3.5高等教育機関における外国人学生

ポイント

  • 日本における自然科学分野の外国人大学院生は、中国人大学院生が最も多く、2016年度では約0.8万人である。次いでインドネシア人大学院生が0.1万人となっており、1位と2位以降に大きな差がある。一方、米国の外国人大学院生は、インド人大学院生と中国人大学院生が多い。1位と2位に大きな差はないが、3位のイラン以降には大きな差がある。
  • 主要国・地域の外国人学生を見ると、海外に数多くの学生を送り出している中国、韓国は、逆に受け入れている学生は少ない。対して、海外に学生をあまり送り出していない米国、英国は、受け入れている学生が多い。日本は、海外に学生をあまり送り出していない国・地域ではあるが、受け入れている学生も多いとは言いがたい。

3.5.1日本と米国における外国人大学院生

 この節では、高等教育のグローバル化を示す指標の一つとして、研究者や高度専門家の養成を行っている大学院における外国人大学院生の状況を見る。図表3-5-1は、日本と米国の大学院に在籍する外国人大学院生の数を、最新年のランキングで10位程度の国と主要国・地域について掲載したものである。分野については、日本は「自然科学」分野、米国は「科学工学」分野を対象としている。
 これを見ると、日本における外国人大学院生数は、中国人大学院生が最も多く、2016年度では約0.8万人である。次いでインドネシア人大学院生が0.1万人であり、1位と2位以降に大きな差がある。
 一方、米国の外国人大学院生は2006~2010年にはインド人大学院生が最も多かったが、2011年に大きく減少した(同時期において非EC国の学生に対して学生ビザの取得が厳密になったためと考えられる)。その後は増加に転じ2014年では7.3万人となった。また、日本ほど1位と2位に大きな差はないが、3位のイラン以降には大きな差がある。なお、ドイツ、英国、フランスといった欧州諸国の大学院生は日本、米国ともに常にトップ10入りしていない。


【図表3-5-1】 日本と米国における外国人大学院生の状況
(A)日本:自然科学分野
(B)米国:科学工学分野

注:
<日本>日本の場合の外国人とは、日本国籍を持たない者。
<米国>米国の場合の外国人とは、米国国籍を持たない者。英国についてはデータが掲載されていない年があるため除いている。
資料:
<日本>文部科学省、「学校基本調査報告書」
<米国>NSF,“Science and Engineering Indicators 2006,2008,2010,2012,2014,2016”

参照:表3-5-1


3.5.2主要国の高等教育機関における外国人学生

 図表3-5-2は高等教育レベル(ISCED(2) レベル5~8)における外国人学生の出身国・地域と受入国・地域の関係を見た図表である。ここでいう外国人学生とは「受入国の国籍を持たない学生」、「留学生」を指す。
 主要国の中で、最も多くの学生を世界に送り出している国・地域は中国であり、全世界の20.7%を占めている。中国の学生は米国に最も多くいるが、日本や英国にもいる。次に多く送り出しているのはドイツ(全世界の3.6%)であるが、中国と比較すると少ない。ドイツの学生は主にヨーロッパにいる。また、韓国の学生(全世界の3.3%)は、主に米国におり、フランスの学生(全世界の2.2%)は、主にヨーロッパにいる。一方、米国は海外に送り出している学生が少なく、全世界の1.5%である。日本も全世界の1.0%、英国は0.8%であり、少ない国・地域である。
 受入国・地域の側から見ると、最も多くの外国人学生を受け入れているのは米国であり、全世界の24.0%である。次いで英国であり、全世界の12.8%である。次にフランス(7.0%)、ドイツ(6.0%)、日本(4.2%)が続き、中国(3.0%)、韓国(1.7%)となっている。
 海外に数多くの学生を送り出している中国、韓国は、逆に受け入れている学生は少ない。対して、海外に学生をあまり送り出していない米国、英国は、受け入れている学生が多い。日本は、海外に学生をあまり送り出していない国・地域ではあるが、受け入れている学生も多いとは言いがたい。


高等教育レベル(ISCEDレベル5~8)における外国人学生の出身国・地域と受入国・地域(2013年)

注:
1)ISCED2011におけるレベル5~8(日本でいうところの「大学等」に専修学校が含まれる)に該当する学生を対象としている。
2)外国人学生とは、受入国・地域の国籍を持たない学生を指す。
3)中国には香港も含む。
資料:
OECD,“Education and skills”を基に科学技術・学術政策研究所が作成。

参照:表3-5-2



(2) UNESCOが開発した教育の国際教育標準分類(ISCED:International Standard Classification of Education)であり、最新版はISCED2011である。