STI Hz Vol.9, No.3, Part.9:量子コンピュータの要素技術の可視化・技術の 関係性の分析STI Horizon

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  • DOI: https://doi.org/10.15108/stih.00347
  • 公開日: 2023.09.25
  • 著者: 佐々木 達郎
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.9, No.3
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

ほらいずん
量子コンピュータの要素技術の可視化・技術の関係性の分析

第2研究グループ 主任研究官 佐々木 達郎

概 要

量子コンピュータは従来現実的な時間で計算できなかった問題を解くことができることから、世界中で研究が活発になっている。基盤となる量子技術については基礎研究からイノベーションの創出までを見据えた政策が実施されている。

イノベーションに至るプロセスにおいて適切な政策支援を実施していくためには、量子コンピュータの研究開発動向を要素技術ごとに細分化してモニタリングしておくことが望ましい。要素技術ごとに研究開発動向を可視化することで国・大学・企業の強み弱みを明らかにし、連携パートナーの探索や連携支援の枠組みを検討する一助となる。

そこで本稿では、量子コンピュータに関する研究分野・技術開発分野を論文・特許のテキストデータを用いたトピックモデルにより文献のクラスタリングを行い、要素技術として整理することを試みた。また、論文の引用情報に基づいて量子コンピュータの要素技術間の知識移転の頻度を集計した。結果、量子暗号や量子化学計算など他要素技術とは独立に研究が進んでいる分野がある一方、量子ビットを実現させる要素技術が知識を連結するハブとなって量子コンピュータの研究が進んでいることが明らかとなった。

キーワード:量子コンピュータ,基礎研究,科学技術イノベーション,書誌データ,トピックモデル

1. はじめに

本稿では、学術界・産業界で期待が集まっている量子コンピュータの研究動向について述べる。

量子コンピュータは従来のスパコンでは現実的な時間では処理できなかったような、複雑な組合せ問題や素材設計シミュレーションなどを解くことができるため、研究開発において価値の高い情報を提供することができる。こうした期待とあいまって、量子コンピュータに関する論文数は2016年以降、世界中で急増しており、学術研究において注目が集まっている(佐々木, 2022)1)。我が国においても内閣府が量子コンピュータを量子技術イノベーション戦略の主要技術のひとつとして取り上げており、政策面でも研究開発を加速させて社会実装を実現すべき重要なテーマとなっている。

ところで、現状のコンピュータをはじめとして多くのシステムがそうであるように量子コンピュータにかかわる理論・技術・波及領域も多岐にわたる。したがって、学術研究・技術開発・製品サービスの社会実装の過程において適切な政策支援を実施していくためには、量子コンピュータの研究開発動向を要素技術ごとに細分化して把握しておくことが望ましい。要素技術ごとに研究開発動向を可視化・把握することで国・大学・企業の強み弱みを明らかにし、連携パートナーの探索や連携支援の枠組みの効率的な検討に資すると期待できる。

既存の各種報告についてみると、例えば、学術研究の面についてはサーベイ論文・レビュー論文などの報告によって要素技術や用途に応じた研究の進展が把握できる。量子コンピュータにおいては技術全体のサーベイ(Gyongyosi & Imre, 2019)2)や、 量子コンピュータデバイスを実現するための材料科学のサーベイ(de Leon et al., 2021)3)、量子コンピュータのファイナンス分野への応用に関するレビュー(Orús et al, 2019)4)等が報告されている。科学技術・イノベーション(STI)政策の面については、重点的に取り組むべきと考えられる研究開発領域をレビューしたレポート(CRDS, 2020)5)において量子コンピュータ技術を俯瞰ふかんして研究開発の状況が報告されている。これら、研究者・専門家の知見をまとめた論文・報告書は要素技術や全体像に関する重要な知見を提供するが、作成に関しては専門家の相応の労力が必要となる。特に科学技術の発展が著しい分野においては要素技術の研究開発動向の変化が激しく、レポート類では情報の抜け漏れが発生しうる。そのため、論文・特許等のデータに基づいて研究進捗を可視化することができれば、年度ごとの情報のアップデートも容易になり、研究のモニタリングに貢献することとなる。従来、専門家の意見に基づいて要素技術のキーワードを設定し、キーワードを用いている論文や特許を検索・抽出することで文献数の推移や引用数等の集計を行って研究の動向を確認していた。しかし、要素技術に関する文献を的確に抽出するキーワードを定めることは多くの専門家の工数を必要とし、要素技術群全体をカバーして収集できるかどうかは判断が難しい。

そこで本稿では、量子コンピュータに関する論文・特許を広く抽出し、そこからデータに基づいて文献クラスターを作成して要素技術として整理するアプローチを実施した。文献の引用情報も加味して分析した結果は従来のレポートとも整合的であり、データドリブンで研究分野を俯瞰して研究開発状況を可視化するアプローチの有効性が認められた。

2. 科学技術・イノベーション白書における量子研究の推移

内閣府は量子技術イノベーション戦略(https://www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/ryoshigijutsu.html)として、国をあげて量子技術に取り組む中期戦略を策定し、量子技術の基盤を確立し、社会課題解決に向けた研究開発を推進している。

科学技術・イノベーション白書に登場する「量子」の出現頻度を集計(科学技術・イノベーション白書検索 https://whitepaper-search.nistep.go.jp/)してみると(図表1)、2000年度から出現頻度が大きくなり2018年度以降は頻度が急増している推移が確認された。政策面では2018年度以降、特に注目を集めている様子がうかがえる。

2000年度~2017年度の白書に登場した335回のキーワードマップ(図表2)では、「量子」のキーワードは量子力学・量子化学等に基づく複数の分野に関連する基盤技術として多用されている。ナノテクノロジーや加速器を用いた分析に関する文脈で使用されていると考えられる。

出現頻度が急増した2018年度~2022年度に登場した406回のキーワードマップ(図表3)では、2017年までの基盤技術に関連するキーワードに加えて量子コンピュータに関連するキーワードが増加している様子がうかがえる。AIと合わせてSociety5.0の実現に向けた重要な技術のひとつとして政策面での関心が高まっている様子がうかがえる。

図表1 科学技術・イノベーション白書における「量子」出現回数推移図表1 科学技術・イノベーション白書における「量子」出現回数推移
注:2007年度(H.19)白書施策編以外では素粒子物理学の解説記事の中で量子論・量子力学のキーワードが多く用いられている。

図表2 科学技術・イノベーション白書における「量子」
関連キーワードマップ(2000年度~2017年度)図表2 科学技術・イノベーション白書における「量子」関連キーワードマップ(2000年度~2017年度)

図表3 科学技術・イノベーション白書における「量子」
関連キーワードマップ(2018年度~2020年度)図表3 科学技術・イノベーション白書における「量子」関連キーワードマップ(2018年度~2020年度)

3. 論文・特許データ分析

量子コンピュータに関連する論文・特許を分析対象として抽出し、自然言語処理によって類似する文献群(クラスター)を作成して集計・可視化を行った。分析方法の詳細については佐々木(2022)1)を参照されたい。

3-1 該当論文・特許の抽出、研究・技術俯瞰図作成

CRDS戦略プロポーザル「量子2.0~量子科学技術が切り拓く新たな地平~」(CRDS, 2020)5)の記述を参考として量子コンピュータ研究に関連する検索キーワードを「キュービット」「量子コンピューティング」「量子計算機」「量子と機械学習」「量子誤り訂正」と設定し、論文(Web of Science)及び特許(TotalPatent One)を用い、キーワード一致検索をすることで量子コンピュータに関連する論文・特許を抽出した。ノイズを除去して最終的に可視化に使用したデータは1980年から2020年に出版された論文32,895件と特許3,780件となった。

次に論文・特許のアブストラクト等のテキストデータを用いてトピックモデル(LDA:Latent Dirichlet Allocation; 潜在的ディリクレ配分法)による類似度評価を行い、トピック配分が類似する文献が近くに配置されるように2次元可視化することで研究・技術俯瞰図(図表4)を作成した。図表4中のオレンジの点が論文、青の点が特許を示す。

図表4中の赤破線だ円は筆頭トピックが共通である文献をまとめたクラスターであり、引き出し線でトピックを示している。これらを量子コンピュータの要素技術(小分類)と呼称する。更に近接する文献クラスターのトピックを確認しながら関連する上位概念的技術としてグルーピングし、量子コンピュータの要素技術(大分類)として紫色のだ円で囲いキーワードを設定した。以下、要素技術(小分類)を「量子ゲート」、要素技術(大分類)を【量子ビット】のように括弧書きで記載する。

量子コンピュータの基盤となる【量子基礎】が研究・技術俯瞰図(図表4)の中心に位置し、その周囲に【量子ビット】【光量子】【スピン・相転移】が位置している。俯瞰図下側には【量子コンピューティング】【量子回路】が位置しているが、この領域では「量子データ処理」や「量子古典ハイブリッド計算」など比較的多くの特許を含む要素技術が特徴的に存在している。【量子化学計算】は他の研究領域とは共通したトピックが少なく独自の領域を構成している。【量子暗号】も他領域との共通トピックが少なく、特許が集中して配置していることから、社会実装を考慮した研究・技術開発が進んでいると考えられる。量子コンピュータの本来の計算能力を高める【量子誤り訂正】については、比較的【量子暗号】領域に近く、他量子コンピュータ技術とは共通トピックが少なく独自に研究・技術開発が進んでいる様子がうかがえる。

このようにトピックモデルに基づいて可視化した研究・技術俯瞰図を使用することで、データドリブンで要素技術を抽出することができ、要素技術間の関係の強さも加味して分析することができる。国別・組織(大学・企業)別に研究・技術俯瞰図を作成することで、量子コンピュータ分野において強みとなる領域を可視化することができ、年代別に整理することで研究開発が活性化している領域を明らかにすることも可能である(佐々木, 2022)1)

図表4 量子コンピュータ研究・技術俯瞰図(2枚分割)図表4 量子コンピュータ研究・技術俯瞰図(2枚分割)

図表4 量子コンピュータ研究・技術俯瞰図(2枚分割)

3-2 引用情報を用いた構造分析

次に要素技術の研究開発において、どの要素技術に関する知識を取り入れているかを明らかにするため、論文の引用数を要素技術(大分類)ペアごとに集計した。図表5の縦軸は引用した論文が属する要素技術(大分類)を、横軸は引用された論文が属する要素技術(大分類)を示している。

図表5を見ると、表の対角線上に存在する同じ要素技術に属する論文間において最も引用数が大きくなっている。要素技術を構成する文献クラスター内での引用・被引用が多いことは、同質な知識を移転・共有していることを示している。本研究で作成した要素技術はタイトルやアブストラクトのテキストの類似性に基づいて形成しているが、引用関係で見ても類似した知識に関する論文クラスターとなっていることが分かる。

【量子ビット】【スピン・相転移】【量子基礎】【量子コンピューティング】等は他要素技術との引用関係が比較的多いが、【量子暗号】【量子化学計算】は他要素技術との引用関係が少なく独自路線を進んでいる様子がうかがえる。これらの結果は図表4の研究・技術俯瞰図とも整合的である。

次に異なる要素技術を引用するパターンを可視化するため、要素技術(大分類)をノードとし、引用情報に基づいてエッジを形成してネットワーク図を作成した(図表6)。引用数が多いほどエッジの矢印が大きくなるように作図した。

【量子ビット】【スピン・相転移】【量子基礎】【量子コンピューティング】【光量子】【量子誤り訂正】の要素技術は互いに引用しあう構造となっており、特に【スピン・相転移】と【量子ビット】、【量子ビット】と【量子基礎】の間の論文引用数が多くなっている。

次に要素技術(小分類)を単位として同様の引用関係の集計を行った。要素技術(小分類)は56種に分類されるため、引用数の多い異なる要素技術(小分類)ペアを図表7に示す。「量子ゲート」が「量子スピン系」「量子誤り訂正」の論文を引用した件数が最も多く、これらの分野の研究成果が「量子ゲート」の研究開発に貢献している様子がうかがえる。

要素技術(小分類)をノードとし、引用情報に基づいてエッジを形成してネットワーク図を作成した(図表8)。引用数が多いほどエッジの矢印が大きくなるように作図した。

引用数が多い(エッジの線が太い)箇所ではノードである要素技術間の技術的な結びつきが強いと考えると、「量子スピン系」は「ダイヤモンドNV中心」「量子ドット」「電荷量子ビット」との間で結びつきが強い。更に「量子スピン系」は「量子ゲート」を介して「量子誤り耐性」との間で結びつきが強いことが分かった。

図表5 量子コンピュータ要素技術(大分類)間の引用関係図表5 量子コンピュータ要素技術(大分類)間の引用関係

*1:【その他】は量子宇宙論や量子力学教育など、共通トピックを持つクラスターが存在するものの、要素技術を構成していない領域を指す。
*2:【クラスター外】は量子コンピュータに関連する文献として抽出されたものの、共通トピックを持つクラスターが構成されなかった文献群を指す。

図表6 量子コンピュータ要素技術
(大分類)論文引用ネットワーク図図表6 量子コンピュータ要素技術(大分類)論文引用ネットワーク図

図表7 量子コンピュータ要素技術(小分類)間の引用関係
引用数上位10件図表7 量子コンピュータ要素技術(小分類)間の引用関係引用数上位10件

図表8 量子コンピュータ要素技術(小分類)論文引用
ネットワーク図(上:全景、下:拡大図)図表8 量子コンピュータ要素技術(小分類)論文引用ネットワーク図(上:全景、下:拡大図)
図表8 量子コンピュータ要素技術(小分類)論文引用ネットワーク図(上:全景、下:拡大図)

4. 考察

量子コンピュータに関する要素技術を整理することを目的に、量子コンピュータに関するテキストデータを用いた解析を試み、その結果を示した。政策面では科学技術白書検索をベースに動向を示した。学術面では論文・特許のアブストラクト等を対象にトピックモデルで解析し、更にトピック配分が類似する文献が近くに配置されるように研究・技術俯瞰図(図表4)を作成した。

研究・技術俯瞰図(図表4)についての読み取りを試みると、例えば、俯瞰図中心部の【量子基礎】には「量子状態全般」「量子エンタングルメント」「量子系制御」など基礎研究に根差した量子コンピュータの原理に関する文献が集中している。その隣には【量子ビット】【スピン・相転移】【光量子】と各種量子ビット実現に関する技術が分布している。これらは量子コンピュータを駆動させる基盤となる素子であり、量子ビットを安定して制御する技術開発は欠かすことができない。論文の引用関係で要素技術(大分類)間のつながりを見ると(図表6)、【スピン・相転移】【量子ビット】【量子基礎】の間で引用数が多くなっており、【量子ビット】を核として要素技術が連結し、研究成果の知識移転が活発となっている様子がうかがえる。更に要素技術(小分類)で見ると(図表7)、「量子スピン系」の論文が「量子ゲート」「量子ビット」「ダイヤモンドNV中心」「量子ドット」に引用されており、量子コンピュータの素子開発において量子スピンが知識源として重要視されていると考えられる。

【量子コンピューティング】は「量子最適化計算、量子アニーラ」「量子(検索)アルゴリズム」など計算やアルゴリズムに関連する文献群となっている。隣接する【量子回路】と合わせて具体的に量子コンピュータを用いて計算を行うプロセスに関連する技術となっている。「量子古典ハイブリッド計算」「量子データ処理」など特許が集中する要素技術も存在しており、具体的に量子コンピュータを稼働させる技術については社会実装に向けた技術開発・特許出願の動きが見られる。

【量子誤り訂正】は他量子コンピュータ関連文献とは離れて位置しており、独自のトピックが用いられていることが分かる。要素技術(小分類)の引用関係で見ると(図表7)、「量子誤り訂正」の論文を「量子ゲート」の論文が引用している件数が最も高くなっていた。実用的な規模で量子計算を高精度に行うためには、誤り耐性量子コンピュータの実現が不可欠であり、量子誤り訂正に関する研究及び技術開発が必要とされている。量子計算の基礎となる「量子ゲート」の研究開発に「量子誤り訂正」の知識が移転されていることが論文の引用関係から確認された。

【量子暗号】はテキストの類似性・引用関係の両面で他量子コンピュータ要素技術との関連性が低く、独自に研究開発が進んでいると考えられる。【量子暗号】は論文だけでなく特許出願も活発であり、国別で集計すると中国の文献数が突出して多くなっている(佐々木, 2022)1)。社会実装に向けて先行して技術開発が進んでいると考えられる。

【量子化学計算】は「分子構造計算」「エネルギー準位計算」など量子化学に関連する文献が集まっており、量子コンピュータに関する要素技術とは独立したトピックとなっている。

研究・技術俯瞰図では論文・特許データを用いて量子コンピュータに関する要素技術の抽出と相互の関連性の可視化を行った。研究・技術俯瞰図と文献の引用関係を合わせて分析を行った結果、量子コンピュータに関しては量子暗号や量子化学計算などが他要素技術とは独立に研究が進んでいる分野がある一方、【スピン・相転移】【量子ビット】【量子基礎】の要素技術が知識を連結するハブとなって研究開発が進んでいることが確認された。

5. まとめ・インプリケーション

基礎研究や技術開発が活発で政策面でも重視されている量子コンピュータについて、論文・特許データを用いて要素技術を抽出して研究・技術俯瞰図を作成し、引用データを用いて要素技術間の関係性を分析した。

量子コンピュータに関する論文・特許からテキストの類似性を使用して文献クラスターを作成し、全体を研究・技術俯瞰図としてまとめた。文献クラスターを要素技術とし、論文の引用データを用いることで技術間の知識移転の強度を集計した。

量子コンピュータなど研究者が多い研究分野では、レビュー論文等で研究テーマを俯瞰し、研究進捗の可視化が行われている。しかしこれらのレビューは専門家の多大な工数を伴うものであり、全ての分野で常時実施されているわけではない2~4)。本研究で行った論文・特許データに基づく量子コンピュータの要素技術の抽出と技術間の関係性については専門家の知見(CRDS, 2020)5)とも整合的であった。データドリブンで研究分野を俯瞰して研究開発状況を可視化するアプローチは有効であると考えられる。

本研究で用いた要素技術の可視化は、タイトルやアブストラクトのテキストの類似性で文献をクラスタリングすることで作成している。そのため研究テーマが特定のディシプリンに限定される研究分野の場合、タイトルやアブストラクトのテキストだけでは使用されるキーワードが重複しており、十分に要素技術を細分化できない可能性がある。量子コンピュータは量子ビットやデバイス等のハードウェア開発、量子ゲート及び回路からなる量子コンピューティング、計算アルゴリズムや量子暗号などソフトウェア開発など多様な分野の知識を統合する学際的な研究分野である。このように多様な研究分野の知識が複雑に影響しあう技術に関しては、本研究で用いたデータドリブンなアプローチを採用することで有効に要素技術を可視化することができる。

謝辞

本稿は科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」推進事業 共進化実現プログラム(第Ⅱフェーズ)池内プロジェクト「科学技術・イノベーション政策の経済社会効果分析の政策形成プロセスへの実装」の研究成果(佐々木, 2022)1)に追加分析を実施してまとめたものである。

参考文献・資料

1) 佐々木達郎.(2022). 論文・特許クラスター分析を用いた量子コンピュータの学術研究・技術開発動向調査, SciREXワーキングペーパー. http://doi.org/10.24545/00001885

2) Gyongyosi, L., & Imre, S. (2019). A Survey on quantum computing technology. Computer Science Review, 31, 51-71. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.cosrev.2018.11.002

3) de Leon, N. P., Itoh, K. M., Kim, D., Mehta, K. K., Northup, T. E., Paik, H., Palmer, B. S., Samarth, N., Sangtawesin, S., & Steuerman, D. W. (2021). Materials challenges and opportunities for quantum computing hardware. Science, 372(6539), eabb2823. https://doi.org/doi:10.1126/science.abb2823

4) Orús, R., Mugel, S., & Lizaso, E. (2019). Quantum computing for finance: Overview and prospects. Reviews in Physics, 4, 100028. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.revip.2019.100028

5) CRDS. (2020).量子2.0 ~量子科学技術が切り拓く新たな地平~, CRDS戦略プロポーザル, CRDS-FY2019-SP-03.