地方ブロック圏域における地域イノベーションの成果と課題[DISCUSSION PAPER No.159]の公表について

2018年7月17日(火)

 本研究では、全国的な地域イノベーションのポテンシャルや産学官ネットワーク分析の中で、対象地域として取り上げる九州と北陸地方の位置づけを行った。産学官のネットワークについては、九州域内での密接な関係が構築されていたのに対し、北陸では、東京や大阪など、域外とのネットワークがより強くみられた。
 九州における「東九州メディカルバレー」においては、中小企業が、従来型産業から、医療機器開発という新たな産業への展開を進めてきており、ロックインを脱して、新たな発展経路が形成されてきている。「福岡バイオバレー」においても、バイオベンチャー企業が、久留米大学との連携を強め、クラスター形成に資している。
 北陸地方における主要企業調査では、企業内での技術軌道の転換がみられたケースと、国の地域イノベーション施策が関わって技術軌道の転換がみられたケースとに分けられる。前者の事例としては、大手企業の分工場の場合が多いのに対し、地域に本社を有する大手企業、中小企業の場合は、地域の大学や公設試験研究機関との連携が強く、地域イノベーションを進める素地があったといえる。
 今後、地域経済へのインパクトの大きな地域イノベーションを惹起していくためには、地域本社企業の技術軌道をおさえつつ、その軌道の改善や転換を促すような施策を戦略的に展開していくことが重要といえる。また、公設試験研究機関の広域連携を促し、広域的な観点から国際競争力のある拠点整備を進めていくことが重要といえよう。

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要旨
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ライブラリ:地方ブロック圏域における地域イノベーションの成果と課題[DISCUSSION PAPER No.159]