つぎにパテントファミリーの出願先(自国への出願分は除く)をみることで、主要国からの特許出願の国際的な広がりの時系列変化を見る(図表4-2-13)。
日本からのパテントファミリーの出願先は、1981年時点では約90%が米国及びヨーロッパとなっていたが、1990年代に入って中国への出願が増加している。2015年時点では米国への出願が42.6%、中国への出願が22.7%、欧州特許庁への出願が14.5%となっている。ヨーロッパ各国の特許庁への直接出願については、長期的にその割合が減少し、2015年時点では、4.5%となっている。
米国からのパテントファミリーの出願先は、1981年時点では約6割がヨーロッパ、16.1%が米国以外の北米・中南米、17.6%が日本となっていた。1990年代に入って日本以外のアジアの国への出願が増加し、2015年時点ではアジアへの出願が全体の42.5%を占めている。また、アフリカへの出願も一定数存在している。
2015年時点に注目すると、ドイツについては28.7%がアジア、29.3%が米国を含む北米・中南米、31.4%が欧州特許庁に出願されている。
フランスについてはアジアが23.8%、米国を含む北米・中南米が30.4%であり、32.7%が欧州特許庁に出願されている。
英国については24.0%がアジア、39.3%が米国を含む北米・中南米、26.7%が欧州特許庁に出願されている。これらの国についてアジアにおける出願先をみると、日本の比率が相対的に下がり、中国や韓国の比率が上がっている。米国とおなじく、アフリカへの出願も一定数存在している。
中国からの出願は1980年代後半時点では、欧州への出願が約半数を占めており、それにアジア、米国がつづいていた。その後、米国への出願の割合が大幅に増加する一方で、欧州への出願の割合は減少している。2015年時点では50.2%が米国を含む北米・中南米、23.3%がアジア、20.2%が欧州特許庁となっている。
韓国からの出願は1986年時点では、欧州が約5割、アジアが約3割、米国が約2割を占めていた。その後、米国への出願の割合が大幅に増加し、2015年時点では54.5%が米国を含む北米・中南米、30.8%がアジアとなっている。アジアにおける出願先をみると、日本の比率が相対的に下がり、中国の比率が上がっている。
(A)日本 |
(B)米国 |
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(C)ドイツ |
(D)フランス |
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(E)英国 |
(F)中国 |
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(G)韓国 |
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注:
パテントファミリーの分析方法については、テクニカルノートを参照。
資料:
欧州特許庁のPATSTAT(2020年秋バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。
参照:表4-2-13