2025年5月26日(月)
この度、撤回論文データベースであるRetraction Watch Data 及び、研究成果書誌データベースであるOpenAlexを活用し、撤回論文の実態に関する分析を行いました。本調査は、学術研究における信頼性確保や研究インテグリティ向上に関する議論に資することを目的として実施されたものです。
撤回論文には、単なる不注意による誤りだけでなく、データの捏造・改ざん・盗用といった不正行為に基づくものも含まれており、研究者や研究機関の信頼性を損なう重大な要因となっています。こうした不正行為の抑止に向けて、撤回論文の実態把握と定量的な分析は、研究政策の観点からも極めて重要です。
本研究では、撤回論文の年別推移や、学術分野別、著者所属機関の国・地域別、撤回理由別など、多角的な視点からデータを整理・分析しました。また、関連する既存研究についても併せて調査し、論文撤回における研究不正の傾向やパターンに関する理解を深めました。
分析の結果、以下のような知見が得られました:
撤回論文の件数は年々増加傾向にある。
- 撤回件数の多い国・地域は、通常の論文数や引用数における上位国とは異なる傾向を示している。
- 特定の著者が突出して多くの撤回論文を出しているケースがあり、国・地域単位の傾向分析を難しくしている。
- 我が国においては、一部の著者による大量撤回が全体の撤回数を押し上げていることが確認された。
詳細につきましては、以下のリンクより御覧ください。