4.2.5パテントファミリーの出願先

 つぎにパテントファミリーの出願先(自国への出願分は除く)をみることで、主要国からの特許出願の国際的な広がりの時系列変化を見る(図表4-2-11)。
 日本からのパテントファミリーの出願先は、1981年時点では約90%が米国及びヨーロッパとなっていたが、1990年代に入って中国への出願が増加している。2013年時点では米国への出願が42.0%、中国への出願が23.3%、欧州特許庁への出願が14.2%となっている。ヨーロッパ各国の特許庁への直接出願については、長期的にその割合が減少し、2013年時点では、3.7%となっている。
 米国からのパテントファミリーの出願先は、1981年時点では約6割がヨーロッパ、16.2%が米国以外の北米・中南米、17.7%が日本となっていた。1990年代に入って日本以外のアジアの国への出願が増加し、2013年時点ではアジアへの出願が全体の44.7%を占めている。また、アフリカへの出願も一定数存在している。
 2013年時点に注目すると、ドイツについては29.7%がアジア、28.6%が米国を含む北米・中南米、31.5%が欧州特許庁に出願されている。
 フランスについてはアジアが24.8%、米国を含む北米・中南米が30.8%であり、31.6%が欧州特許庁に出願されている。
 英国については27.2%がアジア、38.3%が米国を含む北米・中南米、24.8%が欧州特許庁に出願されている。
 これらの国についてアジアにおける出願先をみると、日本の比率が相対的に下がり、中国や韓国の比率が上がっている。米国とおなじく、アフリカへの出願も一定数存在している。
 中国からの出願は1980年代後半時点では、欧州への出願が約半数を占めており、それにアジア、米国がつづいていた。その後、米国への出願の割合が大幅に増加する一方で、欧州への出願の割合は減少している。2013年時点では46.0%が米国を含む北米・中南米、27.3%がアジア、20.4%が欧州特許庁となっている。
 韓国からの出願は1986年時点では、欧州が約5割、アジアが約3割、米国が約2割を占めていた。その後、米国への出願の割合が大幅に増加し、2013年時点では56.0%が米国を含む北米・中南米、29.7%がアジアとなっている。アジアにおける出願先をみると、日本の比率が相対的に下がり、中国の比率が上がっている。


【図表4-2-11】 主要国におけるパテントファミリーの出願先
(A)日本
(B)米国
(C)ドイツ
(D)フランス
(E)英国
(F)中国
(G)韓国

注:
パテントファミリーの分析方法については、テクニカルノートを参照。
資料:
欧州特許庁のPATSTAT(2018年秋バージョン)をもとに、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-2-11