研究開発費(OECD購買力平価換算)の推移を示した。日本の公的機関部門の研究開発費は、2018年 で1.4兆円である。2000年代に入ってからは、ほぼ横ばいに推移した後、2013年をピークに減少に転じていたが、近年では増加している。
 中国は1990年代中ごろから急速に増加しはじめ、2013年に米国を上回り、2018年では8.8兆円と、世界トップの規模となっている。
 米国は長期的に増加傾向にあったが、2011年をピークに減少に転じた。その後は増減しながら横ばいに推移していたが、近年増加しており、2018年では6.2兆円となっている。
 ドイツ、韓国は2000年代中ごろから増加傾向にあり、特にドイツは、2010年以降日本を上回り、増加し続けている。2018年のドイツは2.0兆円、韓国は1.0兆円である。
 フランスは2010年代に入ると微増しており、2018年のフランスは0.9兆円である。英国は漸減傾向であり、2018年では0.3兆円となっている。
 図表1-3-1(B)に、2000年を1とした場合の各国通貨による研究開発費の名目額と実質額の指数を示した。名目額での最新年を見ると、日本は0.9とマイナス成長である。米国、ドイツは2.1と約2倍の伸びを示している。中国は10.6であり、韓国の4.7とともに大きな伸びを示している。
 実質額での伸びを見ると、日本以外の国では名目額より実質額の方が低い数値となっている。英国は0.7とマイナス成長である。日本とフランスは1.0と横ばいに推移し、米国は1.5、ドイツは1.6であり、中国は5.7、韓国は3.2となっている。


【図表1-3-1】 主要国における公的機関部門の研究開発費の推移
(A)名目額(OECD購買力平価換算) 

(B)2000年を1とした各国通貨による公的機関部門の研究開発費の指数

注:
1)公的機関部門の定義には国によって違いがあるため、国際比較の際には注意が必要である。各国の部門の定義については、図表1-1-4参照のこと。
2)研究開発費は人文・社会科学を含む(韓国は2006年まで自然科学のみ)。
3)購買力平価は、参考統計Eと同じ。
4)実質額の計算はGDPデフレータによる(参考統計Dを使用)。
<日本>2011年度から営利を伴う特殊法人・独立行政法人を含む。
<米国>2017年は予備値、2018年は見積り値である。2016年以降、公的機関の研究開発費から「生産前開発(Preproduction development)」が除かれている。
<ドイツ>1990年までは旧西ドイツ、1991年以降は統一ドイツ。1982、1984、1986、1988、1990年見積り値である。1991年以降は定義が異なる。1991、1992年において時系列の連続性は失われている。
<フランス>1992、1997、2000、2010年において時系列の連続性は失われている。2017年は暫定値、2018年は見積り値である。
<英国>1986、1991、2001年において時系列の連続性は失われている。2017、2018年は暫定値である。
<中国>2009年において時系列の連続性は失われている。
<EU>見積り値である。EU-15は1991年において時系列の連続性は失われている。
資料:
<日本>総務省、「科学技術研究調査報告」
<米国>NSF,“National Patterns of R&D Resources: 2017–18 Data Update”
<ドイツ、フランス、英国、中国、韓国、EU>OECD,“Main Science and Technology Indicators 2019/2”

参照:表1-3-1


(2)日本の公的機関の研究開発費

 図表1-3-2に日本の公的機関部門における研究開発費の推移を機関の種類別に示す。
 国営研究機関と特殊法人の独立行政法人化により、2001年度以降は、「国営」と「特殊法人・独立行政法人」のデータの連続性が失われている。また、2011年度から「特殊法人・独立行政法人」には営利を伴う機関も含まれている。
 公的機関全体としてみると、2000年度までは、増加傾向にあった。その後は増減を繰り返しながら、長期的には減少傾向にある。
 これらのなかでは、「特殊法人・独立行政法人」の金額が最も大きく、最新年度で1兆485億円であり、国営研究機関は1,741億円、公営研究機関は1,666億円である。
 「国営」と「特殊法人・独立行政法人」は2000年度、「公営」は1990年代初め頃までは、増加傾向にあった。2000年代に入ると「国営」と「特殊法人・独立行政法人」は、大きく増減を繰り返しながら、長期的には横ばいに推移している。「公営」については1990年代半ばから長期的に減少していたが、2010年頃から横ばいに推移している。


【図表1-3-2】 日本の公的機関の研究開発費の推移 

注:
1)2001年度に、国営の研究機関の一部が独立行政法人となっているので時系列変化を見る際には注意が必要である。
2)2000年度までは「特殊法人・独立行政法人」は「特殊法人」のみの値。
3)2011年度から特殊法人・独立行政法人には営利を伴う機関も含まれている。
資料:
総務省、「科学技術研究調査報告」

参照:表1-3-2


(13)この節の日本は、国際比較の際には「年」を用いている。本来は「年度」である。日本のみを記述している節では「年度」を用いている。