STI Hz Vol.11, No.4, Part.4:STI Horizon 2025 冬号発行に当たってSTI Horizon

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  • DOI: https://doi.org/10.15108/stih.00424
  • 公開日: 2025.12.22
  • 著者: 林 和弘
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.11, No.4
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

STI Horizon 2025 冬号発行に当たって

STI Horizon誌編集長 林 和弘
(科学技術・学術政策研究所 上席フェロー)

本年度より編集長を務めております林です。夏・秋号に続き、3号目の冬号をお届けします。依然として、世界的に不確実性が高まる中で、科学技術・イノベーションが社会課題の解決に果たす役割はますます重要になっています。本誌は各号にテーマを設定しているわけではないのですが、本号では、「科学技術を支える人と環境」という視点から、研究・社会・文化をつなぐ多様な取組を紹介するラインナップとなりました。

まず、特別インタビューでは、クラウドファンディング企業 READYFOR 株式会社 代表取締役 CEO 米良はるか氏にお話を伺いました。社会的に意義ある活動に資金を届ける仕組みを生み出し、科学技術や医療研究への支援にも注力するなど、資金循環を通じて人々の想いを社会へつなぐ姿勢は、正に「伴走する科学技術」の姿を示しています。

続く「ナイスステップな研究者 2024」では、情報科学、材料科学、再生医療、量子物性といった先端分野で新たな潮流を生み出す研究者を紹介しています。個々の研究の背後にある発想や挑戦の軌跡を通じて、科学の未来を切り拓く多様なアプローチを感じていただければと思います。

「ほらいずん」では、研究室パネル調査による日本型研究室モデルの分析、フードテックによる「食」の再定義、岩手地域の産学官連携の実践、そして研究力を育む「研究文化」の考察など、科学技術の現場に根ざしたテーマを取り上げています。いずれも、研究を「育てる」土壌や文化をいかに形成するかを問い直す内容となっています。

また、「レポート」では、偽情報・誤情報に関する国民意識調査の結果を通じて、科学技術情報への信頼と理解をめぐる課題を分析するとともに、九州沖縄地域における地域イノベーションの動向、人工知能分野の国際会議分析による研究動向など、科学技術政策に資する多角的な知見を紹介しています。

本誌『STI Horizon』が、科学技術と社会をつなぐ「伴走者」として、読者の皆様の日々の業務や議論を支える一助となれば幸いです。新しい年を迎えるに当たり、科学技術イノベーションの可能性を共に見つめ直し、次の一歩を考える契機となることを願っています。