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- DOI: https://doi.org/10.15108/stih.00410
- 公開日: 2025.09.25
- 著者: 林 和弘
- 雑誌情報: STI Horizon, Vol.11, No.3
- 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)
STI Horizon 2025 秋号発行に当たって
(科学技術・学術政策研究所 上席フェロー)
本年度より編集長を務めております林です。夏号に続き、秋号をお届けできることを大変うれしく思います。世界情勢や科学技術政策をめぐる環境は依然として大きく変化を続けており、科学技術・イノベーションが果たすべき役割も一層重みを増しています。本号では、引き続きそうした状況を踏まえ、多彩な視点から科学技術政策の潮流をとらえました。
まず、「ナイスステップな研究者2024」からは、非平衡統計力学、iPS細胞・オルガノイド・臓器チップを用いた感染症研究や、人工たんぱく質の研究の分野で活躍する3名の研究者の取組を紹介し、研究者たちが社会や次世代に与える影響を示唆しています。また、「ほらいずん」では、岩手地域における産学官連携のエコシステムや、研究者のウェルビーイング向上を目指す新たな指標体系に向けた試み、さらには、前号の研究情報のオープン化に関するバルセロナ宣言の解説に引き続き、国際的に発出された「マスカット宣言」の意義を論じ、科学が公共財として果たす役割を考えます。
加えて、「レポート」では、NISTEP定点調査を活用した大学研究活動の新たな分析視点、日本の研究機関における研究データ管理(RDM)の実態と課題、さらに、九州沖縄地域での産学官連携や地域イノベーションの現状を取り上げ、科学技術政策の実証的な知見を提示しています。
本誌『STI Horizon』が、読者の皆様にとって視野を広げ、日々の業務や議論を深めるきっかけとなれば幸いです。是非お近くの方々にも御紹介いただき、科学技術イノベーションの未来を共に考える場として御活用いただければと願っております。