STI Hz Vol.8, No.2, Part.1:(ナイスステップな研究者から見た変化の新潮流)兵庫県立大学大学院 情報科学研究科 教授 井上 寛康 氏インタビューSTI Horizon

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  • DOI: https://doi.org/10.15108/stih.00290
  • 公開日: 2022.05.25
  • 著者: 小柴 等、竹内 聡志
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.8, No.2
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

ナイスステップな研究者から見た変化の新潮流
兵庫県立大学大学院 情報科学研究科
教授 井上 寛康 氏インタビュー
-複雑な社会・経済現象を異分野融合・シミュレーションで解明し、よりよい社会を拓く-

聞き手:データ解析政策研究室 主任研究官 小柴 等
企画課 課長補佐 竹内 聡志

井上寛康氏はネットワーク科学など情報科学をベースに複雑な社会・経済現象の分析やシミュレーションに取り組む研究者で、近年では内閣官房のプロジェクトとしてスーパーコンピュータ富岳を用い、COVID-19に伴う経済的な影響のシミュレーションを行う等の業績でも知られる12)。これらの取組は分野融合的であるとともに、富岳を用いて社会科学にアプローチするのは先進的な取組であることから、「ナイスステップな研究者2021」として顕彰された。そこで井上氏に研究の概要や現状、同じ分野を志す学生へのアドバイス、今後の展望等について伺った。

兵庫県立大学大学院 情報科学研究科教授 井上 寛康 氏(井上氏提供)

兵庫県立大学大学院 情報科学研究科
教授 井上 寛康 氏(井上氏提供)

- 複雑な社会・経済現象をシミュレーションで解明するという研究に携わっておられ、「ナイスステップな研究者」の選定理由にもなっています。研究の内容についてお聞かせいただけますでしょうか。

今回、受賞理由として特に挙げていただいたものは、“サプライチェーン(企業間の取引関係)の振る舞いを分析した”というものです。もちろんこれだけですと、経済学や経営学の分野でも既に様々な優れた研究があるのですが、我々が行っている研究のポイントとしては、日本全体を網羅するサプライチェーンの実データに基づいてモデルを構築し、それらを用いた大規模なシミュレーションを実現した(インタビュアー注記:一例1))ことが挙げられます。このシミュレーションでは、どの企業とどの企業が取引をしているかという構造と、お互いにどのように影響を及ぼし合っているのかという動的な働きの両方を考慮しています。これによって、ある企業の製品の出荷が減少したとき、どのように影響が及ぶのか、といった複雑な過程について、実態に即した再現ができるようになります。これは日本全体を対象としていることから、個別の企業のミクロから国全体のマクロまでどのように振る舞うのかといったことを観察できる仕組みを構築したことになります。このシミュレーションの活用例としては、例えばCOVID-19に関連してある都市を封鎖した場合にどのくらいの経済損失が発生するかを試算しています1)(図表1参照)。

大規模データ分析というと深層学習をはじめとした機械学習、いわゆるAIを思い浮かべられる方も多いかもしれません。ただ現在起きているCOVID-19パンデミックにおける社会・経済の現象は繰り返し起きるような性質のものではないので、大規模データからパターンを見つけだして予測する、という機械学習的なアプローチを単純に適用するのは難しい課題です。そこで、データだけに依拠するのではなく、企業の取引活動に関するモデルを構築し、それがデータに合うように調整を行っています。これであれば、まだ起きていない未知の事態についてもそれがどのように影響を広げていくかについても知見が得られるというところに利点があります。

また大規模データに関する別の側面の特徴としては、従来の企業の分析が小規模なものに限られていたという点での価値が挙げられます。通常、例えば経営学でこうした分析を行う場合、特定の企業や業種に絞って、ケーススタディ的に緻密に分析していくという手法がとられます。我々は160万を超える企業とその間の600万を超えるサプライチェーンに関する実データをもとに作業を行っており、現状ではこの規模の取組は類を見ないと思います。

図表1 井上氏の研究成果例
(COVID-19に関連して都市封鎖を行った場合の経済活動に与える影響推定)図表1 井上氏の研究成果例(COVID-19に関連して都市封鎖を行った場合の経済活動に与える影響推定)

(井上氏提供資料)

- こうした、複雑な社会・経済現象をシミュレーションで解明するという研究を志されたきっかけについて伺わせていただけますでしょうか。

私のバックグラウンドは情報科学で、大学学部から大学院まで情報科学の分野で過ごしてきました。現在も情報科学が中心ですが、テーマとしては御指摘のような社会・経済などの実際の事象を扱う分野に関わっています。

複雑な社会・経済現象をシミュレーションで解明するという研究の方向性は最初から意図していたわけではなく、様々な試行錯誤の末にたどり着いたというものなのできれいなストーリーにはならないかと思いますが、原体験は大学院在籍時の研究にあるかもしれません。

大学院在籍時にはマルチエージェント(以下、MAという。)システムというAI研究の一分野に携わっていました。MAは極めて抽象化すると、人やロボットなど何かちょっとした知能を持つもの同士の相互作用について分析・実験する分野で、これを使うと、鳥の群れの動きや、オークション、サッカーなどいろいろな社会・集団現象をシミュレーションし、分析できます。ただ、私の学生時代はまだ、学問分野としては成熟しておらず、扱う問題も現実性を欠いたような、いわゆるトイ・プロブレム(おもちゃの問題)と呼ばれるようなものがほとんどでした。そういう状況でしたので「これが解けたところで何の意味があるのだろう。」「何でこんな苦しい修行をやっているのだろう。」というような疑問と、「もっと現実的な問題が解きたい。」という気持ちがわいてきました。しかし大学院を出て博士号を取得したぐらいのころに、ちょうど複雑系に関する社会の要請に応えるための、ネットワーク科学(以下、NW科学3)という。)や、複雑系を研究するのに不可欠な、ネットワーク等構造を含んだデータが使えるようになったことから、それらの分野での研究を経て現在の研究に至ります。

また、実は私はストレートに修士、博士、アカデミックポストとキャリアを歩んできたわけではなく、修士を修めた後、ソフトウェアエンジニアとして民間企業に就職しています。ここでの活動も面白かったのですが、そこで私が取り組んだものは、何をどう作るかは決まっていて、自分が介入できるのは「いかに早く作るか」や「いかに自分をすりつぶして働くか」という仕事であったことと、まだ答えが見えていない問題に取り組みたいということから大学に戻って今のキャリアを歩んできました。

- ここまでの話に一貫して、現実にある問題を解きたいというモチベーションが背後にあるのですね。そういう意味では先ほどの大規模取引ネットワークもそのような目的で分析されたのでしょうか。

御指摘の通り、現実に起こっているが、どのように起きるのかよくわかっていない“サプライチェーンの連鎖的な破綻”などの現象を知りたいということから、大規模データを用いています。既にお話ししたように既存の研究スタイルから考えると、少数のデータで緻密にしっかり分析する、あるいは仮想ネットワークでいろいろと分析する、という方向性はありますし、それも重要だと思います。しかしながら、“社会・経済現象のリアリティは複雑なつながりそのものの中にある”と考えており、リアルな問題を扱うにははじめから大規模データを用いなければ意味がないと思って取り組みました。

少し詳しく考えてみると、ここに社会・経済シミュレーションそのものが抱える問題があると思います。先ほどのトイ・プロブレム等にも関連しますが、モデルは結局人工物ですので、幾らでも自由に設計することができてしまいます。この対極にあるのが物理法則です。物理法則は実験等により明確に確認されているため、シミュレーションにおいてその法則を下敷きにすることは誰も異論はないと思います。一方で、社会・経済シミュレーションにはそのように下敷きにする法則もよくわからないという状況です。その理由は簡単にいえば、人や企業が日々活動する中で、その活動に影響を与えるものが多すぎるためです。物理においては物体に影響を与えるものは磁力・重力などと限定しても問題はないですが、社会・経済にはそのような限定が難しいということです。このような状況下では、自分にとって都合の良い結果が出るようにシミュレーションを組むこともできますし、何か変な結果が出てきたときに、それがプログラム上のバグ(ミス)に起因するものなのか、モデルの設計が悪かったのか、本当にそうした一見して変なことが発生するのか、よく分からない、ということも出てきます。結果として「とにかく、やってみたらこうなりました」以上の知見がない、現実に生かせない結果になってしまうケースも見られます4)

私の共同研究者で、理化学研究所の伊藤伸泰先生が以前おっしゃっていた言葉に「社会シミュレーションで人を驚かすことはできない」というものがあります。社会・経済シミュレーションで変な結果が出てきても誰も信じない。想定できる範囲の結果しか信じてもらえない。というような意味です。これは社会・経済シミュレーションの限界を端的に表していると思います。

では私がどのようにこの問題にアプローチしたかといえば、サプライチェーンの破綻を扱う際に最も重要なものは、どの企業間で取引がなされるのかであり、先述した企業に影響を与えるもの、を実際に一致させた、ということになります。これによりシミュレーションへの信頼性が格段に上がることになります。すなわち、構築したモデルが現実に即した振る舞いを再現しているという信頼性です。

- 大規模データを扱うに当たってスーパーコンピュータである富岳を活用しておられますが、情報科学分野でもスパコンを扱える・扱った研究者は多くないと聞きます。また、サプライチェーンということで分析結果を考察するには経済・経営学の知識も必要と思われますが、井上先生はこれらをお一人でカバーされているのでしょうか。

当然一人ではカバーできないので、様々な先生に御助力を頂くことで何とか取り組めています。例えば富岳に関しては国立研究開発法人理化学研究所の伊藤伸泰先生、シミュレーションに関しては北海道大学の野田五十樹先生、経済に関しては早稲田大学の戸堂康之先生、齊藤有希子先生、一橋大学の中島賢太郎先生など、ほかにも挙げきれないほど多くの先生に御助力を頂いています。

よく考えてみれば、私だけでできることはほんの少しです。ですので、わからないことについてそれぞれの専門の先生を頼らせていただいて成果を挙げていると認識しており、このことには常に感謝するとともに、そんな自分でも注目してもらえる研究は可能なのだ、ということを若い人たちにも知ってもらいたいと思います。

恩師のお一人である電気通信大学の髙玉圭樹先生から「研究は人の縁」という言葉を頂きましたが、本当にそうかもしれません。自分一人で全部行うことはできないので、どんどん新しい人に会い、どんどん失敗して、結果を出していく、ということが大事かもしれませんね。

- 井上先生の取組は分野融合の事例としても取り上げられておりますが、他分野の先生とはどのように関係を構築なさったのでしょうか。

これに関しては特に戦略などはなく、いきなり飛び込んでみたのがスタートです。キャリアの初期にNW科学の強みを()かして取り組んだ研究として“特許の共同出願”に関するものがあります。この研究では、例えば日本で特許制度が始まった明治時代からの特許など長期間のデータを分析して、どのような事業所・個人間で特許が生じたか、知識が広がっていったかを分析しています。当初、ある程度研究がまとまったところで「どこに発表しよう」という問題に直面しました。NW科学の論文誌では、NW科学自体はツールであるため、余りにも多種多様な応用分野の研究が掲載されており、ほとんど注目されません。これでは、知識の伝搬という研究の本質的な部分について議論できない可能性がありました。他方で私は情報科学しか知らないものですから、知らない学会のお作法が分かりませんでした。いろいろ迷いましたが思い切って全く異分野の経済系の学会で発表してみました。全く違う分野の学会に飛び入りすると、当然ですが「何だかよく分からない人が来たな。ちょっと距離を取って様子を見てみよう」という反応と、「何だか面白そうだから、一緒に何かやってみよう」という反応があって、手を差し伸べてくださったのが先ほどの齊藤先生、中島先生です。ここからどんどんと人脈が広がっていって、今ではいろいろな先生とつながることができました。スパコン関連も現在の富岳が“ポスト京”と呼ばれていたころに、これを活用した社会科学系の分析の公募が行われているのを知り、スパコン自体の使い方は分からないけれども手を挙げて、そこで助けてくださったのが伊藤先生でした。

- 他分野の研究者と連携するにも、やはり御自身の強みがポイントになってくるかと存じます。御自身の強みについてお聞かせいただけますでしょうか。

飽くまで自分でそう思うという程度ですが、コードがかける(プログラムを記述できる)、またMA、NW科学を理解しているあたりが、特に経済学の先生に提供できる・認めていただいている価値なのかなと思います。最近はPythonなど使いやすく、手軽にコードを動かせる環境も整ってきてはいますが、プログラミングも奥が深い世界なので、大規模データを扱う、ネットワークデータを扱うとなると、まだまだ容易に手が出せない領域があり、その点については一日の長があるのではないかと思います。

これは何も私だけの話ではなく、情報科学の元々の性質として、いろいろなものや人をつなげる「便利屋」「道具屋」的な側面があります。現在流行している機械学習などはその典型です。一方で、私がMAやNW科学など少し本流から離れた分野を渡り歩いているところはある程度優位性になるかもしれません。本流でないというのは、それなりに不人気の理由があるので弱みにもなりえますが、自身が生き残るために既存の枠に縛られずに常に他の方の力をお借りするということで従来と一味違った研究を進められているかと考えます。

またこれらの活動を続けてきた結果、最近では研究に誘っていただくことも多くあります。しかも、自分ではよくないプレゼンテーションだったなと思うような学会発表ですら、あとで反響を頂くことがあります。ですので、若い人たちには失敗を恐れず、むしろどんどんと外に出て失敗した方がよいと申し上げたいです。

- 分野融合を促進させるためにはどのような取組が必要でしょうか。

管見の限りではありますが、やはり分野融合はある人がパワーを持って行うことが主で、社会の仕組みとして狙ってこことここを融合させようとか、融合を促進させるためにこうしよう、といった支援を行うことは難しそうだと感じます。もちろん融合を促進させるための取組はこれまでも様々行われており、そうした取組はとても大事であると認識していますが、現在のように分野が細分化した時代においては、分野の組合せのかけ算は膨大であり、しかもそれぞれ最適な支援の方法は違うかもしれず、また、研究者同士の相性のようなものも考えると、難易度は高いのだろうなと感じます。

研究者として上記のような状況を一番感じるのは、分野融合的な課題は科研費の審査区分などに合致しづらいことです。科研費などでは中区分レベルで各分野に少し余白というか、分野融合的なものを認めるような措置が執られていると、もう少し研究に手を出しやすくなりそうだな、などと感じます。

科研費関連でいうと、科研費という制度は本当に有り難いなと思っています。これまで米国やドイツでも研究をしてきましたが、研究資金の獲得は本当に大変で、ドイツでの同僚からは科研費の仕組みをうらやましがられたりもしました。もちろん、どちらも一長一短あります。米国やドイツでは研究費獲得が大変な代わりに額も大きいですし、その分審査もレベルが高いと思います。加えて、様々な政策・文化的な違いがあって、単純に比較は難しいとも思います。それでも私のように分野融合的な内容でも科研費の支援を受けられたという点は有り難いなと思っております。他の国では私は活躍できなかったかもしれません。

- 少し視点が変わりますが、井上先生の分野を志す学生・若手研究者に向けてアドバイスをいただけますでしょうか。

データサイエンスやシミュレーション・デジタルツインは現在のトレンドでもありますし、計算機科学の発達でこれからますます重要視されてくると思います。しかしデータサイエンスやシミュレーションは飽くまで道具に過ぎません。

道具の使い方を教えることはできますが、どういう問題を解きたいか、どういうアプリケーションに取り組むべきかは教えられません。なので、取り組むべき問題を見つけること自体が一番重要になります。そう言う意味でまずはしっかり興味関心を磨くことが大事です。そして次が忘れられがちですが、制約条件の中で問題を捉えることが重要です。解きたい問題があっても知識を始め、データや手法など、いろいろなものがそろわないと解くことができません。これはある程度運もありますが、うまく自分に課された制約条件と取り組める問題が見つかったときは研究のかなりの部分が進んでいるといってよいと思います。

- 学生へのアドバイスの流れでお聞きします。研究を進められている上で壁に突き当たって進めなくなる、ということはないでしょうか。その際に心がけられていることなどはあるでしょうか。

壁に当たった経験は数限りなくあります。このサプライチェーンの問題でもモデル構築上の問題で半年くらいスタックしてしまったことがあって、延々と答えが出ず、悩み続けました。後日発見した答えは分かってしまえばある意味単純な話であり、また、いろいろ試行錯誤する中で見つかったことから、なぜそれを思いつけたのか、何がきっかけだったかということをはっきりと覚えていないことすらあります。

大学院のときも思うように研究が進まずに悩んだ時期がありましたし、米国に留学していたときもNW科学の著名人であるラズロ・バラバシの研究室に所属できたものの、なかなか成果が出せず悔しい思いをした時期もありました。

本日お話しした内容もまとめてみると、何かストーリーがあるように見えるかもしれませんが、私自身は目指すところはいつも見えていなくて、その時々で壁にぶつかりながら、試行錯誤をして何とか進んできたら、こうなっていた、というのが実際のところです。世の中はエリートの「こうするといい」というような即座にわかるルールを欲していると思うのですが、恐らく誰にでも当てはまるそのようなルールは存在しなくて、むしろ試行錯誤を繰り返すこと自体が重要で、それをいかに工夫して続けられるかということが重要な気がします。

留学時の井上氏(画面中央)

留学時の井上氏(画面中央)

- 最後に、人文社会科学とスパコン活用などの観点から、今後の展望等お聞かせいただけますでしょうか。

おかげさまで、サプライチェーンの研究では内閣官房の“COVID-19 AI・シミュレーションプロジェクト”に関与させていただいたり、「ナイスステップな研究者」に選定いただいたり、と高い評価を得ました。

内閣官房のAIプロジェクトの例を見ても、データから帰納的にモデルを構築して現状把握や予測を行うようなものと、モデルから演えき的にシミュレーションを行っていくものと、それぞれ取り上げられています。前者は第3次AIブームの主役でもありますが、後者のシミュレーションにも注目が集まっているというのは過去に余りなかった状況だと思います。

こうした状況にあって、私の例はCOVID-19などとは全く別個に研究を積み重ねてきていたところ、運良く社会ニーズに適合したという位置づけですが、NW科学やスパコンを活かした人文社会科学系のシミュレーションには大きな可能性があると考えています。物理法則などがなく、パラメータ選択を含めて様々な意味でモデルの自由度が大きいなど問題がありますが、データを用いて、ときには機械学習の手も借りながら、パラメータフィッティングするなどにより現実に迫れる可能性があると考えています。

また日本は、かなり古い時代から社会・経済のデータを蓄積しているところがあって、これらのデータ資産を活かせる可能性が高いため、この領域において世界的に少しアドバンテージがあると考えています。他方、世界的にデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいますので、現在持っている日本のアドバンテージは早晩薄まってくると考えます。このアドバンテージのあるうちに、NW科学・スパコン・人社連携を活かせる体制作りを進め、この分野で日本が存在感を示せるようになればすばらしいと感じております。

(2022年2月21日オンラインインタビュー)


* 所属は執筆当時

参考文献・資料

1) Inoue, Hiroyasu and Todo, Yasuyuki. “Firm-level simulation of the propagation of economic shocks through supply chains,” Nature Sustainability, Vol. 2(9), pp. 841-847 (2019) https://www.nature.com/articles/s41893-019-0351-x

2) https://www.covid19-ai.jp/ja-jp/researcher/hiroyasu-inoue/ (Last accessed: 2022.02.22)

3) Albert-Laszlo Barabasi, “ネットワーク科学”, 池田裕一, 井上寛康, 谷澤俊弘, 共立出版, 2019.

4) 和泉潔:人工市場の作り方─ヤッコーと呼ばれないために,システム/制御/情報,vol.46,No.9,pp.547-554 (2002) https://doi.org/10.11509/isciesci.46.9_547