STI Hz Vol.5, No.3, Part.12:(レポート)第一線級の研究者や有識者は日本の科学技術の何に課題があると考えているのか: NISTEP定点調査の回答動向の背景要因についての試行的な分析STI Horizon

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  • DOI: https://doi.org/10.15108/stih.00190
  • 公開日: 2019.09.25
  • 著者: 伊神 正貫
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.5, No.3
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

レポート
第一線級の研究者や有識者は日本の科学技術の何に課題
があると考えているのか: NISTEP定点調査の回答動向
の背景要因についての試行的な分析

科学技術・学術基盤調査研究室 室長 伊神 正貫

概 要

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、第5期科学技術基本計画期間中における我が国の科学技術イノベーションの状況やその変化を把握する目的で、第一線級の研究者や有識者を対象とした大規模な意識調査(NISTEP定点調査)を実施している。本レポートでは、各回答者の回答傾向と自由記述の自然言語処理の結果を結びつけることで、NISTEP定点調査の回答動向の背景要因や今後に向けた論点を抽出した試行的な分析の結果について紹介する。

キーワード:第5期科学技術基本計画,NISTEP定点調査,意識調査,自然言語処理

1. はじめに

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、第5期科学技術基本計画期間中(以降では基本計画と記述)における我が国の科学技術イノベーションの状況やその変化を把握する目的で、第一線級の研究者や有識者を対象とした大規模な意識調査(NISTEP定点調査)を実施している1)

2016~2018年度に実施した過去3回のNISTEP定点調査からは、次のような結果が得られている。1)大学・公的研究機関の研究環境(基盤的経費・研究時間・研究支援人材)に対する危機感が継続している。2)第5期基本計画開始時点(2016年度調査時点)と比べて、基礎研究や研究費マネジメントの状況は悪化したとの認識が示されている。3)第5期基本計画期間中に取組が進められていると考えられる、「若手研究者に自立と活躍の機会を与える環境整備」、「大学改革と機能強化」、「産学官の組織的連携を行うための取組」などの質問については、2016年度調査時点から評価を下げた回答者と上げた回答者がともに多く、基本計画期間中に何らかの変化が生じている。

NISTEP定点調査の目的は、一義的には科学技術イノベーションの状況変化の把握であるが、その背景要因まで解明・理解が進めば、今後の政策対応等を立案する際の参考になると考えられる注1。本レポートでは、各回答者の回答傾向と自由記述の自然言語処理を結びつけることで、NISTEP定点調査の回答動向の背景要因や今後に向けた論点を抽出した試行的な分析の結果について紹介する。

2. 分析方法の概要

2-1 分析の手順

NISTEP定点調査の回答動向の背景要因や今後に向けた論点は、次の方針で抽出した。まず、特定の質問群について職階、年齢等の属性別の回答傾向の違いを分析した。次に、自然言語処理を用いることで、回答傾向と自由記述で特徴的に用いられている語の関係を分析した。最後に、属性別の回答傾向の分析、特徴的に用いられている語の分析結果から、ある質問群について、回答者の評価が低い(評価を下げた)ことの原因と考えられる要因を抽出した。具体的な手順を以下に示す。

① 質問群についての指数の計算

NISTEP定点調査の質問票は6つのパート注2、22の中項目、63の質問から構成されている。63の質問では、「若手研究者に自立と活躍の機会を与える環境整備」等の状況について十分度を6点尺度で尋ねている。これらに加えて、各パートの最後に1つの自由記述質問を置いている。本レポートでは、個々の6点尺度質問ではなく、中項目等を単位とする質問群について、各回答者の1)2018年度調査における指数注3の平均、2)指数の平均の2016年度調査と2018年度調査の差(指数変化)の両方を計算した。

② 属性別の分析

各回答者の指数(指数変化)が全回答者中の上・中・下位1/3のいずれに該当するかを求めた後に、属性別に指数(指数変化)が上・中・下位1/3に当てはまる回答者の分布を分析した。属性としては、業務内容注4、大学種別(国公私立別)、大学グループ注5、年齢、個人研究費の額注6、外部資金の額、大学部局分野を考慮した。

③ 特徴語の抽出

指数が上・中・下位1/3の回答者の自由記述及び指数変化が上・中・下位1/3の回答者の自由記述を抽出し、自由記述において特徴的に用いられている単語(特徴語注7)をそれぞれ抽出した。

④ 特徴語の共起の可視化

上記で抽出した特徴語が、他のどの特徴語とともに用いられているか(共起)を可視化することで、それぞれの特徴語が、どのような文脈において用いられているかを分析した。

⑤ 考えられる要因の抽出

属性別の指数(指数変化)の分布、特徴語の分析、特徴語の共起の可視化から、ある質問群について、回答者の評価が低い(評価を下げた)ことの原因と考えられる要因を抽出した。

2-2 分析を行った5つの質問群

分析の手順で示した方法を用いて、図表1に示す5つの質問群について分析を行った。以降では、「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」の結果について例示する。その他の質問群の結果については、参考データとして示した2)

図表1 分析を行った5つの質問群図表1 分析を行った5つの質問群

3. 「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」の質問群についての分析例

3-1 分析に用いた質問

「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」の質問群の分析には5つの質問を用いた注8。これらの質問に対する回答者の回答動向と「研究環境及び研究資金等の状況」についての自由質問の結果を結びつけることで、自由記述の分析を行った。

3-2 属性別の分析

「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」の質問群について、属性別に指数が上・中・下位1/3の分布を分析した。図表2には、指数の分布に、特徴が見られた属性を示す。

本質問群については、個人研究費の額によって回答傾向が大きく異なっている。「1万円未満」や「分からない」を除くと、個人研究費の額が小さいほど「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」について評価が低くなる。なお、1万円未満において下位1/3の割合が低いのは、この属性に当てはまる回答者の一定数が、特定の研究プロジェクトで雇用されている任期付きの教員や大規模な研究室等に属する教員であり、個人としての研究費の配分はないが、研究室等としては研究資金が確保されているためと考えられる。

業務内容別に見ると、学長・機関長等やマネジメント担当において上位1/3の割合が高く、マネジメントに関わる層と現場の研究者で認識の違いが見られる。また、大学グループ別では、第1グループや大学共同利用機関法人においては、上位1/3の割合が高いが、第3グループにおいては下位1/3の割合が高くなっており、大学の規模によっても「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」に対する認識が異なっている。

図表2 属性によって指数の分布に、特徴が見られた結果図表2 属性によって指数の分布に、特徴が見られた結果

注:左から下位1/3、中位1/3、上位1/3を示す。
3-3 特徴語の抽出及び共起関係の分析

次に、指数(指数変化)が上・中・下位1/3の回答者が共通して用いている特徴語、指数(指数変化)が下位1/3の回答者が用いている特徴語を抽出した(図表3)。図表3で、網掛けのセルは上・中・下位1/3のいずれでも上位25位以内に出現する特徴語、丸印のついた特徴語は下位1/3のみで上位50位以内に出現する特徴語を示している。

指数(指数変化)の上・中・下位1/3のいずれでも共通して出現し、回答者の「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」の評価に関わると考えられる特徴語(網掛けのセル)としては、「競争的資金」、「運営費交付金・基盤的経費」、「資源・資金配分」、「間接経費」、「研究施設・設備」、「時間」等が見られる。

指数(指数変化)の下位1/3で、回答者の「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」の評価に関わると考えられる特徴語(丸印のついた特徴語)としては、「事務処理・手続き」、「更新」、「老朽化」、「減額」、「維持管理・維持管理費」、「採択率」、「申請」等が見られる。

図表4は、指数の絶対値が下位1/3の回答者の自由記述について、特徴語の共起関係を可視化した結果である。ここでは上位50の特徴語を示し、2つの特徴語が前後3単語内に出現している場合について、共起関係があるとみなし集計を行っている。

「運営費交付金・基盤的経費」の前後3単語内で用いられている特徴語に注目すると「大学」、「削減」、「研究開発費」、「資源・資金配分」、「競争的資金」等が自由記述中でともに用いられている(共起している)。つまり、回答者の多くは、大学における運営費交付金・基盤的経費の減少について問題意識を持ち、「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」の質問群に対して低い評価をしていることが分かる。

「時間」との共起関係に注目すると「研究者」、「多く」、「研究開発費」、「事務処理・手続き」、「確保」、「獲得」といった特徴語が上位にきている。また、「外部資金」、「競争的資金」との共起も見られる。これらから、回答者は外部資金を獲得するための申請書作成等の事務処理・手続き等について問題意識を持っていることが分かる。なお、ここで示した分析では見えていないが、「大学経営の状況」・「学長や執行部のリーダーシップの状況」の質問群の分析においても「時間」が特徴語として抽出されており、そこでは改革に係る各種の対応にかかる時間が課題と考えられている。

「資源・資金配分」との共起関係に注目すると「研究開発費」、「運営費交付金・基盤的経費」、「大学」、「予算」、「研究者」といった特徴語が上位にきている。また、「基礎研究」、「外部資金」、「競争的資金」との共起も見られる。これらは、回答者が主に研究開発費の配分(基盤的経費と公募型研究費のバランス、基礎研究と応用研究等のバランス)について問題意識を持っていることを反映した結果だと考えられる。

図表3 自由記述において使用されている特徴語図表3 自由記述において使用されている特徴語

注:網掛けのセル: 上・中・下位1/3のいずれでも上位25位以内に出現する特徴語。
  丸印のついた特徴語: 下位1/3のみで上位50位以内に出現する特徴語。

図表4 特徴語の共起関係(指数の絶対値が下位1/3の回答者)図表4 特徴語の共起関係(指数の絶対値が下位1/3の回答者)

注:自由記述中の単語の共起関係を示した。ある単語の前後3単語に出現している場合について集計を行った。
  丸は、共起している特徴語で上位5位に入るもの。
3-4 「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」の質問群において、回答者の評価が低い又は2016年度から回答者が評価を下げたことについての考えられる要因

これまでに述べた分析結果を踏まえて、「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」の質問群について、2016年度から評価が低い・評価を下げたことについての考えられる要因として、以下が考えられる。

まず、全体的な状況として、多くの回答者が、基盤的経費の減少や資源・資金配分に問題意識を持っている。研究時間の確保については、研究費申請等のための事務処理・手続き、教育にかかる時間の増加等に課題があるとの問題意識を持っている。これらに加えて、指数の値が下位1/3の回答者については、回答者の属する大学や部局で保有する施設・設備等の維持・管理や老朽化に課題がある可能性がある。

属性別の特徴としては、個人研究費の額が小さいほど、「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」に対する評価は低くなる傾向がある。また、地方の国立大学(第3グループ)において、「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」に対する評価は低くなる傾向がある。つまり、NISTEP定点調査の結果は、回答者の研究環境の現状や所属する部局等の状況を反映したものとなっていると言える。

4. まとめ

前章で例示した「研究環境の状況」・「研究施設・設備の状況」の質問群と同じ分析を、図表1で示したほかの質問群についても実施し、2016年度から評価が低い・評価を下げたことについての考えられる要因をまとめた結果を図表5に示す。

多くの論点において、大学の経営基盤が弱まっている結果として研究者の雇用や研究環境等に課題が生じている点が見えている。冒頭に述べたように、第5期科学技術基本計画期間中に各種の取組が行われていると考えられる、「若手研究者に自立と活躍の機会を与える環境整備」、「大学改革と機能強化」、「産学官の組織的連携を行うための取組」では、2016年度調査時点から評価を下げた回答者と上げた回答者がともに多く、基本計画期間中に変化が生じている。ただし、現状ではこれらの取組と、研究環境及び研究資金、研究人材がつながっていない。つまり、全体的には、運営費交付金等の基盤的経費が長期的に減少してきた中で、大学経営の取組が、大学の研究環境の基盤を支えるには至っていない可能性が高い。

研究や研究を通じた教育に携わっているのは現場研究者であることから、第5期科学技術基本計画期間中の各種取組の成果を、現場研究者が感じ、研究や教育に集中できる環境を構築することが求められるのではないか。また、大学の規模、大学部局分野、職位等によっても回答傾向が違っており、研究環境改善のためには、ターゲットを明確にしたうえでの施策の立案・展開が必要であろう注9

本レポートで示した仮説は、多くの回答者の平均的な意見をまとめて表現したものである。より具体的な状況を示すため、自由記述の目視確認の結果や各質問の意見の変更理由についても、参考データ2)に示している。また、NISTEP定点調査自由記述(2016~2018年度調査分)簡易検索用データベースをホームページ(https://www.nistep.go.jp/research/science-and-technology-system/nistep-teiten-survey)で公表している。

図表5 回答者の評価が低い又は2016年度から回答者が評価を下げたことについての考えられる要因と今後の論点
    (5つの質問群についてのまとめ)

状況 考えられる要因
(回答者の全体的な状況)
考えられる要因
(特定の属性についての状況)
今後の論点
若手研究者※
  • 若手研究者の雇用(ポストの確保、任期の状況)について問題意識。
  • 指数の値が下位1/3の回答者については、特に回答者の属する大学や部局において人事凍結(新規採用・昇進の停止)が行われていることを受け、低い評価をつけている可能性。
  • 回答者は原因として基盤的経費の削減について言及。
  • 大規模PJの研究責任者※1で、指数変化の下位1/3に位置するものが多い。大規模PJでは任期付きの研究者が雇用されていると推察され、プロジェクト終了後の任期付研究者のキャリアパスを心配しての結果である可能性。
    ※1 SIP, ImPACT, COIの大学・公的研究機関の研究責任者。
  • 大学における若手研究者の雇用の確保。
  • 大規模プロジェクトに参加していた若手研究者の雇用。
  • 実績を積んだ若手研究者の安定したポスト確保。
研究環境の状況,研究施設・設備
  • 基盤的経費の減少や資源・資金配分に問題意識。
  • 研究時間の確保については、研究費申請等のための事務処理・手続き、教育にかかる時間の増加等に課題があるとの問題意識。
  • 指数の値が下位1/3の回答者については、回答者の属する大学や部局で保有する施設・設備等の維持・管理や老朽化が課題である可能性。
  • 個人研究費の額が小さいほど、また、地方の国立大学(第3グループ)において、「研究環境の状況」, 「研究施設・設備の状況」に対する評価は低くなる傾向。
  • 指数の変化を見ると、学長・機関長等とそれ以外で回答傾向が異なる(上位1/3に該当する割合が、学長・機関長等で高い)。
  • 大学(特に地方の国立大学)の研究基盤の確保。
  • 外部資金が一時的に確保できなかった研究者へのセイフティーネットの確保。
  • 研究時間の確保(事務処理・手続きの低減、教員間の役割分担等)。
  • 研究施設・設備の維持・管理、共用。
学術研究・
基礎研究※
  • 資源・資金配分(基礎・開発・応用のバランス、分野間の配分)に課題があると認識し、特に基礎研究への配分が減少しているとの認識から評価を下げた一定数の回答者が存在。
  • 研究課題の採択や選択に際して目利きが正しく機能しているか、評価が適切に行われているかについても問題意識。
  • 公募型研究費等の評価や申請、審査員としての負荷についても評価を低くつける要因となっている可能性。
  • イノベーション俯瞰グループや大規模PJの研究責任者において、指数の絶対値の下位1/3の割合が大。
  • 指数の変化に注目すると、大規模PJの研究責任者において評価を下げた回答者の割合が大。明確な理由は不明だがプロジェクトの終了に伴って、研究を行う環境に変化が生じた可能性。
  • 資源・資金配分の可視化。
  • 大規模プロジェクトについての研究課題の選定・採択プロセスの見える化。
  • 公募型研究費等の評価や申請、審査員としての負荷の低減。
  • 大規模プロジェクトで得られた知的・人的資産等の活用。
産学官の知識移転や新たな価値創出※
  • 産学連携については、第5期基本計画中に大学全体として活発化している。他方で、回答者の一部は産学連携に対する評価、産学連携が基礎研究に与える影響を背景に評価を下げている可能性。
  • 産学連携の進展とともに、組織的な連携のコーディネータのようなイノベーション人材に対する不足感が生じ、それを理由に評価を下げている可能性。
  • 属性による違いが顕著(大学グループ別の第1グループ、業務内容別の大規模PJの研究責任者、年齢別の39歳未満、部局分野別の工学については、指数の絶対値の上位1/3の割合が大)。
  • 進みつつある産学連携の一層の進展。コーディネータのようなイノベーション人材の確保。
  • 部局分野など属性別の状況を踏まえた産学連携。
  • 産学が相互に補い合う関係の構築。
大学経営の状況,学長や執行部のリーダーシップ※
  • 学長や執行部は大学経営を進めようとしているが、現場研究者は改革への対応にかかる時間を課題と考え評価を下げている。疲弊しているとの意見も存在。
  • 大学の執行部から大学の現場という情報の流れの中で、考え方の乖離が存在する可能性。
  • 文部科学省をはじめとする行政による矢継ぎ早の施策の実施に大学が対応できていない可能性。
  • 学長・機関長等や大学グループ別に見ると第1グループについては、指数の絶対値の上位1/3の割合が大。
  • 個人研究費の額が小さいほど、「大学経営の状況」,「学長や執行部のリーダーシップの状況」に対する評価は低くなる傾向。
  • 大学の執行部と大学の現場での目的意識の共有。
  • 大学改革の結果を、研究教育現場の環境改善にいかにつなげるか。
  • 大学(特に地方の国立大学)の経営基盤の強化。
  • 中長期的な視点に立った政策立案。
注:各回答者の回答傾向と自由記述の自然言語処理の結果を結びつけることで、NISTEP定点調査の回答動向の背景要因や今後に向けた論点を抽出した結果。筆者作成。
※で示した質問群の分析結果については、参考データとして示した2)


注1 総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会(2019年5月9日)において、NISTEP定点調査について説明した際にも、原因分析を求める意見等があった。(https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20190509.html(資料);
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/190509giji.pdf(議事録); 2019年8月4日アクセス)

注2 「大学・公的研究機関における研究人材」、「研究環境及び研究資金」、「学術研究・基礎研究と研究費マネジメント」、「産学官連携とイノベーション政策」、「大学改革と機能強化」、「社会との関係と推進機能の強化」の6パート。各パートが6点尺度で十分度を問う複数の質問と1つの自由記述質問から構成されている。固定した回答者に2016~20年度の間、同じ質問を繰り返すことで、回答者の認識の変化を追跡する。

注3 回答者の各質問についての十分度の認識を0〜10で数値化した値。

注4 学長・機関長等、マネジメント実務、現場研究者、大規模プロジェクトの研究責任者(戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)、センター・オブ・イノベーション(COI)の大学・公的研究機関の研究責任者)のいずれか。

注5 自然科学系の論文数シェアで、日本の大学を4つの大学グループに分類したもの。論文数シェアが1%以上の大学のうち、シェアが特に大きい上位4大学を第1グループとし、それ以外の大学を第2グループとした。論文数シェアが0.5%以上~1%未満の大学を第3グループ、0.05%以上~0.5%未満の大学を第4グループとした。

注6 所属機関から配分を受けた個人研究費の額(2018年度に外部資金は除いた個人の裁量で使用できた額)。

注7 特徴語はTF-IDFにより抽出した。TF-IDFとは、文書内に出現する単語について、単語の出現頻度(TF値)、単語の逆文書頻度(IDF値)から、文書におけるその単語の重要度を算出する手法である。

注8 次に示す5つの質問を分析対象とした。「研究開発にかかる基本的な活動を実施する上で、現状の基盤的経費(機関の内部研究費等)は十分だと思いますか(Q201)」、「研究者の研究時間を確保するための取組(組織マネジメントの工夫、研究支援者の確保等)は十分だと思いますか(Q202)」、「研究活動を円滑に実施するための業務に従事する専門人材(リサーチ・アドミニストレーター等)の育成・確保は十分に行われていると思いますか(Q203)」、「研究施設・設備の程度は、創造的・先端的な研究開発や優れた人材の育成を行うのに十分だと思いますか(Q204)」、「組織内で研究施設・設備・機器を共用するための仕組みが十分に整備されていると思いますか(Q205)」

注9 ここで示した考察や示唆については、本レポートの執筆者の解釈であり、実際の政策立案等に際しては定量データも踏まえた総合的な分析、有識者を交えたさらなる検討が必要である。

参考文献・資料

1) 文部科学省 科学技術・学術政策研究所, 科学技術の状況に係る総合的意識調査(NISTEP定点調査2018), NISTEP REPORT No.179, 2019年4月.

2) 参考データ:第一線級の研究者や有識者は日本の科学技術の何に課題があると考えているのか: NISTEP 定点調査の回答動向の背景要因についての試行的な分析(参考データ). https://doi.org/10.15108/data_stih.00190