STI Hz Vol.2, No.1, Part.1: STI Horizon 2016春号刊行に寄せてSTI Horizon

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  • DOI: http://dx.doi.org/10.15108/stih.00009
  • 公開日: 2016.03.25
  • 著者: 斎藤 尚樹
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.02, No.01
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

STI Horizon 2016春号刊行に寄せて(編集長メッセージ)

科学技術・学術政策研究所 総務研究官(科学技術動向研究センター長兼務) 斎藤 尚樹

昨年末創刊した当「STI Horizon」誌も、このほど第2号刊行の運びとなりました。この間、1月下旬には「第5期科学技術基本計画」が閣議決定され、4月から当面5年間の科学技術イノベーション政策の大枠が明示されました。今次基本計画の大きな特徴として、今後5年間の政府研究開発投資の目標設定と併せ、種々の政策課題について、定量的目標や進捗・成果把握のための指標が設定された点が挙げられます。この点については、基本計画と合わせて決定された「有識者議員ペーパー」に示された通り、数値達成が自己目的化され、個別の指標値や目標の達成状況に過度に振り回されることのないよう留意することが極めて重要です。同時に、設定された指標そのものについても、妥当性を検証し、あるべき指標体系や定めるべき指標、把握すべき具体的データ等について、今後必要に応じ随時見直していくこととされています。当研究所としても、今後こうしたプロセスに対し積極的に参画・貢献すべく、関連する調査研究活動を強化していく方針としています。

次期基本計画では、併せて将来の産業創造・社会変革の方向性として、科学技術イノベーションの先導により超スマート社会の実現を目指す一連の取組「Society 5.0」を深化・推進していくとの方針が大きく打ち出されました。このための取組の一環として、グローバルなニーズを先取りすべく、「国際機関等との連携による科学技術予測や、長期的な変化を探索する分析体制を横断的に構築し、その成果を社会実装につなげるための情報共有やフォローアップの体制・仕組みを構築」する旨が初めて明確に示されました。当研究所が実施してきた科学技術予測、及び今後の活動の重要な柱となるホライズン・スキャニングの推進は、まさにこうした方針に則したものであります。当センターでも、新年度以降は装いも新たに「科学技術予測センター」と組織改称した上、産学官の幅広いステークホルダーの参画やOECD・APEC等の国際機関との積極的連携も図りながら、今後全力を挙げて関連する取組を深化・充実していきたいと考えております。

その成果・進捗発信のメディアである本誌においても、将来の産業創造・社会変革の微小な兆候(Weak Signals)や注目すべき動向(Emerging Trends)を的確に捉え、タイムリーに発信していく所存ですので、読者各位におかれましても、従前にも増してよろしく御愛顧、御指導、御活用を賜りますよう、改めてお願い申し上げます。


科学技術・学術政策研究所 総務研究官 斎藤 尚樹

(科学技術動向研究センター長兼務)