STI Hz Vol.4, No.3, Part.3: 科学技術・学術政策研究所創立30周年を迎えてSTI Horizon

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  • DOI: http://doi.org/10.15108/stih.00138
  • 公開日: 2018.09.25
  • 著者: 坪井 裕
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.4, No.3
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

科学技術・学術政策研究所創立30周年を迎えて

科学技術・学術政策研究所
所長 坪井 裕

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、2018年7月1日をもって、創立30周年を迎えました。創立以来長きにわたり、多くの皆様からNISTEPに対して様々な御指導・御支援を賜りましたことに心から感謝を申し上げます。

NISTEPは、科学技術政策立案の基礎となる調査研究を行う組織が必要との議論を踏まえ、1988年に科学技術庁科学技術政策研究所として発足しました。2001年には、中央省庁再編に伴い文部科学省の研究所となり、また、2013年には、学術振興に関する政策の調査研究が業務に追加され、名称を科学技術・学術政策研究所と改めて現在に至っております。

我が国では、1995年の科学技術基本法の制定、これに基づく5年ごとの科学技術基本計画の策定、そして、その下で様々な科学技術関係の施策が次々に展開されてまいりましたが、最近では、客観的根拠に基づく政策立案(EBPM)の重要性が政府全体で認識されるようになっています。NISTEPは、科学技術イノベーション政策における様々な客観的根拠の提供を行ってきた機関であるともいえ、NISTEPの調査研究の成果は、文部科学省をはじめとした国内外の多くの関係機関で幅広く活用され、様々な政策議論の場での論拠や基礎データに使われてきていると自負しております。NISTEPが国内外の様々な関係機関等との連携を進めながら、我が国の科学技術に関して、研究開発力、科学技術イノベーション人材、科学技術予測、科学技術システム、研究開発マネジメントなどの幅広いテーマで調査研究を実施し、様々な視点に基づくデータや指標を整備してきたことが、多くの成果に実を結んできていると実感しております。

NISTEPは、これまで構築されてきた実績を、今後もしっかりと維持し、引き続き、データに基づく調査分析を行うという基本姿勢を堅持するとともに、また、新たな指標などの研究開発にも積極的に取り組みながら、科学技術イノベーションを巡る現状をより的確に把握し、科学技術イノベーション実現のメカニズムを分析するとともに、科学技術と社会のあるべき将来像の提示を目指してまいります。また、調査研究の成果を広く発信することで、政策形成のプロセスにおいても更なる役割を果たしてまいりたいと考えております。

2018年11月1日には、創立30周年を記念する国際シンポジウムを開催し、世界の有識者をお招きして、NISTEP30年の歩みを振り返りつつ、科学技術イノベーション政策の形成とともに進化する政策研究の課題と将来について討論する予定としております。

30周年を機に、更に飛躍を目指すNISTEPに対して、一層の御支援・御協力を賜りますようお願い申し上げます。


科学技術・学術政策研究所 所長 坪井 裕