目次：2019 夏号 (Vol.5 No.2)

巻頭言

• STI Horizon 2019 夏号発行に当たって
  • STI Horizon 誌編集長 赤池 伸一
    （科学技術・学術政策研究所 上席フェロー）

特別インタビュー

• 株式会社 三菱ケミカルホールディングス 取締役会長 小林 喜光 氏インタビュー
  社会課題に取り組む産業界の科学技術イノベーションの潮流と新しい時代を担う基礎研究・人材育成について－心・技・体を鍛える、本当の企業経営と国家価値のとらえ方－

SDGsに先駆けて、持続的な社会の発展を目指した企業経営の在り方を提唱されてきた株式会社三菱ケミカルホールディングス取締役会長小林喜光氏に、科学技術イノベーションの推進に向けた産業界の取組や、大学、公的研究機関等への期待についてお話を伺った。

ナイスステップな研究者から見た変化の新潮流

• VLP Therapeutics CEO赤畑 渉 氏インタビュー
  －感染能を有しないウイルス様粒子（VLP）を用いた基盤技術に基づく創薬ベンチャーを米国で創業し、ワクチンを開発－

2013年に米国で創薬ベンチャーを創業し、起業後も、実用化に向けた研究開発を進め、2019年からマラリアワクチンの臨床試験を開始するなど、国際競争力が厳しい創薬分野で活躍されている赤畑渉氏にお話を伺った。

• 国立研究開発法人海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門 高知コア研究所 地球微生物研究グループ 鈴木 志野 研究員インタビュー
  －地球深部の厳しい環境に住む謎の微生物の発見とJ・クレイグ・ヴェンター研究所の経験を踏まえた日本人研究者へのメッセージ－

鈴木志野氏は、地球深部の厳しい環境に住む謎の微生物を発見し、この発見が原始生命の進化の謎を解き明かす上で重要なものとなることを明らかにした。本研究の発見の過程、米国での研究経験、この経験を踏まえた日本人研究者へのメッセージなどのお話を伺った。

ほらいずん

• シリーズ　－未来を創る－
  日立京大ラボの描く未来
  • 科学技術予測センター 研究官 黒木 優太郎、主任研究官 伊藤 裕子、センター長 横尾 淑子

  本シリーズでは、特筆すべき未来予測を行っている機関を対象とした意見交換を通じて、対象機関と科学技術・学術政策研究所（NISTEP）との連携の在り方を探る。第２回となる今回は、日立京大ラボにおけるAIを活用した未来の洞察と政策提言の取り組みを伺った。

• 新しい育種技術（NBTs）であるゲノム編集技術の社会への適用の動向
  • 科学技術予測センター 主任研究官 伊藤 裕子

  農作物生産の向上を目的とした新しい育種技術の研究開発は世界的に進み、なかでもゲノム編集技術による農作物は社会適用の段階に入っている。本稿では、従来の遺伝子組換え技術のガイドライン等との関係性について、日本・米国・欧州連合（EU）の状況を概説する。

• 米国における根拠に基づく政策（EBPM）推進に果たす非営利組織の役割とソーシャルインパクト
  －米国連邦・地方政府へのデータ利活用の能力開発・支援活動を行う米国非営利組織Results for America－
  • 科学技術予測センター 主任研究官 白川 展之

  本稿では、データを積極的に活用して日常の意思決定の改善を目指して活動する非営利組織Results for America（RFA）の事業紹介を通じて、政治、行政、非営利組織のネットワークが米国の根拠に基づく政策（EBPM）の推進の中核となっていることを示す。

レポート

• 全米科学振興協会（The American Association for the Advancement of Science ; AAAS） 年次大会2019の報告
  －90分シンポジウム「国際的な科学協力 新しい潮流」の開催－
  • 科学技術予測センター 客員研究官^＊＊・理化学研究所（理研）横浜事業所 所長 斎藤 尚樹
    企画課 国際研究協力官 大場 豪
    科学技術予測センター 研究官 黒木 優太郎

  科学技術・学術政策研究所（NISTEP）は全米科学振興協会（AAAS）の年次大会へ毎年参加し、現地での情報収集とともに研究成果を発表している。2019年の年次大会では、NISTEPから2件のシンポジウムが共に採択されたのでその結果を報告する。

• Synthesizer 人材育成の重要性
  －AAAS 2019 Annual Meeting におけるセッションより－
  • 第２調査研究グループ 客員研究官 岡本 摩耶^＊、犬塚 隆志^＊

  人材の多様化が進む我が国において、様々な文化や専門性を持つメンバーで構成されたチームをマネジメントし成功に導く人材とは？その際に必要な能力・スキルとは？AAAS Annual Meetingで主宰した人材セッションを紹介しつつ考察する。

• 今後の国立大学法人等における施設整備の充実の必要性に関するアンケート調査
  • 文部科学省 大臣官房文教施設企画・防災部 計画課 整備計画室長 深堀 直人
    科学技術予測センター 上席研究官 林 和弘

  国立大学法人等における活動の基盤をなす施設について、国立大学法人等に限らない民間企業等幅広い機関に所属する科学技術専門家ネットワークの専門調査員へアンケートを行った。その結果、整備充実の必要性に対し、高い割合で肯定的な回答が寄せられた。