STI Hz Vol.10, No.3, Part.4:(所長就任挨拶)NISTEP 着任に当たってSTI Horizon

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  • DOI: https://doi.org/10.15108/stih.00375
  • 公開日: 2024.09.25
  • 著者: 千原 由幸
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.10, No.3
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

所長就任挨拶
NISTEP着任に当たって

文部科学省 科学技術・学術政策研究所
所長 千原 由幸

文部科学省 科学技術・学術政策研究所 所長 千原 由幸

2024年7月に着任いたしました千原でございます。内閣府や文部科学省においては、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた作業が始まっており、そのような時期に、政策の企画、立案に資するインプットを行うべき当研究所に着任した重責を感じています。科学技術・イノベーション政策に関しては、最近では文部科学省科学技術・学術政策局及び内閣府科学技術・イノベーション推進事務局に在籍したことがあり、その際に学ばせていただいたこと等も踏まえ、政策の企画、立案とそれを支える調査研究の橋渡し的役割を果たせればと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、昨今、様々な地球規模の課題への対応が求められる中、我が国が持続的に発展していくために、科学技術・イノベーションへの期待がますます高まっていることが実感されます。当研究所では、時代や社会の急速かつ大きな変化を認識しつつ、科学技術・イノベーション政策の立案、推進に直結した調査研究に鋭意取り組んでいます。

例えば、政策立案の基礎となる情報として、世界的に、また日本で注目されている研究領域の動向について、論文データベースを分析してその領域を可視化したサイエンスマップを作成したり、競争的研究費の採択課題からキーワードを抽出して分析を行う、さらには専門家アンケートから将来に期待される注目の科学技術をとらえる、といった複数のアプローチによる調査研究を行っており、これらの成果は政策の立案、推進に活用されているところです。

また、科学技術・イノベーションの潮流をとらえた調査研究、データ解析手法の開発などに取り組んでいます。

この他、若手研究者・博士人材の状況、大学の研究現場の課題、イノベーションや民間企業の研究活動に関する調査等、様々な観点から、データや調査研究結果を蓄積・提供しています。

当研究所は、文部科学省設置の研究機関としての特徴を最大限に活かし、実際に政策を担う行政各部署と密にコミュニケーションを図って連携しており、しっかりとしたデータの裏付けのある情報を提供することにより、効果的な政策形成、実施に寄与しております。こうした取組を通じて、政府全体で推進している「客観的根拠に基づく政策立案EBPM:Evidence-Based Policy Making」について、その一翼を担ってまいります。

引き続き、科学技術・イノベーション政策研究の中核機関として、国内外の関係行政機関、大学等の研究機関等との連携を深め、行政サイド、ひいては社会のニーズを的確にとらえ、情報発信を強化し、政策形成、推進に貢献する調査研究活動を展開してまいります。皆様方の御支援、御協力をお願い申し上げます。