「科学技術動向」3・4月号の公表について

2015年3月23日(月)

「科学技術動向」3・4月号では以下のレポートを掲載しています。

  • レポート1「海外におけるフォーサイト活動(その1)中国の技術予測活動の動向-全国技術予測会議と上海市の地域的戦略ロードマップより-」では、中国科学技術部、中国科学院及び地方政府の技術予測活動や、毎年開催されている全国規模の技術予測学術年会などについて紹介しております。科学技術部は、2013年に新ラウンドの技術予測を開始し、12分野について技術評価などを行っております。また、中国科学院は、予測科学研究センターを中心に複数の研究所が参加して技術予測を行っております。中国の技術予測は、産学官の力を結集して科学技術を推進するところに重要な意義があります。
  • レポート2「オープンサイエンスをめぐる新しい潮流(その4)研究コミュニティに向けた協働データインフラの開発動向-欧州のEUDATの取組から-」では、EU のFP7 のファンドを受けた EUDATプロジェクトを紹介しております。このプロジェクトは、研究コミュニティの内外において研究者がデータを共有し、研究活動を効率的に遂行できるようにすることを目的としています。そして、13 か国の26 機関を中心にしたコンソーシアムが構築され、複数の研究コミュニティを対象にした研究データに対する共通のサービスや運用方法の具体化が図られてきています。その具体化に至る過程、提供されつつあるサービスについて紹介します。
  • レポート3「IEEE論文に基づくIoT研究動向の計量書誌学的調査」では、近年、関連ニュースや記事が多く取り上げられ、特に情報工学分野の研究課題として関心が高まっているIoT(Internet of Things)の概念整理と論文分析に基づく各種関連研究の方向性を整理しております。その上で、電気・電子分野における世界最大の学会であるIEEEの学術論文を利用し、IoTの学術論文年次発表数の推移を調査して、IoTと結びつきが強いキーワードが何なのか、計量書誌学的手法を利用して抽出しました。分析の結果、IoTの応用対象として、私たちの生活にも関係が深く、大きな影響を与えるセキュリティ対策、建築分野などの領域に新しいIoTの可能性が潜んでいることが分かりました。
  • レポート4「拡散光及び光超音波イメージングによるがん診断技術の展望」では、乳がんと前立腺がんを例に、近赤外レーザーを光源に用いたイメージング装置によるがんの新しい診断方法について紹介しております。光計測、超音波計測、画像処理は、我が国が競争力を有する技術分野ですが、それらを用いた医療機器の開発は欧米のみならずアジア各国でも非常に期待の大きい分野となってきています。医療機器市場で我が国の競争力を発揮するために、計測、画像処理技術と、高度な医療技術、蓄積されたデータなどを組み合わせてシステム化する戦略の構築が望まれます。
  • レポート5「デジタルファブリケーションの進展-ファブ拠点の地域展開と国際標準化の動向-」では、デジタルデータを基に3D プリンタで立体物を造形するデジタルファブリケーションの国内を中心とした最近の動向を紹介しております。デジタルファブリケーションでは、3D データとオープンソースを利用したオンサイト・オンデマンドサービスを提供できることから、従来のものづくりとサービスを大きく変革する可能性があります。本レポートでは、国レベルの技術開発の取組と、民間レベルで国内各地に急増するファブ拠点の現状、そして3D データフォーマットの国際標準化にみる革新的進展とオープンソースの進化について紹介しています。