3.2高等教育機関の学生の状況

ポイント

  • 日本の大学学部の入学者数は2000年頃から横ばいに推移している。2016年度は61.8万人である。
  • 2016年度の大学院修士課程入学者数は、全体で7.2万人であり2010年をピークに減少に転じた。社会人修士課程入学者数は2016年度で0.8万人であり、全体に占める割合は10%程度である。
  • 大学院博士課程の入学者数は、2003年度をピークに減少傾向にあり、2016年度は1.5万人となっている。大学院博士課程入学者数が減少傾向にある一方で、社会人博士課程入学者数は継続して増加しおり、2016年度では0.6万人となっている。全体に占める割合は、2003年度で22%であったが、2016年度では41%と約2倍となった。大学院博士課程を目指す社会人の割合が増えている。
  • 日本の大学学部、修士課程、博士課程別入学者数の男女別の内訳を見ると、いずれも女性の入学者数は増加しているが、男性の入学者数は、1990~2000年度の間までは増加しているが、いずれも2000~2016年度の間では減少している。
  • 全大学院生(在籍者)に占める社会人大学院生の数は継続して増加しており、その割合は、2000年度では12.1%であったが、2016年度では23.6%と、約2倍となった

3.2.1大学学部の入学者

 18歳人口について見ると、1991年における206.8万人をピークに減少に転じている。今後も減少傾向で推移するものとみられ、2020年代後半にはピーク時の半分まで減少するものと推計されている(図表3-2-1)。
 大学学部への入学者数は、進学意欲の高まりと定員拡大の下、増加し続けていたが、2000年代に入るとその伸びは鈍化し、2016年度には61.8万人となっている。進学率(18歳人口に対する大学入学者数の割合)については、51.5%であり、昨年と比較すると0.9ポイント増加した。


【図表3-2-1】 18歳人口と大学入学者数の推移

注:
1)18歳人口は中位推計による。
2)大学入学者数は、当該年度に大学に入学し、かつ翌年5月1日(調査実施時期)に在籍する者の人数である。
3)進学率は、18歳人口に対する大学入学者数の割合である。
資料:
1)18歳人口:<2015年まで>総務省統計局、「人口推計」(各年10月現在)
<2016年以降>厚生労働省国立社会保障・人口問題研究所、「日本の将来推計人口」(2012年1月推計)
2)大学入学者数:文部科学省、「学校基本調査報告書」

参照:表3-2-1


 大学学部への入学者数の推移を、関係学科別に見たものが図表3-2-2(A)である。
 日本の大学学部の入学者数は2000年頃から横ばいに推移している。最新年の入学者数の内訳を見ると「社会科学」系で20.3万人、「人文科学」系は8.7万人となっている。「自然科学」系では「工学」系で8.7万人、「保健」系は6.9万人、「理学」系は1.8万人、「農学」系は1.8万人となっている。また、「その他」は13.7万人である。
 経年変化を見ると、2000年代に入り、「農学」系、「保健」系、「その他」が増加する一方で、それ以外の学部の入学者数は減少傾向にある。
 入学者数を国・公・私立大学別で見てみると(図表3-2-2(B))、私立大学の入学者数が全体の約8割を占めている。
 分野別に見ると、国立大学では「自然科学」系、特に「工学」系の入学者数が多く、私立大学や公立大学の入学者数は「社会科学」系が多い。ただし、私立大学全体で見た構成比では「社会科学」系が減少傾向にある。また、「保健」系の入学者数は、国・公・私立大学ともに増加し続けている。なかでも私立大学については、2000年度と比較して約3倍となっている。


【図表3-2-2】 大学(学部)入学者数
(A)関係学科別の入学者数の推移

(B)国・公・私立別大学の入学者数の推移

注:
その他は「商船」、「家政」、「教育」、「芸術」、「その他」
資料:
文部科学省、「学校基本調査報告書」

参照:表3-2-2


3.2.2大学院修士課程入学者

 大学院修士課程への入学者数は1990年以降に大学院重点化が進んだこともあって、1990~2000年代前半にかけて大きく増加したが、2000年代半ばに入ると、その伸びは鈍化した。2016年度の大学院修士課程入学者数は、全体で7.2万人であり、2010年をピークに減少に転じた。
 最新年度の専攻別の内訳を見ると、「工学」系が3.1万人と最も多く、次いで「社会科学」系0.6万人、「理学」系0.6万人、「保健」系0.5万人となっている。ピーク時の2010年度から、「保健」系以外の専攻分野で全て減少しており、その中でも人数の多い「工学」系の入学者数の減少は、入学者数全体の減少に少なからず影響を与えていると考えられる(図表3-2-3(A))。
 また、社会人修士課程入学者数は2016年度で0.8万人である。2003年度から同程度に推移しており、全体に占める割合も10%程度で推移している(図表3-2-3(B))。
 国・公・私立大学別で見ると、修士課程入学者数は学部入学者数とは傾向が違い、国立大学が多く、全体の約6割を占めている。専攻別で見ると国・公・私立大学ともに「自然科学」系が多く、なかでも「工学」系が多い(図表3-2-3(C))。


【図表3-2-3】 大学院(修士課程)入学者数
(A)専攻別入学者数の推移(修士課程)
(B)社会人入学者数の推移(修士課程)
(C)国・公・私立別大学入学者数の推移(修士課程)

注:
その他は「商船」、「家政」、「教育」、「芸術」、「その他」
「社会人」とは、各年5月1日において職に就いている者、すなわち、給料、賃金、報酬その他の経常的な収入を目的とする仕事に就いている者であり、企業等を退職した者、及び主婦等を含む。
資料:
文部科学省、「学校基本調査報告書」

参照:表3-2-3


3.2.3大学院博士課程入学者

 大学院博士課程入学者数は、2003年度をピークに減少が続いていたが、2010年度は前年度と比較して3.6%増加した。しかし、その後は連続して減少し、2016年度は1.5万人となっている。
 最新年度の専攻別の内訳を見ると、「保健」系が0.6万人、「工学」系0.3万人と多くを占め、「理学」系、「人文科学」系、「社会科学」系は0.1万人程度である。経年変化を見ると、ほとんどの専攻が2000年代前半から減少、もしくは横ばいに推移している。ただし、「保健」系については2000年代後半に入って一旦減少したものの、その後は増加傾向にある(図表3-2-4(A))。
 なお、博士課程入学者のうち社会人入学者数は継続して増加しており、2016年度では0.6万人となっている。全体に占める割合は、2003年度で22%であったが、2016年度では41%と約2倍となった。(図表3-2-4(B))。社会人以外の博士課程入学者数の減少の度合いは社会人以外の修士課程入学者数よりも著しい。
 国・公・私立大学別で見ると、国立大学が全体の約7割を占めており、修士課程入学者数と傾向が似通っている。専攻別では、国・公・私立大学ともに「自然科学」系を専攻する入学者が多い。特に「保健」系の入学者数が多く、国・公・私立大学ともに増加している(図表3-2-4(C))。


【図表3-2-4】 大学院(博士課程)入学者数
(A)専攻別入学者数の推移(博士課程)
(B)社会人入学者数の推移(博士課程)
(C)国・公・私立別大学入学者数の推移(博士課程)

注:
その他は「商船」、「家政」、「教育」、「芸術」、「その他」
「社会人」とは、各年5月1日において職に就いている者、すなわち、給料、賃金、報酬その他の経常的な収入を目的とする仕事に就いている者であり、企業等を退職した者、及び主婦等を含む。
資料:
文部科学省、「学校基本調査報告書」

参照:表3-2-4


3.2.4女性入学者の状況

 2016年度の大学学部の女性入学者数は、全入学者数の45.4%を占め、着実に増加しているのが見える(図表3-2-5)。分野別に見ると、「人文科学」系が最も多く、60~70%を占めている。他の分野では「保健」系が多く、継続して増加している。
 日本の大学学部、修士課程、博士課程別入学者数の男女別の内訳を見ると(図表3-2-6)、いずれの課程においても女性の入学者数は増加している。男性の入学者数は、1990~2000年度の間は増加しているが、2000~2016年度の間では程度の差はあるが、いずれも減少している。また、「自然科学」系への男性の入学者数を見ると、修士課程においては3時点で増加し続けているが、学部、博士課程においては2016年度には減少している。
 一方、女性の入学者は、いずれの課程においても「自然科学」系の入学者数を増加させており、男性の入学者数の傾向と異なる。


【図表3-2-5】 大学学部の入学者数に占める女性の割合

注:
その他は「商船」、「家政」、「教育」、「芸術」、「その他」
資料:
文部科学省、「学校基本調査報告書」

参照:表3-2-5


【図表3-2-6】 学部・修士課程・博士課程別入学者数(女性と男性)
(A)女性入学者

(B)男性入学者

資料:
文部科学省、「学校基本調査報告書」

参照:表3-2-6


3.2.5高等教育機関の社会人学生

 高等教育機関を活用し、社会人の学習意欲の高まりに対応した再教育の機会を充実させることは、高度な人材育成の促進、活用に役立ち、さらには社会全体の活性化にもつながる。
 2010年度までは、全大学院生数、社会人大学院生数ともに増加をみせていたが、2011年度をピークに全大学院生数は減少に転じ、社会人大学院生数の増加度合いも小さくなっている。この結果として、日本の全大学院生(在籍者)に占める社会人大学院生割合は、2000年度では12.1%であったが、2016年度では23.6%と、約2倍となった。
 このように大学院に在籍している学生の構成に変化が生じていると考えられる(図表3-2-7)。


【図表3-2-7】 日本の社会人大学院生(在籍者)の状況

注:
1)「社会人」とは、各年5月1日において職に就いている者、すなわち、給料、賃金、報酬その他の経常的な収入を目的とする仕事に就いている者であり、企業等を退職した者、及び主婦等を含む。
2)ここでの大学院生とは、修士課程または博士前期課程、博士課程または博士後期課程、専門職大学院課程のいずれかに在籍する者をいう。
資料:
文部科学省、「学校基本調査報告書」

参照:表3-2-7


 「理工」系の修士・博士課程における社会人大学院生数を学位レベルで見ると(図表3-2-8)、2016年度の社会人博士課程学生は4,384人、社会人修士課程学生は1,200人であり、社会人の博士課程学生は修士課程学生の約4倍の規模である。
 社会人博士課程学生は2008年度まで継続的に増加していたが、その後は減少傾向にある。社会人修士課程学生は2004年度に一旦ピークを迎え、その後は減少傾向が続き、2014年度以降再び増加している。


【図表3-2-8】 理工系修士・博士課程における社会人大学院生数の推移

注:
「社会人」とは、各年5月1日において職に就いている者、すなわち、給料、賃金、報酬その他の経常的な収入を目的とする仕事に就いている者であり、企業等を退職した者、及び主婦等を含む。
資料:
文部科学省、「学校基本調査報告書」

参照:表3-2-8