データ・情報基盤
公開特許公報から網羅的に特定、抽出した日本版バイ・ドール制度(産業技術力強化法第17条)を適用した特許出願データを公開します。政策的支援効果など研究者の様々な視点による分析に有効に活用することができます。

データ公開の趣旨

科学技術・学術政策研究所では、日本版バイ・ドール制度を適用した特許出願に関して、我が国全体としての制度の適用状況、出願機関や特許査定状況、さらに同制度の制定による国立大学の特許出願行動の変化などを取り纏め、報告書[1]を発行している。それまで、同制度を適用した特許出願に関する分析の多くは特定のファンディング機関からの出願を対象に行われ、網羅的に特許出願を把握し分析することは行われておらず、上記研究により日本版バイ・ドール制度の政策的効果を検討するための手がかりとなるデータを得たといえる。今後は、同制度の成果である特許権が有効に活用されているかなどの検証が政策的効果を見極めるうえで重要なポイントとなり、様々な視点から分析を一層深化させることが必要である。ここでは、そうした目的に広く有効に活用できるよう、日本版バイ・ドール制度を適用した特許出願データの公開を行うものである。

【参考文献】
[1]文部科学省科学技術・学術政策研究所:日本版バイ・ドール制度を適用した特許出願の網羅的調査,DISCUSSION PAPERNo.195,(2021)
https://doi.org/10.15108/dp195

日本版バイ・ドール制度を適用した特許出願データ(ver.2022_1)

  1. 日本版バイ・ドール制度を適用した特許出願データ(以降、「日本版バイ・ドール出願データ」と略す)は、産業活力再生特別措置法第30条(いわゆる日本版バイ・ドール制度)の施行日である1999年11月1日以降に出願された同制度を適用した特許出願を基本に構成している。尚、特別措置法第30条は、2007年に恒久法である産業技術力強化法第19条に移管され、さらに、2018年に同法第17条に条番の繰上げがなされている。
  2. 日本版バイ・ドール出願データには、公開特許公報から該当する特許出願を特定し掲載している。ここで公開したver.2022_1では、2021年10月14日までに発行された公開特許公報を用いて特定を行っている。
  3. 日本版バイ・ドール制度を適用して特許出願を行うためには、特許法施行規則第二十三条第六項により出願願書にその旨を申告記載しなければならない。日本版バイ・ドール出願データは、申告記載のある特許出願を見つけ出し、確認の後掲載を行っている。
  4. 日本版バイ・ドール出願データ(ver.2022_1)には、43,590件の日本版バイ・ドール制度を適用した特許出願と延べ58,392人の出願人データを含んでいる。加えて、出願人のカテゴリデータなどの特許関連情報や他のデータベースとの接続情報など分析に有効と考えられる項目を付加した「テーブル」形式で提供を行う。具体的なテーブル仕様は利用マニュアルを参照されたい。
  5. 日本版バイ・ドール出願データは、それ単独でも分析に利用できるが、IPC(国際特許分類)、発明者情報、出願企業等といった情報は関係する外部データベースと接続して取得する。そのため、或いは分析にMySQLなどのDB管理システムを利用する場合は、提供するエクセル形式のテーブルを任意の区切り・エンコード形式のテキストファイルに変換し使用する。また、テーブル形式は、出願人データを基準に縦持ち・横持ちの2種類を提供するので分析目的によって選択されたい。

出願人別日本版バイ・ドール制度を適用した特許出願件数一覧(ver.2022_1)

日本版バイ・ドール出願データから算出した出願人ごとの暦年特許出願件数を一覧表として示したものである。特許出願件数は整数カウントと分数カウントの両者を掲載している。整数カウントは共同出願者が複数の場合出願者ごとに1件とカウントし、分数カウントは1件の出願を共同出願者数で按分した値としている。また、日本版バイ・ドール制度の施行から20年以上が経過し、その間、出願人である企業の商号や機関の名称変更も生じている。一覧ではそれらを寄せた表示を行っており、過去からの出願状況をわかり易く示している。