STI Hz Vol.4, No.2, Part.6: エビデンスに基づく政策策定のための調査研究と発信STI Horizon

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  • DOI: http://doi.org/10.15108/stih.00127
  • 公開日: 2018.06.25
  • 著者: 角田 英之
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.4, No.2
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

エビデンスに基づく政策策定のための調査研究と発信

文部科学省 科学技術・学術政策研究所
総務研究官 角田 英之

2018年4月に科学技術・学術政策研究所総務研究官に着任しました角田英之です。平素よりSTI Horizon誌を御愛読賜り、心より御礼申し上げます。

本年7月、当研究所は1988年の設立から30年の大きな節目を迎えます。設立当初を振り返りますと、当時はバブル経済最後の輝きが残り、日本の経済力・ものづくり力やその基盤となるイノベーションポテンシャルが国際的に大きな注目を集める一方、理工系の優秀な人材の多くが金融・経済界のキャリアを指向するといった「理工系離れ」の問題も顕在化した時期でありました。その後、「失われた10年」と称される日本経済の長期停滞とともに、「科学技術創造立国」のコンセプトが広く(けん)(でん)され、科学技術基本法の成立や科学技術基本計画の策定、その下での政府研究開発投資目標の設定など、今日の科学技術イノベーション政策の底流となる政策動向の大きな変化が見られました。当研究所では科学技術指標、予測調査といった設立時からの調査分析に加え、サイエンスマップや定点調査など、その後の当研究所研究活動の中核となるプロジェクトも大きく進展し、政策プロセスでの活用も拡大してきました。近年では技術・社会の変化のスピードが加速する一方、将来展望の不透明さが増大し「エビデンスに基づく政策策定」の重要性が国際的に叫ばれる中、科学研究のベンチマーキング、大学発ベンチャー調査、博士人材のキャリア分析、全国イノベーション調査等、当研究所ならではの種々のエビデンス整備の取組も進んでいる状況です。

当研究所としては、このような節目を迎え、本誌の編集・発行をはじめとする調査研究活動・成果の発信・展開についても、今後なお一層の充実強化を図っていく所存です。読者各位におかれましては、当研究所の調査研究活動への一層の御理解・御支援を賜りますとともに、引き続き当誌記事を御愛読・御活用くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。