2.1.4各国・地域の女性研究者
この節では、各国・地域の女性研究者の割合を比較する。研究者の多様性向上の観点からも女性研究者の活躍が期待されている。
女性研究者数の全体に占める割合はHC値を用いて計測している。また、米国は女性研究者の数値がなく(4)、英国は同国が推計したデータである。
我が国の女性研究者の全研究者数に占める割合は2016年で15.3%である。その割合は、調査国中、最も小さいが、その数で見ると、英国、ドイツ、ロシアに次いで多い(図表2-1-9)。

注:
1)日本は2016年、韓国、ロシア、台湾は2015年、ドイツ、スウェーデン、オーストリア、ベルギー、デンマークは2013年、その他の国・地域は2014年の値である。
2)HC(実数)である。
3)下記資料中に米国、中国のデータはない。
4)英国の値は国家の見積もり又は必要に応じてOECDの基準に一致するように事務局で修正された推定値。
5)ロシア、フランス、スウェーデンの値は過小評価されたか、あるいは過小評価されたデータに基づいている。
6)アルゼンチンは暫定値(provisional)である。
資料:
<日本>総務省、「科学技術研究調査報告」
<その他>OECD,“Main Science and Technology Indicators 2016/2”
参照:表2-1-9
次に、入手できた主要国の女性研究者の総研究者数に占める割合を部門別に見る(図表2-1-10)。
日本は「大学」部門が大きく、26.3%である。他方、一番小さい部門は「企業」部門で8.6%である。また、「非営利団体」部門では、他国と比較すると小さい割合となっている。
ドイツは「公的機関」部門と「非営利団体」部門が一緒であり、「大学」部門が37.9%、「公的機関・非営利団体」部門が34.9%と、この2部門が大きいことがわかる。
フランスでは「非営利団体」部門が最も大きく41.7%であり、次いで大きいのは「大学」部門で35.4%である。また、「公的機関」も35.0%と大きい。
英国では、「大学」部門と「非営利団体」部門が大きく、それぞれ44.1%と44.5%である。
韓国では、「大学」部門が最も大きく、29.5%である。
各国とも女性研究者の割合が小さいのは「企業」部門である。また、「大学」部門と「非営利団体」部門の割合は比較的大きい。

注:
1)HC(実数)である。
2)ドイツは公的機関と非営利団体を合わせた値。
3)フランスの公的機関の値は過小評価されたか、あるいは過小評価されたデータに基づいた。
4)英国の全体、大学の数値は国家の見積もり又は必要に応じてOECDの基準に一致するように事務局で修正された推定値。
5)フランス、英国、韓国の非営利団体は研究者数全体から、企業等、大学等、公的機関を除いたもの。
資料:
<日本>総務省、「科学技術研究調査報告」
<その他の国>OECD,“Main Science and Technology Indicators 2016/2”
参照:表2-1-10
次に日本の女性研究者数及び全研究者数に占める割合の推移を見ると(図表2-1-11)、女性研究者の数は2016年時点では138,420人であり、ほぼ一貫して増加傾向にある。割合についても、着実に増加している。また、2016年の博士号保持者は27,581人であり、2015年と比較すると6.3%の増加率である。

注:
2001年までは研究本務者の値である。2002年以降はHC(実数)である。
資料:
総務省、「科学技術研究調査報告」
参照:表2-1-11
最後に、男女別研究者数と博士号保持者の状況を部門別に見ると、男性研究者が最も多く在籍しているのは「企業」(64.3%)であり、次いで「大学等」(30.9%)である。女性研究者は「大学等」(61.1%)に最も多く在籍しており、次いで「企業」(33.4%)である(図表2-1-12(A))。
男性研究者の多くが「企業」に在籍しているのに対して、女性研究者の多くは「大学等」に在籍しているが、博士号保持者を持つ研究者は、男女ともに「大学等」に多く在籍している(図表2-1-12(B))。
(A)部門別男女別研究者数の割合

(a)男性 |
(b)女性 |
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注:
HC(実数)である。
資料:
総務省、「科学技術研究調査報告」
参照:表2-1-12
(4)米国の研究者数は企業以外、OECDの推計値であり、女性研究者数も計測されていない。