STI Hz Vol.5, No.4, Part.5:(ほらいずん)デルファイ調査の概要-科学技術発展の中長期展望-STI Horizon

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  • DOI: https://doi.org/10.15108/stih.00195
  • 公開日: 2019.12.20
  • 著者: 横尾 淑子
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.5, No.4
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

ほらいずん
デルファイ調査の概要
-科学技術発展の中長期展望-

科学技術予測センター センター長 横尾 淑子

概 要

「第11回科学技術予測調査」における「科学技術の未来像」検討の一環で、「デルファイ調査(専門家アンケート)」を実施した。2050年までの約30年間を展望し、実現が期待される研究開発課題として702の科学技術トピックを設定、それらの重要度、国際競争力、実現見通し等に関する専門家アンケートを2019年2~6月に実施した。回答者は、産学官の専門家5,352名である。

重要度については、予防医療、気象災害対応、生活・作業支援ロボットなど、人口減・超高齢化に伴う課題への対応や近年頻発する気象災害への対応などが重要とされた。国際競争力については、今後社会を大きく変えるデータ活用や社会システムへのICT活用などの競争力強化が課題として浮かび上がった。実現見通しについては、2035年までに9割の科学技術トピックが実現するという見通しが示された。また、ICT関連や医療関連において、実現に向けて法規制整備や倫理的・法的・社会的課題への対応の必要性が明らかとなった。

キーワード:科学技術予測,デルファイ

1.はじめに

科学技術予測センターでは、2017年から11回目となる科学技術予測調査1)を実施している。科学技術予測調査は1971年から約5年おきに実施されており、第5回調査(1992年)から科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が実施主体となっている。第11回調査では、図表1に示す通り、「社会の未来像」2)と「科学技術の未来像」を並行して検討し、それらを統合して「科学技術発展による社会の未来像」3)の検討を行う構成とした。未来を展望する期間は2050年までの約30年間、ターゲットイヤーは2040年である。

このうち、「科学技術の未来像」検討は、「デルファイ調査(専門家アンケート)」4)と「未来につなぐクローズアップ領域」5)から構成される。デルファイ調査(専門家アンケート)とは、第1回調査(1971年)から継続的に実施されている、科学技術発展の中長期見通しを得るためのアンケート調査で、第11回調査の基盤となる調査である。デルファイ法による繰り返しアンケートにより多数の専門家の意見を収れんさせ確度を高めることを特徴としている。本稿では、デルファイ調査アンケートの概要を紹介する。

図表1 第11回科学技術予測調査におけるデルファイ調査の位置付け図表1 第11回科学技術予測調査におけるデルファイ調査の位置付け

2.調査の方法

デルファイ調査では、①健康・医療・生命科学、②農林水産・食品・バイオテクノロジー、③環境・資源・エネルギー、④ICT・アナリティクス・サービス、⑤マテリアル・デバイス・プロセス、⑥都市・建築・土木・交通、⑦宇宙・海洋・地球・科学基盤の7分野を調査対象とし、分野ごとに専門家10名程度から構成される分科会において検討を行い、計702の科学技術トピック(2050年までの実現が期待される研究開発課題、以降「トピック」と記す。)を設定した。設定手順を図表2に示す。これら各トピックに対して、図表3に示すように、重要度、国際競争力、実現見通し、実現に向けた政策手段についての質問項目を設けた。

専用ウェブサイトを開設し、2019年2~6月にアンケートを実施した。当センターの運営する専門家ネットワーク(約2,000名)のほか、関係機関の協力を得て、科学技術振興機構(JST)の運営する研究者データベースresearchmap(登録者のうちメール受信承諾者約13万人)、日本学術会議・関連学会・経済団体のネットワークを通じて広く参加を呼びかけ、5,352名から回答を得た。回答者の属性を図表4に示す。

図表2 科学技術トピックの設定手順図表2 科学技術トピックの設定手順

図表3 科学技術トピックに対する質問項目

項目 内容
重要度 30年後の望ましい社会を実現する上で、日本にとっての現在の重要度
国際競争力 現在の日本が置かれた国際競争力の状況
科学技術的実現見通し 日本を含む世界のどこかで科学技術的に実現する時期
科学技術的実現に向けた政策手段(複数選択可) 選択肢:人材の育成・確保、研究開発費の拡充、研究基盤整備、国内連携・協力、国際連携・標準化、法規制の整備、倫理的課題対応、その他
社会的実現見通し 日本を含む世界のどこかでの科学技術的な実現に続き、日本で社会的に実現する時期
社会的実現に向けた政策手段(複数選択可) 選択肢:人材の育成・確保、事業補助、事業環境整備、国内連携・協力、国際連携・標準化、法規制の整備、倫理的・法的・社会的課題対応、その他

図表4 回答者の属性図表4 回答者の属性

3.主な結果

(1)重要度と国際競争力

各分野において重要度が最も高いとされたトピック(図表5)を見ると、予防医療、気象災害対応、自動車用二次電池、生活・作業支援ロボットなどが挙がっている。国際競争力も高いトピックが多く、特に、気象予測とリスク評価トピックは農林水産・食品・バイオテクノロジー分野内で競争力1位、自動車用二次電池トピックは環境・資源・エネルギー分野内で競争力2位である。一方、ICT・アナリティクス・サービス分野2件の国際競争力(指数0.2程度)は高いとも低いとも言えないレベルである。

重要度の高いトピック(指数1.0以上)のうち、各分野で国際競争力が低い下位2件を図表6に示す。特に、ライフスタイルビッグデータや都市関連データなど、今後の社会を大きく変えると考えられるデータ活用に関わるトピックの国際競争力指数が0に近く、競争力強化が課題となる。一方、環境・エネルギー分野では、国際競争力下位2件でも指数が0.5に近く、重要度の高いトピックは絶対評価として国際競争力も高いと言える。

図表5 各分野において、重要度の高いトピック

分野 科学技術トピック 重要度*1 国際
競争力*1
科学技術的
実現時期*2
社会的
実現時期*3
健康・医療・生命科学 老化に伴う運動機能低下の予防・治療法 1.56 0.55 2028 2030
アルツハイマー病等の神経変性疾患の発症前バイオマーカーに基づく、発症予防および治療に有効な疾患修飾療法 1.55 0.54 2032 2035
農林水産・食品・バイオテクノロジー 人間を代替する農業ロボット 1.35 0.59 2026 2029
人工衛星・気象観測データ等を活用したリアルタイムの高空間・高時間解像度気象予測と災害リスク評価システム 1.33 0.80 2028 2030
環境・資源・エネルギー 電気自動車のための交換不要な長寿命かつ低コストの二次電池(寿命15年・コスト0.5万円/kWh以下) 1.48 0.98 2029 2032
線状降水帯・ゲリラ豪雨による都市洪水、高潮、地盤沈下等の人口密集地における統合的水管理技術 1.36 0.90 2028 2029
ICT・アナリティクス・サービス 農業の生産性、人手不足・担い手不足の解消を抜本的に改善するAI、IoT、ロボット等技術 1.57 0.27 2029 2031
重要インフラ、自動車などの制御システムや個人用IoT機器・サービスに対し不正な侵入を防止する技術 1.56 0.24 2028 2029
マテリアル・デバイス・プロセス エネルギー密度1kWh/kg以上、出力密度1kW/kg以上(自動車なら現行の大きさ・重量で航続距離が500kmに相当)の性能をもつ高容量高出力電池 1.50 0.91 2030 2032
体内情報(薬物動態、癌マーカー、感染、その他血液成分)をモニタリングするウェアラブルデバイス 1.32 0.58 2028 2031
都市・建築・土木・交通 インフラの点検・診断の信頼性向上や負担軽減を図るために、現場で利用可能な非破壊検査技術 1.53 0.80 2025 2026
詳細な都市計画を可能にする精度の高い災害ハザードマップの作成技術 1.51 0.99 2027 2028
宇宙・海洋・地球・科学基盤 日本国内の全活火山に対し、次に噴火しそうな、もしくはしそうにない火山を見い出すための切迫度評価 1.51 0.91 2031 2033
高解像度シミュレーションとデータ同化により、100m以下の空間分解能で数時間後の局地豪雨、竜巻、降雹、落雷、降雪等を予測する技術 1.50 1.05 2027 2029
*1 非常に高い(+2)、高い(+1)、どちらでもない(0)、低い(-1)、非常に低い(-2)として指数化
*2 所期の性能を得るなど技術的な環境が整う時期
*3 実現された技術が製品やサービス等として利用可能な状況となる時期

図表6 各分野において、重要度は高いが国際競争力が相対的に低いトピック

分野 科学技術トピック 重要度*1 国際
競争力*1
科学技術的
実現時期*2
社会的
実現時期*3
健康・医療・生命科学 慢性疾患の病態のシステム的把握(遺伝子ネットワーク把握)に基づく薬物療法 1.10 0.04 2028 2032
日常生活(購買・飲食等)とから集積されるライフスタイルビッグデータ(匿名加工情報)活用による健康政策 1.03 0.05 2025 2028
農林水産・食品・バイオテクノロジー 世界の人口増、経済発展及び作物生産技術の動向を踏まえた食料の需給予測システム 1.09 0.04 2032 2033
環境情報や生物情報をリアルタイムにモニタリングし、農林水産現場の異常を早期に察知するシステム 1.02 0.32 2028 2030
環境・資源・エネルギー 低線量放射線による健康リスクのメカニズムの解明と合理的な安全規制基準の設定 1.18 0.43 2030 2033
気候変動による食料生産への地域ごと、品目ごとの影響予測技術 1.11 0.47 2029 2032
ICT・アナリティクス・サービス 出社不要・複業を前提とした自由度の高い就業形態による高生産性社会への移行 1.27 -0.48 2027 2030
すべての経済取引を電子化する技術(すべての貨幣が電子マネーとなって現金が消滅し、貨幣経済の仕組みが根本から変わる) 1.02 -0.39 2027 2032
マテリアル・デバイス・プロセス 量子化学計算に基づく薬剤や触媒デザインを可能にする量子シミュレータ 1.09 0.27 2031 2033
量子コンピュータ間の量子インターネットを可能にする高効率な量子通信素子技術 1.00 0.31 2034 2038
都市・建築・土木・交通 人口減少にともなって発生する低未利用地の粗放的な維持管理技術 1.23 0.00 2029 2031
都市に関するオープンデータ化を図り、多様な主体が保有するデータを共有・連携して活用できるプラットホーム 1.17 0.03 2026 2029
宇宙・海洋・地球・科学基盤 宇宙利用を低コストで実現できる再使用型輸送システム(部分使用型、完全再使用型、軌道間再利用型など) 1.07 0.08 2029 2032
創薬や投資・金融の意思決定等に係る効率を3桁改善する、従来のコンピュータ、量子アニーリングマシーン、ゲート型量子コンピュータのハイブリッドシステム 1.08 0.22 2030 2035
*1-3 図表5に同じ
(2)実現見通し

トピックの実現見通しを見ると、2035年までに97%が科学技術的に実現(所期の性能を得るなど技術的な環境が整う)、87%が社会的に実現(実現された技術が製品やサービス等として利用可能な状況となる)とされた。2036年以降に科学技術的に実現するとされたトピックは23件で、脳科学、生物記憶、原子力・核融合、資源採取・再利用、宇宙科学・宇宙開発等が挙がり、環境・資源・エネルギー分野のトピックが11件を占める。図表7に、2040年以降に科学技術的に実現するとされたトピックを示す。

科学技術的実現から社会的実現までの期間は5年以内のトピックがほとんどであり、6年以上のトピックは図表8に示す9件のみである。原子力関連、宇宙開発、資源開発等の科学技術トピックが挙げられている。

図表7 2040年以降に科学技術的に実現するとされた科学技術トピック

実現時期 科学技術トピック(【 】内は分野名)
2040 宇宙太陽発電システム 【環境・資源・エネルギー】
2041 高レベル放射性廃棄物中の放射性核種を加速器の使用により核変換して、廃棄物量を激減させる技術 【環境・資源・エネルギー】
2043 量子重力理論の確立・検証 【宇宙・海洋・地球・科学基盤】
2043 ダークエネルギーの正体の解明 【宇宙・海洋・地球・科学基盤】
2043 海洋ポテンシャルを利用し、海に新しいエコシティと新しいエコライフスタイルを実現する、「海洋都市」の建設技術 【都市・建築・土木・交通】
2043 長期的視点に基づく、人類の生息空間拡大のための、宇宙空間や月及び火星面での「宇宙建築」の建設技術 【都市・建築・土木・交通】
2047 核融合発電 【環境・資源・エネルギー】

図表8 科学技術的実現から社会的実現までの期間が長いトピック

科学技術トピック(【 】内は分野名) 期間(年) 科学技術的
実現時期
社会的
実現時期
濃縮度5%超燃料が使用可能、プラント寿命が80年、立地条件を選ばないなどの特徴を有する次世代軽水炉技術 【環境・資源・エネルギー】 9 2036 2045
核燃料サイクル及び一体型高速炉(IFR)を含む高速増殖炉(FBR)システム技術 【環境・資源・エネルギー】 9 2038 2047
事故時にも避難が不要になるレベルまで安全性が高められた商業利用可能な小型モジュール原子炉 【環境・資源・エネルギー】 9 2037 2046
長期的視点に基づく、人類の生息空間拡大のための、宇宙空間や月及び火星面での「宇宙建築」の建設技術 【環境・資源・エネルギー】 8~ 2043 2051以降
宇宙太陽発電システム 【環境・資源・エネルギー】 8 2040 2048
空気中から効果的にヘリウムを回収する技術 【環境・資源・エネルギー】 7 2036 2043
枯渇を示す地熱貯留層に対する人工涵養技術 【環境・資源・エネルギー】 6 2030 2036
一般生活者が日常生活で行う決済の総額の30%以上を、中央銀行がコントロールせずブロックチェーン技術で管理される仮想通貨で行うようになる 【ICT・アナリティクス・サービス】 6 2027 2033
重量物を積載したトラックの走行に対して耐えうる構造を有する、100km/hで走行する乗用車に対し20kW 以上の非接触給電を可能とするシステム 【マテリアル・デバイス・プロセス】 6 2030 2036
(3)実現に向けた政策手段

実現に向けた政策手段については、総じて、人材、資金(研究開発費拡充/事業補助)、環境整備(研究基盤整備/事業環境整備)が必要との回答者が多かった。図表9、10に、政策手段のうち、「法規制整備」及び「倫理的・法的・社会的課題(ELSI)対応」が必要と考える回答者が多かったトピックを示す。法規制整備については、ICT・アナリティクス・サービス分野及び都市・建築・土木・交通分野で必要性が高く、特にICT・アナリティクス・サービス分野のトピックが上位に挙げられた。一方、ELSI対応については、健康・医療・生命科学分野及びICT・アナリティクス・サービス分野のトピックが上位に挙げられた。

図表9 法規制整備が必要とされる科学技術トピック(科学技術的実現における上位10件)

科学技術トピック(【 】内は分野名) 科学技術*
全ての選挙がインターネット上で実施可能となるレベルのネット上での個人認証技術 【ICT・アナリティクス・サービス】 81%
すべての経済取引を電子化する技術(すべての貨幣が電子マネーとなって現金が消滅し、貨幣経済の仕組みが根本から変わる) 【ICT・アナリティクス・サービス】 77%
一般生活者が日常生活で行う決済の総額の30%以上を、中央銀行がコントロールせずブロックチェーン技術で管理される仮想通貨で行うようになる 【ICT・アナリティクス・サービス】 71%
機械(AI、ロボット)と人間の関係について社会的合意に達する(新たな機械三原則が確立され、法的整備も進み、機械が人間と協調的に共存する安定した社会・経済システムが実現する) 【ICT・アナリティクス・サービス】 68%
分散台帳技術やスマートコントラクトなどの活用による、知的財産の流通における中央機関のない自律分散化 【ICT・アナリティクス・サービス】 66%
個人の社会活動や企業の経済活動を、ほぼ100%キャッシュレス(暗号通貨含む)に実現できる、セキュアで効率的、かつ安心感を持てる経済基盤(金融機関だけでなく、商店、個人まで) 【ICT・アナリティクス・サービス】 65%
都市部で人を運べる「空飛ぶ車・ドローン」 【都市・建築・土木・交通】 64%
プレシジョン医療の実現や医療の質向上に資する、IC チップが組み込まれた保険証等による病歴、薬歴、個人ゲノム情報の管理システム 【健康・医療・生命科学】 64%
AI 技術などを活用した法令文書自動作成・変更システム(法令文書が紙媒体前提からリンクトデータなどを活用するデジタル媒体前提に変わることによる) 【ICT・アナリティクス・サービス】 64%
地域における公共交通網の維持や、物流分野の変革を実現する、自動走行、ドローンなど多様な移動手段、およびそれらの管理・運用支援技術 【ICT・アナリティクス・サービス】 63%
* 科学技術的実現に向けた政策手段の選択肢(図表4、複数選択可)のうち、「法規制整備」を選択した回答者の割合

図表10 ELSI対応が必要とされる科学技術トピック(科学技術的実現における上位10件)

科学技術トピック(【 】内は分野名) 科学技術*
新生児期からのゲノム情報の活用のためのELSI(倫理的・法的・社会的課題)の解決策 【健康・医療・生命科学】 70%
機械(AI、ロボット)と人間の関係について社会的合意に達する(新たな機械三原則が確立され、法的整備も進み、機械が人間と協調的に共存する安定した社会・経済システムが実現する) 【ICT・アナリティクス・サービス】 62%
動物の胚とヒト幹細胞由来細胞のキメラ胚(動物性集合胚)から作出されるヒト移植用臓器 【健康・医療・生命科学】 61%
プレシジョン医療の実現や医療の質向上に資する、IC チップが組み込まれた保険証等による病歴、薬歴、個人ゲノム情報の管理システム 【健康・医療・生命科学】 60%
先天性遺伝子疾患を対象とした安全性の高い子宮内遺伝子治療法 【健康・医療・生命科学】 58%
ブロックチェーン技術を用いた、出生から現在に至るまでの健康・医療・介護等情報の紐づけデータに基づく、健康維持システム 【ICT・アナリティクス・サービス】 56%
ゲノム・診療情報、およびウェアラブルセンサーやスマートデバイスにより得られる生体・行動情報を継続的に収集した健康医療データベース 【健康・医療・生命科学】 56%
次世代ゲノム編集技術による、遺伝子修復治療や単一遺伝病の治療を広汎に実現する遺伝子治療法 【健康・医療・生命科学】 55%
遺伝子改変技術を利用した異種移植が可能な医用モデルブタ 【農林水産・食品・バイオテクノロジー】 54%
AIが普及し、大半の業務を自動化することができるようになることで、現役世代の約30%が働かない社会となる 【ICT・アナリティクス・サービス】 50%
* 科学技術的実現に向けた政策手段の選択肢(図表4、複数選択可)のうち、「倫理的・法的・社会的課題対応」を選択した回答者の割合

4.まとめ

「第11回科学技術予測調査」における「科学技術の未来像」検討のため、「デルファイ調査」を実施した。2050年までに実現が期待される科学技術トピック7分野計702件を設定し、それらの重要度、国際競争力、実現見通し等に関する専門家の意見を収集した。

今後、アンケート結果を基にした詳細分析及び分科会委員による結果解説を掲載した報告書を取りまとめる予定である。また、分野の枠にとらわれないテーマを設定して詳細分析を行い、本誌記事として取りまとめる予定である。


注 同一回答者に同一設問を繰り返し、2回目以降は前回集計結果を示して回答者に再考を求めることにより意見を収れんさせるアンケート。本調査では、2回の繰り返しを行った。

参考文献・資料

1) 科学技術予測センター、「第11回科学技術予測調査 S&T Foresight 2019総合報告書」、NISTEP REPORT No. 183、科学技術・学術政策研究所(2019年11月):https://doi.org/10.15108/nr183

2) 科学技術予測センター、「第11回科学技術予測調査 2040年に目指す社会の検討(ワークショップ報告)」、調査資料-276、科学技術・学術政策研究所(2018年9月):https://doi.org/10.15108/rm276

3) 黒木優太郎・河岡将行、「基本シナリオ-科学技術の発展により目指す社会の姿-」、STI Horizon Vol.5 No.3 (2019年9月):https://doi.org/10.15108/stih.00186

4) 「第11回科学技術予測調査 S&T Foresight 2019総合報告書」報道発表_説明資料_参考(2019年10月):
https://doi.org/10.15108/stfc.foresight11.201(分野ごとに201から207まで)

5) 重茂浩美・蒲生秀典・小柴等、「第11回科学技術予測調査[3-1] 未来につなぐクローズアップ科学技術領域-AI関連技術とエキスパートジャッジの組み合わせによる抽出の試み-」、Discussion Paper No.172、科学技術・学術政策研究所(2019年7月):https://doi.org/10.15108/dp172